令和5年第3回定例会(6月)


本会議

(議案第54号 名取市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例)

吉田

 地区計画を変更する際、地域住民のいろいろな考え方の聞き取り、そして合意形成を行いますが、今回そのあたりをどのように取り組んでこられたのか伺います。


都市計画課長

 地区計画を変更するに当たり、地区住民にまず事前説明を行い、意見を収集しております。その後、地区計画の条例に基づいて法的な手続を踏んでおります。


吉田

 ゆりが丘地区の計画区域の図を見ると、確かに住所ではゆりが丘四丁目に当たると思うのですが、実質はもうみどり台に隣接する地域で、今後その辺住所の変更になってこざるを得ない。ここの方がゆりが丘四丁目の自治会活動に参加するのは大変遠くて厳しいと思うのですが、みどり台の方々からの意見の聞き取りは今回行っているのでしょうか。


都市計画課長

 具体的には、みどり台というよりは、法的な手続の中で縦覧や説明会を開催しております。


吉田

 念のため今航空写真で確認したら、もう既に家が建ち始めているのですね。この地区計画が変更される前に建設が始まっているというのは、特にプロセスとして何も問題はないのですか。


都市計画課長

 多分ゆりが丘地区でしょうか。今回は条例になりますが、ゆりが丘地区に関しては、地区計画自体は2月に制定しております。それに基づいて建設しておりますので、特に問題はありません。


(報告第2号 令和4年度名取市宅地造成事業特別会計予算繰越明許費)

吉田

 繰越しとなった理由について伺います。


都市開発課長

 今回の事業は、令和4年度、令和5年度の債務負担で行いました2か年事業ということで、令和4年度分の繰越しが出ました。産業用地と住宅用地が工事の中身で、企業からの要望があって産業用地を優先させたということで、令和4年度第2号補正予算でも売払いを計上しておりますが、個人の割合が大きい宅地分がどうしても後回しになって繰越しとなったものです。


吉田

 令和5年度までの債務負担行為であったとしても、令和4年度にほとんどこの分が執行されていないということは、令和5年度の事業全体がそこにぎゅっと詰まってくると思うのですが、そこの見通しはいかがでしょうか。


都市開発課長

 契約そのものは令和5年12月までですが、工程はおおむね9月までに工事が終わるような流れになっておりまして、その後売却という流れですので、スケジュールは令和5年度予定どおりと今のところ見込んでおります。


一般質問

吉田

 10番吉田 良です。ただいま議長から発言のお許しをいただきましたので、事前の通告に従い一般質問を行います。
 まず初めに、大項目1 消防・救急救命を担う人材の育成・確保についてです。
 消防は、住民の生命、身体及び財産を火災から保護するために火災の予防、警戒及び鎮圧に当たるとともに、地震などの自然災害による被害の軽減を図り、災害等による傷病者の搬送を適切に行うことが求められる、自治体行政の中でも特に重要な組織であると言えます。
 消防を取り巻く環境は、災害や事故の多様化と大規模化、都市構造の複雑化など、大きく変化してきています。さらに、日本社会において人口減少と少子高齢化が進行し、財政面の制約がさらに厳しくなることが予想されます。こうした状況にある中、消防は、環境の変化に的確に対応し、今後も住民の生命、身体及び財産を守るという責務を全うしなければなりません。そのためには、消防の体制の充実強化、特に、職員の資質や技能を高めるための人材育成が極めて重要であると言えます。
 もちろん、日頃から研修や訓練を重ねることで、職員一人一人の知識や技能などの向上を図っていると思います。しかし、困難な危険が伴う現場においていかに効率的に対処できるかは、精神的な部分、いわゆる士気というものに結果を左右されることもあり得ます。そこで、まず、本市消防職員の士気をどのように把握しているのか、確認したいと思います。
 小項目1 職員の士気について、自己都合による退職者の状況も踏まえ、どのように捉えているのか、消防長に御見解をお伺いいたします。


消防長

 消防職員については、近年、定年以外での自己都合を理由とする退職者が続いているところです。自己都合による退職者が生じることにより、職員の士気が低下するとは捉えておりません。また、組織としても、明るく働ける体制づくり及び職場環境の改善に取り組んでいるところです。


吉田

 自己都合による退職者にはそれぞれ事情があるとは思います。ただ、共に仕事をしてきた仲間が定年以外の理由で辞めてしまうということは、同僚たちの心理に何一つ影響がないということはないと思います。定年以外の離職者、退職者が出ないように、職場環境をより良好なものにする努力を続けていく必要があると思いますが、現在の取組や課題についてお伺いいたします。


消防長

 まず、明るく働ける体制づくりとしては、職員の安全管理の徹底、それからメンタルヘルス等の講習会の受講により、体制を整えています。
 また、令和5年4月の消防長就任挨拶の訓示の中で、職場で働く者同士、職員一人一人が思いやりの気持ちを持って互いを尊重し合い、職場環境をよくしていきましょうと私から職員に伝えて、明るく働きやすい風通しのよい職場体制を目指しています。


吉田

 職務が全体的に多忙になっていると思いますが、それがルーチンのようになっていないかということも一つ気になっています。常に目標の達成と更新を繰り返し、さらに別種の目標が生まれるような労働の環境というのは、どのようになっているのでしょうか。


消防長

 小項目4と関連しますが、自主的な研修などをそれぞれの職員が受講し、さらに職場でも、メンタルヘルス以外のいろいろな研修等も受講して職員のスキルアップとレベルアップを図り、よりよい環境を目指して取り組んでいます。


吉田

 では、その研修の部分は、後で改めてお聞きしたいと思います。
 ここで気になることがあります。士気についてですが、令和4年11月13日、宮城県消防協会名取・亘理地区支部連合演習が岩沼市多目的グラウンドで行われました。毎年、関係自治体の首長が出席されていますが、令和4年は名取市長は出席されずに副市長が代理で出席されたと伺っています。これがもし本当であれば、消防団員や職員の士気に関わるのではないかと思いますが、事実確認をお願いいたします。


消防長

 令和4年11月13日に岩沼市の多目的グラウンドにおいて、本市と岩沼市の消防団による連合演習が開催されました。そこに本市の消防団員が270名と岩沼市の消防団員160名の計430名が参加して訓練を行い、岩沼市、本市の首長や県議会議員、議長に御案内を差し上げ、訓練を見ていただきました。
 それで、山田市長においては公務が重なったということで、副市長に代理出席をしていただき、御挨拶もいただいています。


吉田

 公務にもいろいろな種類があって、私は、その日、たまたま別のところで市長にお会いしていますが、急病とか身内の不幸とか、そういうことではないということでした。やはり連合演習は非常に重要な消防の行事ですから、最優先していただかないといけないのではないかと思います。岩沼市長が来ていて名取市長が来ていないとなると、やはり職員も消防団も気の毒な気がします。今後、出席を強く要請されたほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。


消防長

 その辺については、予定を早くお知らせして、できるだけ出席していただくように努めていきたいと思っています。


吉田

 では、次に移りたいと思います。市長部局と消防本部の職員の待遇の差を休暇、休業の観点から確認させていただきます。
 令和5年4月21日の河北新報朝刊で、本市市長部局の男性職員の育休取得率が令和4年度に初めて100%に達したと発表されたことが報じられました。ただし、教育委員会や消防本部などを含めた市全体の取得率は69.2%とのことでした。令和5年5月2日のTBS系の報道番組でも、本市は令和4年度、男性職員の育児休業取得率100%を達成したと報じられました。ただ、こちらは、市長部局という範囲すら伝えられていなかったものと記憶しています。
 もちろん、男性職員の育児休業が取りやすくなるようにすること、取得率、日数とも向上することは大変歓迎いたします。ただし、それはチーム名取市としてであって、市長部局も教育委員会も、そして消防も、全体が向上していくことを目指さなければいけないと思います。組織によって大きな差があるのに、よいところだけ切り取って報じられるのは、見方によっては非常に職員にとっては残念に感じられることではないかと思いました。
 そして、つい先日、令和5年6月1日の河北新報朝刊で、ようやく消防本部の男性育休取得状況が改善したと報じられました。その内容の事実関係も含めて確認させていただきます。
 小項目2 市長部局と消防本部それぞれにおける、職員の年次有給休暇及び育児休業の取得率と平均日数について、直近1年間の男女別の数値を市長と消防長にお伺いいたします。


市長

 市長部局の年次有給休暇の取得率及び平均取得日数については、暦年で管理しています。令和4年の年休取得率は男性30%、女性27.3%で、平均取得日数は男性11.4日、女性10.6日となっています。
 次に、育児休業の取得率及び平均取得日数については、年度で管理しています。令和4年度の育児休業取得率は男女とも100%であり、平均取得日数は男性26日、女性177日となっています。


消防長

 消防本部も、市長部局同様、年次有給休暇の取得率及び平均取得日数については暦年で管理しておりますので、令和4年分の数字についてお答えさせていただきます。男性職員の年休取得率については、毎日勤務者が20.3%、隔日勤務者が16.9%で、平均取得日数については、毎日勤務者が8.1日、隔日勤務者が6.7日となっています。女性職員の年休取得率については、毎日勤務者が29.1%、隔日勤務者が14.4%で、平均取得日数は、毎日勤務者が11.6日、隔日勤務者が5.8日となっています。
 次に、育児休業の取得率及び平均取得日数についても、市長部局同様、年度で管理していますので、令和4年度の数字でお答えさせていただきます。消防職員の育児休業に関しては、隔日勤務する男性職員に4名の対象者がいましたが、育児休業を取得する職員はおりませんでした。


吉田

 今、数字として出まして、やはり男女別それぞれ、消防のほうが取りづらい状況にあることは明らかだと思います。
 それで、育児休業の令和5年度の対象者見込数を市長と消防長にお伺いいたします。


総務課長

 育児休業の令和5年度の対象者数については、今のところ捉えていない状況です。


消防長

 消防本部の職員においては、令和5年度の育児休業対象者は5名となっています。


吉田

 やはり市長部局のほうが組織として大きいので見込みを出すのもなかなか難しいのかもしれませんが、できる限りどちらも100%に近づけていくということ、教育委員会は今日はテーマとして取り上げていませんが、教育委員会も含めて全体で100%に近づけていくことを、これからもしっかり目標として掲げてもらいたいと思います。
 それでは、次に移ります。救急出動件数の増加による影響についてです。
 近年の傾向として、火災による出動は減少しつつあるものの、救急出動は激増しています。平成20年以降で見ると、火災発生件数が最も多いのは東日本大震災があった平成23年の51件、それ以後、20件台で推移し、最も少なかったのは平成30年の15件でした。一方、救急出動は、平成20年が2,219件、平成23年に2,877件となり、以後、2,000件台後半で推移して、平成30年に3,000件の大台を突破しました。その後は3,000件台で推移し、公表されている最新の令和3年は3,181件でした。同様に搬送人員も増加傾向にあり、令和3年は2,950人でした。
 消防の男性職員の育児休業取得が進まない背景には、こうした実情も理由としてあるのではないかと思います。そしてまた、待遇に限らず、業務への影響も懸念されるところです。
 そこで、小項目3 近年の救急出動件数の増加による業務への影響について、どのように捉えているのか、消防長にお伺いいたします。


消防長

 救急件数については、令和元年中の3,397件と比較して令和4年中は3,823件で、426件、12.54%増加しています。救急出動した場合、1件当たりの活動が長時間に及ぶこともあることから、救急隊員の疲労蓄積とともに、所属する係の業務などへの負担増になっているものと捉えています。
 負担を減らすためには、隊員を交代させての出動、及び休憩を取らせるように配慮しているところです。


吉田

 統計書や消防概要にまだ載っていないのですが、今の御答弁ですと令和4年は3,823件ということで、もう3,000件台の後半までいって、間もなく4,000件に届こうかというぐらい非常に増えています。統計で見ますと令和2年、令和3年が一時少し減っているのですが、これはやはり新型コロナの影響による外出控えなどの要因があろうかと思います。
 ただ、ここで気になっているのが、令和2年度から、消防本部で指揮隊が新たに運用されているということです。救急出動の件数は、令和2年、令和3年は減っていたのですが、令和4年になるとまた増えていますので、指揮隊が新たに編成されたことによる影響が何か出ているかどうか、どのように捉えているかお伺いいたします。


消防署長

 指揮隊については、特に影響はないものと捉えています。


吉田

 それから、一番気になるのが、救急車で出動して帰ってきて、当直の職員がその後、事務ワークをしなければいけないということですが、通常業務と言われるのでしょうか、その普通の事務ワークの量は他の消防本部と比較して多いとか少ないとか、そのあたりの把握はされているでしょうか。


消防長

 本消防本部においては、救急隊も消防隊も専属ではなく、各係に所属して兼務で業務を行っていますので、どうしても出動に時間を要しますと事務業務にも負担をかけているような状況です。県内でも、専属で救急隊などを編成している消防本部は仙台市とか規模の大きなところであり、県南の3本部などに関しては、我々と同じように事務業務を兼任して取り組んでいる状況です。


吉田

 やはり救急出動が増えているということで、その分、事務ワークは帰ってきてから新たにしなければいけないと。そうすると、その仕事がどんどん蓄積していって、そして有給休暇や育児休業が取りづらいということにつながっているという流れであると捉えられると思います。
 次に、研修の機会の拡大についてお伺いしたいと思います。
 本市の消防本部は約100人の体制です。市長部局との人事交流はごく一部の職員に限られています。人事ローテーションは硬直した状態にあると言えると思います。
 令和4年12月に提案された仙南13市町による指令業務の広域化は議会の判断によって否決されましたが、広域化によるメリットがもしあるとすれば、その一つとして人事ローテーションの活性化が挙げられると思います。やはり100人規模では人間関係が固定化し、職場環境から新鮮な雰囲気が失われることにつながりかねません。外の空気を吸いに行くことや、また外からの風を入れるということも、消防にとって一つの課題ではないかと考えています。ただ、この広域化には様々な弊害もあることから、これからも簡単には進まないのではないかと思われます。
 今、消防本部が置かれた状況で職員に新たな経験をさせるために、まずできるところからということで、研修の機会を増やすところから実現されてはどうかと考えています。現状では、初任者研修や資格取得を別としますと、宮城県消防学校に教官として3年間、それから県の防災航空隊に3年間と、3年ごとに交互に1名の職員を派遣していると伺っています。これでは、やはりほとんど外の空気を吸うことなく、本市消防だけでキャリアを終える職員が大多数ではないかと思います。
 まず、当面の対応として研修の機会を増やすべきではないかということで、小項目4 宮城県消防課へ職員を派遣するなど、職員の研修の機会を拡大すべきと考えますが、消防長の御見解をお伺いいたします。


消防長

 これまで、本市の消防職員においては、宮城県復興・危機管理部消防課より派遣要請がないことから、職員の派遣を行ったことはありません。消防課以外となりますが、県への職員派遣は、宮城県消防学校の教官並びに宮城県防災航空隊へ3年間のサイクルで、交互に職員1名を派遣しています。
 職員の研修に関しては、県消防学校で行われる各種教育訓練を受講し、その中で県内消防本部の職員と情報交換を行いながら、最新の消防技術等について学んでいるところです。


吉田

 いろいろな形で他の消防本部の職員との横のつながりをつくっていくというのは、いざというときもそうですし、日常のモチベーションにもつながってくると思いますので、今の状態で最大限それに取り組んでいることは評価したいと思います。
 ただ、そこにもっと研修の機会があってもいいのではないかということで、今回、宮城県の消防課への派遣を提案しているのですが、もちろんこれは要請があってということで、石巻市や気仙沼市などからは派遣されているようですが、本市として、もしこれに参加すればどういうメリットがあるのでしょうか。仮にその研修に派遣した際、どういうメリットが考えられるか、今捉えている内容をお伺いしたいと思います。


消防長

 今派遣されている県内の他の消防本部は石油コンビナートが管轄にあったり、緊急援助隊の県内の幹事消防などが派遣されています。我々は、もし派遣の要請があればできるだけ前向きに考えて、派遣した場合は、全国の緊急援助隊との交流やつながりなど、いろいろなことを勉強してくることができると思いますので、メリットは多いものと捉えています。


吉田

 職員一人一人が非常に大事な人材で、行政や市民にとっての宝ですから、その一人一人の能力を上げていくための機会の拡大は今後必要になると思います。そういう組織の中での義務的な任務的なものではなく、自主的に職員が、ポケットマネーでということも含めて研修に出たいということを相談された際は、どういう対応を取られているのかお伺いいたします。


消防署長

 現在、外部の他の機関との救助訓練、さらには東北大学病院での医師からの指導を受ける救急隊としてのシミュレーション訓練などに、職員から参加したいという希望があった際には、研修を受講するように伝えているところです。


吉田

 今のは、自主的なものではなくて、職務の一環としてというものなのでしょうか。


消防署長

 職務ではなく、自主的に参加したいのでお願いしますという話を伺っています。


吉田

 やはり自分自身の知識、技能を高めていきたいという意欲を持った職員の方も多いと伺っていますので、そういう方々が自主的に行きたいということであれば、できるだけそれをかなえてあげられる方向にいろいろと調整をしていただきたいと思います。
 ただ、その際に問題となるのが、今の年次有給休暇ですら非常に限られた日数しか取れないということです。ここを解決しないことにはそちらもなかなか難しいということは致し方ないかなと思います。ですので、ここで定数の引上げについて、次に移りたいと思います。
 このことについては、令和5年度の予算を財務常任委員会で審査した際に、長南委員から定数条例の改正に向けての検討の質疑があり、そのときに、消防本部総務課長の答弁の内容は取消しとなりましたが、企画課長からは、令和4年3月に策定した定員管理計画においても、定年延長の影響を勘案した上で策定していますので、計画期間である令和8年度末までは定数条例の改正の予定はありませんという内容の答弁でした。そして、長南委員からの再質疑に対しては、現状として、不足が生じる状況または不安を感じる状況であることは認識していますとおっしゃっています。今後、業務量、また長期休暇取得者の増加状況なども見ながら、定数条例の改正について検討していきたいと考えておりますと答弁されています。この内容については評価したいと思います。
 ここで、本日のこれまでのやり取りから、年次有給休暇と育児休業の取得状況で市長部局と大きな差が出ていること、また、救急車の出動で業務量が増えていることが確認できたのではないかと思います。
 そこで、小項目5 消防吏員が不足していることは明らかであります。定数を引き上げるべきと考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。


市長

 消防職員の定数については、令和2年4月に初任教育中の消防職員を定数外とする職員定数条例の改正により、実質の定数増を図ったところです。
 しかし、消防においては、長期の育児休業や年次有給休暇が取得しづらい状況であることは認識していますので、今後、働きやすい環境を整備し、適切なワーク・ライフ・バランスを保てるよう、職員定数条例の改正を視野に、消防と連携して取り組んでまいります。


吉田

 連携をしっかりして現場の話をよく聞いていただきたいと思います。
 それで、これは全ての部署に言えることだと思うのですが、限られた人数で業務を回すためには、やはり業務は増えた分を減らさなければいけないと思います。増えるだけでは職員がパンクしてしまう。よく我々も議会側から、あれもやってほしい、これもやってほしいとお願いをたくさんしますが、あれは削ったほうがいいですというのはなかなか言う機会がありません。ただ、実際、人員が限られた中であれもこれも全部行うことはできないとなると、何かを行うためには何かを減らさなければいけない、スクラップ・アンド・ビルドが適切に行われなければいけないと思います。
 それは市長部局などではもちろん行われていると思いますが、消防の場合は、救急の出動が増えていることが数字として明らかになっていますので、減らすわけにいかない。まさか救急車を呼ばないでくださいと市民に対して言うこともできませんし、呼ばれてもあちらには行くがこちらには行かないと選別することなど、とんでもないです。絶対できません。だから、救急車の出動が増えている、そして今後も高齢化によってその傾向がますます増加に向かうことが明らかですから、命に関わる組織として、この人員の不足には一番敏感になっていただきたいと思いますが、市長、改めてどのようにお考えでしょうか。


市長

 我々、行政需要がいろいろと多様化する中で、必要な市民サービスをしっかりと行っていくことに加えて、やはり経常的な経費の削減も含めて持続可能な財政運営も同時に求められていると思っています。また、いわゆる労働力、労働生産人口が近い将来大きく減るといったような中で、若い方に選んでいただけるような職場にしていかなければいけないという観点からも、ワーク・ライフ・バランスも考慮した環境づくりも必要であろうと思っています。そうしたことも、今議員がおっしゃった、命と健康を預かるという消防の職責、職務も十分に考慮しながら、体制づくりについて検討していきたいと考えています。


吉田

 先ほどの御答弁の中で、定数条例の改正を視野にとありましたが、今の段階でいつまでにどのぐらいの人数ということで、現時点での検討の内容をお伺いいたします。


市長

 先ほど、本署の職員が救急隊の業務と通常の業務、事務を一緒に行っているということがありました。そういったことの解消も含めて、令和6年10月に手倉田出張所ができます。そのタイミングですぐに救急車の配備というのはなかなか難しいのですが、できるだけ早い段階で救急車の配備をしていく、そこに、配備に必要な人員、そしてまた先ほどのワーク・ライフ・バランスも考慮した人員といったところも全体を考慮しながら、どのように拡充していくかについてはできるだけ早く議会にも議案として上程できるようにしていきたいと考えています。


吉田

 一つのタイミングとして手倉田出張所の完成があり、そこに救急車を配備するということで、情報として1つ、こちらとしても捉えるものが増えたということで、それは非常に評価したいと思います。
 この定数についての考え方は、国の基準だと本市の消防は170人となっているようです。ただ、170人というのはあまりにも現実離れしているなということは、確かに私も思います。かといって、現場としてはやはり多ければ多いほどありがたいという思いがある一方で、市長がおっしゃったような財政面でのバランス、そういうことを考えると、充足率は何%が適切なのかという数字はなかなか出せないことも理解できると思います。ただ、ここでやはり一つの目安として、育児休業を市長部局と同じ程度にまで取れるぐらいの人員の配置ということを、その検討の材料の中の要素に入れてはいかがかと思うのですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。


市長

 まず、同じ定数といっても、条例上の定数と、定員管理計画上の定数と、実際の職員の実人数に分かれます。今は条例定数の話をしていますので、その条例定数と、今の実人数の間のいわゆるハンドリングできる余白が非常に少なくなっているというところで、そういったことも含めて定数の見直しについては考えていきたいと思っています。考えていく際には、ワーク・ライフ・バランスといった観点も踏まえて検討していきたいと思います。


吉田

 定員管理計画がありますが、これは計画期間としては令和8年度までということで、これを見ると消防の職員数は定数としては減っているのです。令和9年度、102人から100人に減ると。もちろん再任用とかいろいろあるので実人数は違うと思いますが、この定員管理計画そのものが足かせとなって、今後、実際の定数の引上げにつながらないということはないのでしょうか。このように救急出動が増えている状況ですから、やはりこの計画そのものの変更も必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。


市長

 先ほど申し上げた手倉田出張所に救急車を配備するといった外部環境が変わってくることもありますので、定員管理計画についても改正していくことになろうかと思います。


吉田

 分かりました。市民の生命を守る消防職員の定数引上げは喫緊の課題であると思います。ただ、これは増員するとしても一気に増やすことはできません。計画的に進める必要があります。そういう意味でも、一日も早く今後の方向性をしっかりと定めていただきたいと思います。以上で大項目の1を終わります。
 次の質問事項に移ります。大項目2 V2Hの活用についてお伺いいたします。
 V2Hとは、ビークル・ツー・ホームの略で、電気自動車やプラグインハイブリッド車に搭載されている電池に蓄えられている電力を建物内に供給するため、車両と建物の分電盤を接続することができるシステムの総称です。
 去る令和5年6月2日、民間企業から本市へ2台のV2Hが寄贈されたと伺っています。うち1台は本庁舎の正面入り口に向かって右側に置かれていて、外観はエアコンの室外機のような形をしています。まずは確認させていただきたいと思います。
 小項目1 本庁舎及び教育委員会に設置された経緯を市長にお伺いいたします。


市長

 先日、寄贈式を行いましたV2Hは、企業様から令和4年度に寄贈の申出をいただきました。目的としましては、1つは、災害時に市民の方の情報収集手段であるスマートフォンや携帯電話などの充電のためであり、2つ目は、教育部が法務局にあり、停電への対応がなされていないため、停電時でも市庁舎と連絡が行えるようにと、企業様から本庁舎と法務局への設置について御提案をいただいたものです。


吉田

 まずは、御寄贈いただいた企業の方の決断に深い感謝を申し上げたいと思います。  法務局にまだ設置されていないようですが、今後のスケジュールをお伺いします。


防災安全課長

 法務局への設置のスケジュールですが、工事については令和5年6月17日から25日までを予定しており、25日に設置が完了する予定となっています。その後、試験運転、操作説明等については、令和5年6月30日を予定しています。


吉田

 この件については財政課長も、そしてクリーン対策課長も含めて、多くの職員の方々にも非常に調整していただいたということで、大変感謝をしています。
 なぜ私がこれを取り上げたのかというと、実は一般質問で申し上げるべきことではないとずっと思っていたのですが、今の市長の御答弁もそうなのですが、そもそもこのV2Hの設置をすることになった最初のきっかけが御答弁の中にないのです。漏れているのです。一番初めにこのことに向かって事が進んだのは、水素自動車の購入の部分からでした。これは令和3年ですが、実は私を支援してくださっている方から、本市は非常にこれまで災害で大変な思いをしたと。今いろいろな新しい技術が導入されていて、市のほうに水素自動車やV2Hを設置することによって、いざ停電が起きたりした際に行政機能をしっかり維持できるのではないかと話がありました。それで、県のみやぎ環境交付金提案型事業を利用できるのではないかという形で、私に御提案がありました。
 これは企業が絡むことなので私もあまり積極的に動くのはどうかと自分でも思ったのですが、最終的にこれを市長に紹介して、そしてそれを採用するかどうかは執行部の判断ですので、一応つなぐという形で市長にお会いしていただいたのが、令和2年12月15日だったわけです。そのときに、もう市長には、水素自動車と災害時の給電体制の導入ができるということを紹介しています。
 それで、みやぎ環境交付金は、やはり環境をきれいにしていくという趣旨なので、災害対応というところでなかなか交付金が認められなかったという難しい事情があったようですが、市としては、翌年の令和3年3月、一般会計当初予算で水素自動車のミライの購入が決まりました。そのとき、納期は7月ということになっています。
 この水素自動車がなければ、V2Hというのはほとんど意味がありません。前にもどこかで発言したことがあるのですが、水素自動車は動く発電所なのです。停電したときに、水素を積んだ水素自動車が来てV2Hにつなぐと、そこから電気を供給できる。停電しても機能を維持できると。電気自動車というのはむしろ動く蓄電池と言われていて、水素自動車と電気自動車が普及することによって、日本のエネルギー事情が改善していくと今見込まれているところなのです。
 このことがあってから、市役所のほうにまず提案したところ、本庁舎への設置は難しいと。これは国のほうで発電施設がいろいろともう設置されているので、国のそういうものの基準というか制限がいろいろとあるので設置は難しいのではないかということで、最初は法務局に1台というような提案があったのです。ただ、それも、みやぎ環境交付金がこれに向かないのではないかとか、県とのやり取りの中で当初の見込み違いがいろいろと出てきて、どうもそのV2Hの購入は難しいのではないかとなったときに、それまで依頼して技術的に配電盤とかの電気の接続ができるかどうかについて相談させていただいていた方から、V2Hを寄贈しましょうという話になってきたのです。それでもやはりいろいろな制限があって、本庁舎ではなく、法務局なのですよと。ただ、そこでこの企業の方は、では2台どうですかということで、それだったら本庁舎も受けましょうという形になったと。それが決まったのが令和4年6月3日だったのです。
 その前に本市は、令和3年10月31日に、名取市ゼロカーボンシティ宣言をしています。このV2H、そして水素自動車ミライ、こういうものも含めて普及拡大していくというのは、このゼロカーボンシティの趣旨にも大変沿うものであって、そうした流れを受けて、もっと活用してはどうかということを提案されたのですが、実際にそのような長い経緯がありました。ぜひそれを今日答弁していただきたかったのですが、していただけなかったことは非常に残念です。
 このことを私に持ち込まれた方は、先日、令和5年4月に亡くなられました。なぜここまで本市にいろいろな提案をされたのか。これは個人的な話になってしまうのですが、やはり災害で非常にダメージを受けた本市に対して、今後、人命や人々の生活を災害から守るということ、そしてまた、本市が置かれている状況、水素自動車の供給ステーションが新たにできたりとか、あるいは県内を見渡してもちょうど中心部にあって、山形県とか県北、あるいは南側の福島県、そういう縦横の連携ができるのではないかということで、本市の可能性を非常に見いだしておられたと伺っています。この寄贈式のときに、こちらの一番初めに持ち込んでくれた方に市から御案内がなかったのは、私は本当に残念に思いました。それがなければこのように一般質問で申し上げることもなかったのですが、これはやはり市に、私はこういう形で記録として残したいと思った次第です。
 以上のようなことも含めて、市長から、関係してくれた方々に対して改めてお言葉をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。


市長

 関係いただいた全ての方々、また、今、議員がおっしゃった一番初めの方も含めて、企業として、また個人として関係いただいた方々に、改めて感謝を申し上げたいと思います。本市の安心・安全なまちづくり、また未来に向けた脱炭素のまちづくりに向けて、改めて気持ちを持って進めていきたいと考えています。


吉田

 では、次に移りたいと思います。活用方法についてです。
 先ほど申し上げましたが、V2Hの導入は、そもそも本市の枠を超えた広域的な災害時の電気エネルギー供給網の構築を構想したものでした。水素自動車の導入はその入り口でしかなく、このたびのV2H本体の設置もまだ途中経過でしかありません。
 この水素自動車について改めて申し上げると、これは走行中CO2を排出しないクリーンエネルギーということで知られています。この水素を作るのに電気を使うのではないかということを突っ込まれる方もいるのですが、実際、水素を作るために太陽光や自然エネルギーを使って、そして余った電気は、各家庭に電気自動車が普及してくればそちらにためると、こういう仕組みが広く国全体に出来上がっていくことで、理論上はゼロカーボンが可能になると言われています。
 地球環境の保護は、国際社会において非常に重要な課題とされています。本来なら日本は積極的に新しい技術の開発を行って、世界に先駆けてトップクラスの製品を売り出すべきだと思いますが、現実はかなり出遅れてしまっています。2020年の世界における電気自動車の販売台数の約6割を中国が占めています。また、2022年の各国内における新車販売台数に占める電気自動車の割合は、ノルウェーが非常に高くて79.3%、中国も国内で25.6%が新車として電気自動車を買っています。日本は何%だと思いますか。1.7%です。新車台数の1.7%しか電気自動車が普及していません。こうした技術開発や販売促進に努力するのは一義的に企業だと思います。そして、国はそこに対して補助金や減税などの制度を設けて普及拡大に努めていると。では、自治体は何をするべきかといったときに、やはりエコカーとかV2Hなど最新の技術を自治体としても積極的に導入して、それらが実際に使われる場面を少しでも市民の目に触れさせることによって、クリーンエネルギーに対する関心や防災に対する意識が高まることにつなげていくことが必要ではないかと思います。また、同時に、先ほど申し上げたように広域的な活用の体制を整えることも大事ではないかと思います。
 そこで、小項目2 防災訓練や環境フェスタ等で市民向けに給電の様子を公開するとともに、宮城県に倣い自動車販売メーカーと「災害時における外部給電可能な車両からの電力供給に関する協定」を結ぶべきと考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。


市長

 防災訓練や環境フェスタ等においての公開については、必ずしもV2Hの設置予定場所である市役所及び仙台法務局名取出張所での開催とはならないため、持ち運びが可能なパネルによる展示など、分かりやすく周知する方法を検討した上で、機会を捉えて情報発信してまいりたいと考えています。
 また、自動車販売メーカーとの協定に関しましては、令和2年4月に本市と宮城三菱自動車販売株式会社との間において「災害時等における電動車両及び給電装置の貸与に関する協力協定」を締結しているところですので、宮城県同様、大規模な停電が発生した場合には、協定に基づき避難所などの電源として活用してまいりたいと考えています。


吉田

 V2Hから電気が供給できるということが大きなメリットなので、三菱自動車の自動車と規格が一緒であれば、多分そちらで給電可能であると思いますが、その辺は確認されていますか。


防災安全課長

 今回寄贈いただいたV2Hの機種はデンソー製ということで、先ほど議員からも御説明があったように、エアコンの室外機のようなタイプのものです。重量も100キログラム近くありますので、移動が難しいものでして、下をコンクリート板のようなものに固定するタイプです。
 それで、これがどの車種などに合うかということですが、基本的には、電気自動車タイプのもの、ハイブリッド車も含めて、国内で販売している自動車には適合するという説明を受けています。


吉田

 これは日本車に限ったことらしいのです。外国製の車はこの規格がなかなか合わないらしいので、国内で生産された電気水素自動車と規格が一致するということで、できるだけ災害時により多く広く、特定のメーカーに限らず、そしてまた自動車販売会社に限らず、例えば、福祉施設などでもそういう取組を進めていこうという流れに今後なっていきますので、全体の動向を見ながら、そうした連携を拡大していただきたいと思います。
 それでは、最後の質問事項です。大項目3 企業版ふるさと納税についてです。
 企業版ふるさと納税の制度は、平成28年4月、内閣府によって創設されました。自治体が作成した地方創生に係る事業が寄附の対象とされ、企業が寄附を行った際に税額が控除される仕組みです。最低10万円からとされました。これは令和2年度に制度が変更され、最大6割だった控除の額が最大9割に引き上げられました。同時に、自治体が作成する地域再生計画も要件が大幅に緩和され、認定のハードルが下がりました。税額控除のほかにも、企業にとってブランディングや自治体との関係構築、新事業開発につながることなどのメリットがあることから、内閣府によると令和3年度の寄附実績は金額が前年度比約2.1倍、件数が前年度比約2.2倍と大きく増加しました。寄附を行った企業の数も令和3年度は3,098となり、前年度と比較して約1.9倍に増加しています。ただし、自治体側には、寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与することが明らかになった場合、地域再生計画の認定が取り消されるなど、不利益が生じることがあります。寄附を行うことの代償として経済的な利益の供与に該当しないよう、適切な運用に努めていかなければなりません。そこで、まず本市の現状を確認したいと思います。
 小項目1 これまでに制度が利用された実績と、寄附者を本市事業に係る契約の相手方としているケースがあるのか、市長にお伺いいたします。


市長

 本市においては、令和3年度から企業版ふるさと納税による寄附をいただいておりますが、実績としては、令和3年度は寄附件数5件で寄附金総額が270万円となっており、また、令和4年度は寄附件数8件で寄附金総額が441万8,700円となっています。
 寄附をいただいた企業の中には、本市事業の契約の相手方としているケースも一部あります。ただ、この本市事業の捉え方ですが、寄附をいただいた企業を寄附を充当する事業の契約相手方としたケースということになりますと、そうしたケースはありません。


吉田

 この寄附金が充当されるかどうかというのが大きなポイントになるということで、今、本市では問題ないと捉えているそうですが、令和4年度8件とありました。ホームページ上では5件しか紹介されていなかったと思います。まず、そのホームページの5件との差について確認したいと思います。


政策企画課長

 寄附をいただいた相手方の御意向により掲載を希望しない場合もありますので、件数にずれが生じています。


吉田

 寄附を公表しない理由はそれぞれだと思います。中には金額の部分が公表されていなくて名前だけが公表されているケースもあるのですが、そのあたりの公表するかしないかの判断は、企業側の希望に沿って全て行われているということですか。


政策企画課長

 公表してよいかということは、全て相手方の御意向に沿って行っています。


吉田

 その辺で、この企業版ふるさと納税の不透明さというところが引っかかってきます。もちろん全て疑ってかかるわけではありませんが、最近、非常にショッキングなことをお聞きしました。
 次に移って、公正性、透明性の向上についてお伺いしたいと思います。
 「なぜか、寄附するんですが、あべこべもうかっちゃう。僕たちはふるさと納税企業版という制度を使いながら黒を白に変えているんですよ。侵食しまくっている。ありとあらゆる政策をくっつけて、資金を浄化させて、超絶いいマネーロンダリングをして仕事にして返す。金を入れると、うちが随意契約できるという仕組みなんです。地方議会なんてそんなもんですよ、雑魚だから」。
 以上は、河北新報社がユーチューブで公開している音声から一部の紹介です。発言しているのは、備蓄食品製造会社の株式会社ワンテーブルの当時の社長です。なお、福島県国見町が本人にただしたところ、自身の発言に間違いないと確認が取れたそうです。この音声データの公開がきっかけとなり、国見町は、株式会社ワンテーブルと包括連携協定を解約、官民共創コンソーシアム業務と地域力創造アドバイザリー業務の協議解除などを決め、今後は一切の関係を持たないこととされました。また、14回にわたる住民説明会を開催したということです。本日の河北新報の朝刊では、公募型プロポーザルの委託先として株式会社ワンテーブルが選ばれるまでの不可解な点を追い、官製談合防止法や独占禁止法に触れる可能性があるということが指摘されています。
 また、宮城県亘理町でも、株式会社ワンテーブルとのWATARI TRIPLE C PROJECTに関する協定を解約するという形で影響を受けています。亘理町は、説明の中で、原則として本町に新たな財政負担や大きな業務負担を生じさせないものとし、計画全体としては不十分ですが部分的ながら成果があったと評価しています。
 財政負担がないことや抑えられることに安易に乗ることで、行政への信用を大きく損ねてしまったのではないかと。それでは元も子もないと思います。株式会社ワンテーブルの社長は特殊な例であって、企業経営者はみんな良識のある人たちであると信じたい。しかしながら、悪用しようと思えばできる制度である以上、行政の側として、それを防ぐ最大限の努力をしなければいけないと思います。
 そこで、小項目2 福島県国見町において制度が悪用された事例に鑑み、入札・契約上のプロセスの公正性・透明性のさらなる向上を図るべきと考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。


市長

 福島県国見町が、企業版ふるさと納税を活用した委託事業において、業務を受託した法人との信頼関係が失われたとの判断から当該業務の変更契約等が行われたことは、報道等により承知しています。
 本市においては、これまでも入札及び契約上のプロセスについて法令遵守、手続の公正性、透明性を確保しながら実施していますので、今後も企業版ふるさと納税を活用した事業の実施も含めて、引き続き適正に取り組んでまいりたいと考えております。


吉田

 この株式会社ワンテーブルの社長は、うちは今、第二役場という機能そのものを分捕っているという発言もしています。これは、行政として企業を利用しているつもりが、実は企業に侵食されていたという非常に笑えない話になってしまいます。財政力の弱い自治体が狙われたようですが、本市も大幅な財源不足が解消できない状態が続いていると言われていますので、狙われてもおかしくないのではないかと思います。
 そこで、平成28年4月15日ですが、寄附を行う法人に対する禁止行為が閣議決定されています。ただし、この禁止条項に該当するかどうかは社会通念等に従って個別具体的に判断されるとなっています。入札・契約上の公正なプロセスを経た上で得た経済的な利益は禁止されていないため、公正であるように取り繕えば抜け道が開いてしまう可能性があります。抜け道を防ぐために、寄附者を本市事業に係る契約の相手方としないよう、それはその事業に限らず、そこに線引きをするよう独自に厳しいルールを定めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。


市長

 先ほど答弁申し上げたとおり、入札契約上のプロセスについては法令遵守、手続の公正性、透明性を確保しながら進めてきておりますし、今後もそのように進めていきたいと考えているところです。


吉田

 日本一厳しい取扱いをするということになれば、本市に寄附をした企業は何も後ろめたいことがないと。それぐらい本市はしっかりしているのだということになると思います。私は、厳しくすることは必ずしも悪いことではないと思うのです。何か不透明な部分があることによって、こういう一つの極端な例があったときに、何かほかでもやっているのではないかと疑われたら、それは企業にとっても申し訳ないというか気の毒ですし、だったら市のほうで独自に厳しい基準を設けて、例えば、先ほどのホームページもそうですが、全て公開すると。公開が原則なのですと。例えば、もし何か事業で関わっていることがあったら、それも公開しますと。そのぐらい透明性があるのですということを行ってもいいと思うのですが、いかがでしょうか。


市長

 一つの考え方だろうとは思っています。内閣府のまち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関するQ&Aで、議員もよく御承知だと思いますが、いわゆる寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与することに該当するか否かということについては、地方公共団体が例えば寄附法人しか応札できないような条件を合理的な理由なく設けて競争入札を行う場合など、その他の法人と別異により取り扱う場合などを除けば該当しないというような答えがあります。一方で、地方公共団体には十分な説明責任を果たす必要があるといったようなところもありますので、こうしたことで進めていきたいと考えています。


吉田

 今後、本市は企業版ふるさと納税の拡大を目指しているということですが、納税者である一般市民を裏切るようなことは絶対にあってはならないと思います。営利企業は慈善団体ではありません。利益の拡大を目指す組織なのです。そのことを十分に認識して、健全な関係が構築されるよう努められることを願いたいと思います。
 以上で一般質問を終わります。


本会議

(議案第49号 名取市企業版ふるさと納税基金条例)


吉田

 企業版ふるさと納税は、令和3年度から実績があって、令和3年度が5つの企業から、令和4年度が8つの企業、そして令和4年度の8つの企業のうち3つの企業が、寄附についてホームページでの公開を望んでいないという形だと思います。
 公開しないことを市にお願いする理由はいろいろあって、自分たちが寄附していることをあからさまに表に出したくないという、恐らく善意によるものがほとんどだと思います。一方で、この間もニュースになっていましたが、金の延べ板をたくさん市に寄贈した個人の方もいて、寄附することはそもそも悪いことではないので、それを公表しないのは何か理由があるのではないかと、どうしてもそこで考えがちになってしまうのです。
 市の場合、これをホームページで公開しないという約束で受け取っていますが、ホームページ以外の、例えば議場や情報公開制度の中で、寄附のあった企業を全て公開できる仕組みになっているのでしょうか。


政策企画課長

 まず、現在ホームページに載せていない件について、全ての企業が掲載を望んでいないわけではなく、まだ確認が取れていないところもありますので、それも含めての3件となっております。
 ホームページに掲載していない企業について、市がほかのところでの公表を行っているものはありませんが、企業版ふるさと納税を行った企業の一覧ということで、国のホームページで掲載しているところです。


吉田

 国のホームページでの公開は、法的に規定があってされているということでしょうか。法的な根拠があって国で公開されるということは、市で同様に公開しても何も問題がないので、ホームページでの公開の意向を聞かなくても、原則全部公開にできると思うのです。
 まず、法的な規定があるかどうか伺います。


政策企画課長

 国では内閣府のホームページで公開されておりますが、原則公開ということで全て載っています。市町村でも意向確認をして載せておりますが、議員から御指摘もありますので、今後できるだけ掲載させてほしいという方向で進めていきたいと考えておりますが、どうしても載せたくないという企業もいますので、そこは無理強いはできないかと考えているところです。


吉田

 国のガイドラインなのか通達なのか分かりませんが、寄附企業が地方自治体の事業に関わる場合のいろいろな注意点が公開されています。目的となる事業に対して寄附企業が関わるのは、恐らくそこに引っかかってくると思うのですが、そうではない事業に寄附した企業が関わってくるということは、制度上は問題がないと今はなっていると思います。その際に、競争入札等の形ではなく、企業版ふるさと納税を納めている企業に対して随意契約のような形で仕事をお願いすることはあり得るのでしょうか。


財政課長

 寄附をいただいた企業に対して、競争入札、随意契約にかかわらず、契約の受注者となることを全て制限しているものではありません。法令遵守、入札と契約の過程における手続の公平性を踏まえて、その企業が落札して受注することは可能です。
 実際、本市においても、企業版ふるさと納税寄附をいただいた企業が本市の他の事業の受注者となっている例はあります。


吉田

 入札契約上のプロセスの公正性、透明性等を図っていかなければいけないということで、企業がふるさと納税寄附を行う場合、やはり本市を応援したいという純粋な気持ちがあって、しかも原則は本市に本部機能を置かないということだと思うのですが、それがなぜ契約の相手方になるのか、その企業でなければいけない理由がはっきり説明できるようになっているのでしょうか。


財政課長

 契約の相手方となる事業の内容によるかと思います。一般的には競争入札を行いますが、その企業しか事業を行えない特別な理由がある場合は随意契約も可能となっております。その随意契約をする場合は、地方自治法施行令第167条の2第1項随意契約で規定されておりますので、その中に該当するものであれば契約の相手方ということになろうかと思います。


吉田

 寄附してくださる企業への優遇などがあってはいけないのは当然ですが、寄附企業が資本関係にある企業と本市との関係について、その部分まで調査はしっかりできる体制になっているのでしょうか。


財政課長

 寄附をいただく企業について、親企業や会社の規模、どのような系列になっているか、そのようなところまでは、実際寄附を受け付けるときには調査しておりません。


吉田

 そのあたりも、この企業版ふるさと納税の塞いでいかなければいけない穴なのかと感じます。市としては公正を期していても、相手方との関係に長い時間がたてば、他の同業種の企業の中でも非常に密接な関係になってくることがあると思います。そうしたときに、実はふるさと納税の寄附者の企業と資本関係にあったと後から分かると、今回のことに近いような問題になってしまうと思うのです。そのあたりまでしっかりと企業に説明させて、その説明を受けたことを市が市民に対して広く説明責任を果たせるように、情報を収集しておかなければいけないと思うのですが、そのあたりの考え方はいかがでしょうか。


財政課長

 契約の受注者、相手方となる事業所は、競争入札または法令に従った随意契約によることになります。一般競争入札であれば、相手方となる企業に条件がつけられることもあります。そのような条件をクリアして入札に参加し、公正な手続を踏んだ後に契約の相手方となった場合については、その企業の背景等の確認は必要ない部分かと考えております。


吉田

 一般競争入札はそうですが、随意契約もあり得るということでした。随意契約の場合は、例えばこれまでの実例では、包括連携協定などを結んでいる際は、その相手方の企業との間で随意契約があったわけなので、そういうところは説明責任をしっかり果たせるのですかということですが、いかがですか。


財政課長

 様々な事業の内容になりますが、包括連携協定を結んだからといって、随意契約がそのまま認められているものとはなっていません。あくまでも法に従って、その企業が随意契約たる相手方となっている場合に、契約の相手方としている取扱いを取っています。


(議案第56号 令和5年度名取市一般会計補正予算)

吉田

 6、7ページ、16款2項1目総務費県補助金2節総合振興費、熊野三社勧請900年記念事業費です。
 県からの補助で総務費ということで歳出のほうで探しているのですが、実際何に充てられる補助金なのでしょうか。


政策企画課長

 こちらは市町村振興総合補助金となります。令和5年度市町村振興総合補助金の市町村提案事業の一つとして、今回採択を受けたものです。
 歳出については、当初予算で熊野三社勧請900年記念事業費を計上しており、今回は財源更正となります。


吉田

 財源更正ということは、ほかに何かがその分減っているのだと思うのですが、その減っている部分はどこで見ることができますか。


財政課長

 事項別明細書26、27ページの10款5項7目文化振興費の中で、国県支出金のところにただいまの市町村振興資金224万9,000円が入っております。それの財源更正としては、その他の欄でふるさと寄附金繰入金113万円の減額、それから一般財源のほうで111万9,000円分、減額となっております。


吉田

 8、9ページ、19款2項14目企業版ふるさと納税基金繰入金で伺います。
 まだ見込みだと思うのですが、件数、相手方から公表しないでほしいと言われていないなら企業名、そして、その活用事業はどこになってくるのか、伺います。


財政課長

 今回補正予算の歳入で、18款1項1目一般寄附金の中で企業版ふるさと納税に係る寄附金を、見込みとして3,000万円計上しています。
 企業数、金額の内訳等については確定しているものはありませんので、見込んでいる対象事業から令和5年度寄附獲得を目指すというところで3,000万円を見込んでいるものです。
 それに関連して寄附金の繰入金1,473万円、こちらを取り崩す予算を組んでおりますが、こちらも企業数、内訳の金額等については確定しているものはありません。
 充当する事業としては、なとりスーパーキッズ育成事業分で、事業費の合計から国庫補助金、大会参加料の雑入分を除いた金額の全額を見込んでいるところです。


吉田

 一般寄附金の3,000万円は、企業から寄附されるという見込みですが、1回歳出のどこかで基金に繰入れをするのですか。繰り出しをするのですか。14、15ページ、2款1項29目企業版ふるさと納税基金費24節積立金でまず一旦全額を基金に入れて、そこから取崩しが1,473万円ということで、3,000万円という最初の金額がまだ確定ではないというのは当然ですが、3,000万円寄附が見込まれるとしたその根拠はどういうところからなのでしょうか。


財政課長

 見込みの内容ですが、令和5年度、令和6年度において一般財源ベースで充当可能事業費を約1億6,000万円程度と見込んでおります。その2分の1を企業版ふるさと納税による寄附で賄えるよう目指していくということで、その8,000万円のうち令和5年度、令和6年度およそ1年間で3,000万円から5,000万円程度という想定をしております。令和5年度については、そのような中で3,000万円を計上しております。
 先ほど寄附企業とのマッチングサービスに取り組んでいくというお話をしましたが、マッチングサービス分で1,500万円、マッチングサービス以外の分で寄附1,500万円の獲得を目指していきたいという考えです。


吉田

 8、9ページ、18款1項1目一般寄附金1節一般寄附金です。
 金額が先にありきで、必要となる金額が2年間で1.6億円、それをどう割っていくかという考え方ということですが、令和5年は3,000万円あれば今一番力を入れているなとりスーパーキッズ育成事業にも予算が充てられるということです。3,000万円は大きいかなと思うのですが、実際企業版ふるさと納税ですと3,000万円寄附した際に、企業には最大で9割戻ってくるということですが、その3,000万円はそのまま本市に入ってくるのではないのですね。本市に3,000万円入ってくるためには、企業は実際にどのくらい寄附をするという計算になるのですか。


財政課長

 3,000万円寄附された場合、市に入ってくる寄附額は、その3,000万円がそのまま入ってくるということです。


吉田

 今のところは相談等があるかないか水面下では分からないのですが、仮にこういう金額がしっかり整わなかったら、一生懸命寄附を集めると思います。仮にこの金額が充当先の事業の必要となる費用を賄うことができなかった際には、どういう形で財源を手当てしていく考えなのでしょうか。


財政課長

 歳出で事業の精査も行っていきますが、企業版ふるさと納税の寄附金が入らなかった場合については、一般財源で手当てしていくことになります。


吉田

 12、13ページ、2款1項6目企画費、地方創生事業のなとりスーパーキッズ育成事業に関して、先ほど企画部長から、このタイミングで補正という形で措置されたことについての御説明がありました。確かに私も記憶しています。令和5年1月の議員協議会で最初説明をされて、議会側からいろいろな疑問点、指摘があって、それを受けてやはりこれは今出すべきではないという判断になり、改めてその説明をするため、一人一人の議員の一言一言に対する回答を全部整えたのは、大変な努力だと思います。
 それが5月の時点で、2回目の議員協議会で説明されまして、そこでも私は1月の議員協議会とほとんど変わりない感覚だったのです。私も含めて自分自身が納得できる、少なくとも積極的に賛成できる内容ではなかったですし、まだまだ納得できない部分があって、もっともっと説明されるのかと思っていたのです。それが5月以降、今度は補正予算の中に計上されたということで、1月のときにそれを一旦思いとどまったのに、5月の段階では進めようとする、その判断の違いはどういう要素だったのでしょうか。


企画部長

 今、令和5年1月の時点と5月の時点で、議員からすれば受け止め方に大きな違いはないという御指摘をいただきました。こちらとしては、1月にいただいた御意見一つ一つについて市の考え方を整理して、5月に説明させていただきました。なお、御意見をいただいていることは承知しているところですが、今後、事業を実施していく中で、いただいた御意見等で実現できるものについては意を用いて事業を執行していきたいということで、今回は補正予算でお願いしたという経過です。


吉田

 それは1月の段階でもできたのです。1月の段階で、どうしても当初から実施したければそれを行うこともできました。事業を実施する中で、そのような説明などを尽くしていくということはできたと思います。1月でそれをしなかった判断は、私はさすがだと思ったのです。きちんと議会側の理解を得ようとする姿勢が見えたので、こういう形ならもう少し議論していけば、みんな納得できる形に落とし込んでいくことができたのではないかと思うのです。それがまた5月の時点で同じように、一つ一つ議会側からの指摘、繰り返しの指摘は別としても、違う指摘もいろいろ出ていましたから、それにも丁寧に回答して、3回、4回重ねていくうちに、どこかでいいですねと納得できる雰囲気になったと思うのです。
 でも、このように6月に、そういう手順がばっさり切られてしまって上程されたということは、とても残念だと思うのです。その判断でよかったと、今でも思っていますか。


企画部長

 一部繰り返しになるかもしれませんが、1月にいろいろ懸念される点について指摘されておりまして、例えば育成の対象となった児童が競技を継続できなくなった場合のフォローをどうするのかというような、要はその事業に参加された方が、参加したことによって逆に不利益を被らないような、そのような点については様々検討して、その内容について5月に御説明しております。
 執行部としては、一定程度御理解いただける内容を5月で説明させていただいたという判断で、今回6月の補正予算で提出したということで御理解いただきたいと思います。


吉田

 12、13ページ、2款1項6目企画費、地方創生事業のなとりスーパーキッズ育成事業で伺います。
 先ほども企画部長から、令和5年5月の段階で一層の説明をしたと捉えているという答弁でしたが、この事業はそもそも職員提案ということで、そしてその内容をよく聞いてみると、どうも本市の職員だけではなく、他の自治体の職員も交じった政策コンテストのようなもので、トップのグランプリを取ったということです。しかも、富谷市の研修所で行われたらしいのですが、別な方面からの情報によると、そのコンテストの内容を審査する基準は、政策そのもののよしあしではなくて、その政策を立案するまでのプロセスが評価される仕組みだったと伺っているのです。
 これがどこまで本当かは私も調査が進んでいないのですが、仮にそうであれ、そうでないにしろ、名取市民から出てきた提案や要望から始まったものではないというのが、やはり一番引っかかる部分です。これまで行政としてこの事業を進めていくことについて、市民に対してどういう説明をしてきたのか、どのようにして理解を得る努力をしてきたのか、5月以降また新たに何か加わったものがあれば、それも含めて伺います。


なとりの魅力創生課長

 まず、市民へのお知らせについては、現段階では特に行っておりません。令和5年1月と5月の議員協議会で、議員の皆様にお示ししたところで止まっている状態です。今後、この予算をお認めいただいたら、実施する内容については何らかの形で市民の皆様にお知らせする方向で進めたいと思っております。


吉田

 それは順番が違いますよ。普通は市民が求めていることを行政が行うものであって、行政がやったことについて後から市民に理解を求めるというのは順番が違うと思います。
 市民の中にはこのことを知って、それは面白そうだとか、本市にとって特色があっていいねと言ってくれる方も確かにいると思います。私も街頭でいろいろ活動している中で、このことを説明して市民にどう思いますかと問いかけると、今まで1人、すごく面白そうだから期待していると言った方もいました。ただ、ほとんどは、それは市のやることではないのではないか、民間の業者がやることではないか、それから手紙などで議員に対して、これは止めたほうがいいのではないかという市民の声が来ているというケースも耳に入っています。
 また、私は自分で集会を開いていろいろな市政報告をする中で、このことを御報告したら、市の支出がゼロだったとしてもやめてほしいという人がいました。費用がどのくらいかかるかとか、どのくらい抑えられるか、そういう問題ではない。費用がかからなくてもやめてほしいという人もいました。そういう様々な意見がある中で、これを行ってから説明するのでは遅いと思います。
 今、本市では、このことに対して現時点でどのくらい機運が高まっているか。市民の感覚として本当に理解が得られると捉えているのか。その根拠も含めて、例えば市に電話や手紙、目安箱などで推進してほしいという声がどのくらい届いているか。逆のパターンももしあれば、併せて伺います。


なとりの魅力創生課長

 市民のお声ですが、私が知り得る限りでは、直接一般の方お一人から、いい取組だとお話しされました。逆に、やめたほうがいいのではないかという声は、私の知り得る限りでは現段階では聞いていないところです。


吉田

 議案第56号 令和5年度名取市一般会計補正予算(第4号)におけるなとりスーパーキッズ育成事業に対する予算執行留保の附帯決議を議会案として提出したいと思いますので、よろしくお取り計らいをお願いいたします。


議長

 賛成者は6名であります。よって、会議規則第15条の規定に定める所定の賛成者がありますので、動議は成立いたしました。


(議会案第4号 「議案第56号 令和5年度名取市一般会計補正予算(第4号)」における、なとりスーパーキッズ育成事業に対する予算執行留保の附帯決議)

吉田

 ただいま議題となっております議会案第4号 「議案第56号 令和5年度名取市一般会計補正予算(第4号)」における、なとりスーパーキッズ育成事業に対する予算執行留保の附帯決議について、提案理由の説明を申し上げます。
 案文を読み上げまして、提案理由に代えさせていただきます。
 なとりスーパーキッズ育成事業(以下「本事業」)についてはこれまでに2回、議員協議会で説明が行われてきた。本年1月12日の議員協議会では、職員提案が基となった構想であることや、首都圏からの移住・定住を図るという目的のほか、事業概要やスケジュール等が説明された。議会側からは、職員による提案を積極的に採用しようとする姿勢や、新たな事業に挑戦することを評価する発言があった一方、市民が求めている事業ではないこと、プロモーションの効果への予測が甘いこと、オリンピック出場選手を育成するためには施設の整備が不十分であること、認定キッズの将来に責任を持てないことなど、事業の妥当性に対する疑問や懸念の声が多くを占めた。
 5月22日の議員協議会では、1回目における議会側からの指摘事項への対応とともに、ドロップアウトプログラム体制とメンタルケア体制が新たに示された。議会側の懸念を解消するための努力が認められる一方で、本来営利企業が行うべきことを行政が行う理由や、スケートボード以外の競技の導入に向けた展望などの説明は尽くされておらず、不安材料が払拭されたとはいまだ言えない状況にある。
 人口減少・少子高齢化問題への対応、市の認知度向上、児童生徒の体力・運動能力の改善は、本市の課題として議会側も共有しており、解決に向けた施策の推進に異存はない。しかし本事業の現時点での構想は、それらの課題を解決するには根拠が薄く、予想される弊害は多岐にわたる。こうした議会側の憂慮を押し切る形で、本事業費が補正予算に計上されたことは、執行部と議会との信頼関係に深い亀裂を生じさせることにもつながりかねない。
 以上の理由から、下記3事項について取り組まれるまでの間、本事業に係る予算執行の留保を求める。
 記
 1 本事業に対する市民の理解を得ること
 2 全ての児童生徒の立場を考慮し、スポーツに親しむ機会の拡大と、心身両面にわたるケアの充実を図ること
 3 本市のシティプロモーションを目的とする諸事業について、効果を検証するとともに課題を整理し、本事業がその課題解決につながるとされる理由を明確に説明すること
 以上、決議する。
 令和5年6月21日。名取市議会。
 以上です。どうか原案可決くださいますよう、よろしくお願いいたします。


熊谷克彦議員

 先ほどの議案第56号に対する質疑において、なとりスーパーキッズ育成事業の中で、オリンピックを目指すことについてはぶれないで実施していただきたいという議員の発言がありました。そのような観点からすると、ぶれないで実施していただきたいということと、今回の留保を求めることについては矛盾があると私は考えます。この点について伺います。


吉田

 それぞれの議員の考えがあり、オリンピック出場選手云々についての質疑もありましたが、私は矛盾はないと思います。もしこれを進めるとすればということであって、今の段階ではこの事業全体にこういう懸念が残っていると。ただ、執行部として進めていくという計画がありますので、仮にここでこの予算を全て可決した暁にはという意味での御質疑だったのではないかと、私は捉えたところです。


熊谷克彦議員

 そうすると、ここに署名している議員もなとりスーパーキッズ育成事業でオリンピックを目指すことはぶれずに実施していただきたいということですので、大きな方向としてはこの事業に対して賛同できる部分があるのではないかということで、予算執行の留保を求めることとの整合性が私は取れていないと考えます。したがって、この議会案については賛成しかねると申し上げておきたいと思います。


小野寺美穂議員

 まず、決議文は意見書等とは違って、この一言一句の文章が名取市議会の決議文となるということなので、内容も文章的にも精査が必要なのに、この短時間でという思いが否めません。
 まず1点は、本文の下から5行目「予想される弊害は多岐にわたる」とあるのですが、具体的にはどのようなことか、伺います。


吉田

 多岐にわたるということなので、1つには限りません。いろいろな分野での弊害が考えられると思います。例えば、学校現場において、特別に市から援助を受ける子供が来るということ、そのことに対する本人の心情面、周りの児童生徒への影響、そのようなことも含めて、多岐にわたるといっても、私がここで自分自身の思いとしてこれというよりも、これまでの議員協議会の中で様々な弊害と思われることが取りまとめられているはずなので、それをこのような形でまとめたと御理解いただければと思います。


小野寺美穂議員

 弊害がまとめられた、そういうおそれがある等について解決策を渡されたりしているのですが「予想される弊害は多岐にわたる」と断定している決議文になっているので、それを議会で出すからには、それ相応の根拠がなければならないと考えます。
 それから、この文章では、下記3事項について取り組まれるまでの間、留保を求めるとなっています。そうすると、今一例で話された学校現場での生徒の周りへの影響だとか、そういうことは以下の3項目が取り組まれれば改善されるという意味になるのでしょうか。


吉田

 学校現場のことは日頃から学校のプロの先生方が子供たち一人一人をしっかり見渡して、そして全ての子供にとっての最適な学習環境、生活環境を整えているはずなので、この点については下の3つの事項が取り組まれれば、直ちにその全ての弊害が解消されるとは言い切れないと思います。ただ、ここで断言している形にはなっておりますが、文言としては予想されるということなので、予想という意味では断言ではありません。必ず起こる弊害と言っているのではなくて、弊害が多岐にわたると予想されるということと等しい文言ですので、そのように捉えていただければと思います。


齋 浩美議員

 短時間で読み解くのは難しいですが、ただ、いろいろ先輩議員に聞くと、基本的にこういう決議は全会一致が一番効き目があるということで、そのためにも理解するための時間や調整する時間が足りなかったと思います。
 この後、採決になりますが、理解が進まない中で附帯決議だけ先行している感じがします。議会として全会一致で合意が達成できたところで行って初めて、執行部に対してかなり効き目があるかと思うのですが、その時間もない中で出されてきて、本当に効き目が出せるのかという疑問があります。その辺を提案者はどのように考えているのか、伺います。


吉田

 短時間でということで、できれば全ての議員が一致できる着地点を見いだすことが理想だということについては、水面下でいろいろ考えてきた上で、その方向に進むことを望んで行ってきました。ただ、それがかなわないことになった際には、このように附帯決議案として提出するかどうか改めて議論があったわけですが、やはりこれだけ議会で様々な懸念の声があり、説明責任がまだ果たされていない部分があること、捉え方はそれぞれかと思いますが、先ほどの答弁の中でも、少なくとも私はまだまだ十分に案が練られている状況にはないと思いますので、今回提出に至った次第です。


齋 浩美議員

 おっしゃりたいことは分かりますが、基本的に決議は全会一致が原則です。名取市議会で出すわけですから、賛成多数で通っても、やはり市議会全員がこう思っているという話にならないと、決議の法的拘束力がない中で執行部に対しての効果が少し弱いのではないかと思いますが、そのあたりをもう一度伺います。


吉田

 全会一致が理想であることは、私もそのとおりだと思います。ただ、どうしても着地点が見いだせない状況で、全員賛成なのか、賛成多数なのか、賛成少数なのか、賛成の割合がどうなのか、それによって執行部の捉え方がどう変わってくるか、私の知る範囲ではありませんが、少なくとも決議という形で提出することによって、もっとここに書かれていることについて、また今後の様々な事業についても努力を一層深められるように願いたいという気持ちは伝わるものと思っております。


大泉徳子議員

 そもそもなのですが、市長は市民に選ばれ、私ども議員は市民から負託を得てこの場におります。これまでの事業はもちろん、この事業もいろいろ議論されて、私は議案第56号の補正予算案で通ったものと認識しているのですが、提出された方は私たちの立場も含め、そこをどうお考えなのでしょうか。


吉田

 いろいろな考えの方がいるのは当然のことで、できるだけ一致点を見いだして全会一致でよりよいものにしていく努力をしていくべきだと思いますし、私もその部分については見えないところで努力してきたわけですが、どうしてもそれが難しいということになりましたので、苦渋の決断という形でさせていただいた次第です。


大泉徳子議員

 そうすると、この議会案は名取市議会ということで提出されておりますが、例えば3事項の1、市民の理解を得ることについて、具体的にどういう形で市民に問い、これからどう行動されるお考えなのか、お尋ねします。


吉田

 市民の理解を得る努力をするのは執行部側なので、私がそれをどうするかということを指示することはできないのですが、市民の理解は、やはり8万人の人口を抱える名取市で、全員が全員もろ手を挙げて賛成ということはどんなことについてもあり得ないわけで、かといって多数決で、49対51だったら51のほうが正しいから全てやるという乱暴な話でもないと思うのです。少なくとも、やはり住民のための説明会など、先ほど館腰公民館の建て替えの件については4回行うという答弁がありましたが、それと同じように住民に対する説明の機会を設けながら、そういう努力をしていくことは必要ではないかと思っております。


小野寺美穂議員

 そういうふうに理解してほしいというような文言では、名取市議会の決議文として上げるのは無理です。要するに読み方がいろいろあるような決議文を名取市議会として出すことはできません。もう少し文章の精査と文言の整理などをして、例えば「執行部と議会との信頼関係に深い亀裂を生じさせることにもつながりかねない」という根拠も分かりません。
 私は最初の令和5年1月の議員協議会のとき、率直に何で急にという感じはありましたが、職員提案の中で、ニッチな部分にも手を入れていかなければ新規事業はできないなどという理由もあるだろうし、ある程度ドロップアウトプログラム等にも時間を割いてもらったこともあって、これはまず実施してみたらどうかという感想を持っているのです。深い亀裂を生じさせることにもつながりかねないという根拠は何か、伺います。


吉田

 いろいろな意見があって、二元代表制の中で、もちろん執行部の権限と議会側の権限、お互いに市民の代表ということ、私が申し上げるまでもないのですが、やはり考えがここまで割れてしまっていると。私も質疑しましたが、決してこのなとりスーパーキッズ育成事業そのものに全部反対ということではなく、まだまだもっと改善すべき点があるのではないかと考えます。それは一部は改善されたかもしれませんが、それ以外にもまだ改善しなければいけない、あるいは説明を尽くさなければいけない部分があったのではないか。2回目の議員協議会の際には、そのように感じ、捉えたところでした。
 そういうことから、いろいろな考え方がある中で、もう少しお互いに歩み寄れるところをしっかり探ることは、手続として必要だったのではないかと思っております。


小野寺美穂議員

 伺っているのは、深い亀裂です。深い亀裂を生じさせることにもつながりかねないというのは、どういうことを根拠にしているか。そして、深い亀裂とは何か。
 文章にして決議文として出すことは、物すごく責任があるのです。名取市議会で出すということでしょう。留保するとかどうのこうのももちろん、一つ一つの文章に責任を持つのは意見書の審査でおやりになっていることではないですか。だから、深い亀裂というのは何ですかと聞いているのです。


吉田

 やはり市民への説明がしっかりなされていない事業、これを議員として推し進めるというのは、さすがに私個人としては難しいと考えます。それは執行部がこういうことを進めたいという非常に強い思いがある一方で、でもこちら側のこれまで質疑してきたこと、あるいは指摘してきたこと、まだそれに対して十分に答え切れていない部分があるという意味で、そこにやはり心の亀裂が走ってしまっては困るということです。そういう説明をしっかり果たし、住民に対して少なくとも説明の機会を設けて、市民の声も集めるという、そういう手続を取った上で、こうした予算を的確に執行していただきたいということです。


熊谷克彦議員

 先ほど体育施設がなかなか修理できなくて、そちらを優先すべきだという御意見も伺いました。一方で、予算の執行の留保を求めるということは、現在オリンピックを目指している方がいるかもしれず、その方々の夢を潰すかもしれない。そういう予算の執行を求めるということなのです。青少年の夢を潰してもいいという判断になりますが、その点についてお尋ねします。


吉田

 私は、子供たちが自分の将来に向かって夢を持って成長していくことを応援する立場です。そこまで質疑をされるなら、私もあえて言わせてもらいます。この案を可決されたときに、皆さん、誰の顔を思い浮かべますか。いろいろな議案が、予算があります。困っている人がいて、その困っている人を救うために予算がつけられる。低所得者や、物価高騰のあおりを受けて商売がうまくいかない事業者の方、必ず誰かの顔が浮かぶはずなのです。
 でも、この議案が成立したときに、私は誰の顔も浮かばないです。それは多分私の身近にいないだけかもしれませんが、ただ実際、どうでしょう、もしそういう方がいて、どうしてもこれを進めなければいけないという理由があるなら、それについてもしっかり執行部から説明されるべきではないでしょうか。


熊谷克彦議員

 スポーツとオリンピック云々については、本市からオリンピック選手が出たらいいねという考えはずっと昔からあったところです。それで、個人名は控えますが、バレーボールのオリンピック選手が出たという経緯があります。
 様々な夢を持つ方を行政が応援することは意義深いと私は思っているので、予算の執行留保を求めるとなると、いつまでどのような形で求めるのか、その間どのようにするのかということが当然出てきますので、その留保を求めることについては難しいと思います。


齋 浩美議員

 3ページ、2番のところです。「全ての児童生徒の立場を考慮し」云々とあり、単純なことで申し訳ないのですが、主語がなとりスーパーキッズ育成事業を利用する子供になるのか、それ以外の市立学校にいる児童生徒を指しているのか読み取りづらいので、この辺を整理させてください。


吉田

 あえて市内とは書いておりません。全てというのは、文字どおり全ての児童生徒ということで捉えていただければと思います。


齋 浩美議員

 それは少し曖昧ではないでしょうか。名取市議会で決議を行うわけですから、本市の事業であれば、やはり市内と書くべきだったのではないかと思うのです。そこのところは、全てというのは、市立学校や市内の全ての児童生徒という感じで枕言葉をつけるべきではなかったかと思うのですが、あえてつけなかった理由をもう一度伺います。


吉田

 枕言葉をつける必要はなく、全てと言えば全ての児童生徒と自動的に解釈されるものと思いますので、このような文言としました。


小野寺美穂議員

 再三申し上げるのですが、市議会が出す決議文の文言には、やはりもう少し慎重になっていただきたい。今の全てといったら何ですかというのは、我々は逆に執行部に聞きませんか。全てという対象はどこですかと。立場を考慮してスポーツに親しむ機会の拡大とか、心身のケアの充実には予算がかかりますよね。その場合に、全てという表現を逆に我々は執行部にさせないと思うのです。対象者は誰ですか、対象はどこですかと聞くと思います。ですから、文言をもう少し丁寧にしていただかないと困るということ。いろいろな予算について、対象は誰ですかと絶対聞くと思います。全ての子供ですかと、必ず聞いていますから。
 それから、本事業に対する市民の理解なのですが、何しろ名取市議会が出した決議文として残るということに、すごく私は重きを置いていて、丁寧につくってほしいのです。例えば、先ほど補正でも出ましたが、本予算に熊野三社勧請900年記念ミュージカル公演委託料というものがあります。これは全ての市民に、実施していいですかと聞いていますか。例えば、名取市沿岸周遊キャンペーン事業とか、みんなに聞いていますか。春祭り、夏祭りどうですかと聞いていますかとなるじゃないですか。「本事業に対する市民の理解を得ること」という表現をしてしまうと、では、ほかの事業についてはそれを行っていますかとなりますので、そこのところの表現方法です。例えば、なとり環境フェスタをもっとやるべきだという、環境を考えるのは大事です。けれども、フェスタをやるべきなのかどうなのかということを市民に問うてから、ここに上げられてきてはいません。
 なので、その辺の表現としてそこはどうなのか。どう思って書いているのかを伺いたいです。


吉田

 決議文の文言が一言一句非常に大事なものだということについては、おっしゃるとおりだと思いますし、そうしたことについての努力もしてきたつもりですが、これが完璧なものだと言い切れないことも確かにそのとおりだと思います。そういうことはこれから議会で、またこういう機会が出てきたときに、決議文を作成することについては今回の反省を踏まえて行っていけばいいのかと思います。
 今の御質疑で、例えば熊野三社の勧請900年記念ミュージカル公演について住民の理解というお話がありましたが、少なくとも私の周りでは楽しみにしている等、そういう声は聞こえてきております。


小野寺美穂議員

 熊野三社は例として出したのですが、様々な事業、イベント等について、市民の理解を得てから議会に上程するとなると、我々は何のためにいるのですかという話にもなります。
 それから、先ほど決議文について完璧ではないが後々反省を踏まえてということでしたが、それはどういうことですか。決議文として上がったら、それは決定です。何か別の機会に変えればいいとかいうことではないです。どうなのですか。だって、意見書にあれだけ突っ込みを入れるではないですか。そうしたら、これだってもっと重要ですよ。名取市議会議員全員で上げるのですから。決議文として発表するので、文章は完全ではないと思っているというのは、どういうつもりで出されているのかということです。


吉田

 提案理由の説明は先ほど行ったとおりです。
 市民の理解を得られるかどうかということの見方も、それは一つ一つの事業について、これはどうですか、あれはどうですかと聞いて回るなどということは到底できるはずもありませんし、市民の方々それぞれの意見は直接市役所に届けられるものもありますし、様々だと思います。
 最初は反対だったが、実施してみたらよかったと思われる事業もありますし、最初期待したけれども、実施してみたら何でということも、あってはならないのですが、絶対ないとは言えないと思います。
 ただ、この議案については、やはり議会内でまだまだ説明が尽くされていない。もっといいものにしていけるのではないかという趣旨の質疑が5月にもあり、今の段階でもあるにもかかわらず、こうして多数決という形で決まっていくわけですが、補正予算の中で上程されてきたことに対して、議会側の考えを示す機会は必要ではないかと思っております。


熊谷克彦議員

 「5月22日の議員協議会では」云々とあり、その後に「本来営利企業が行うべきこと」と断定しております。青少年の夢や希望をかなえるための事業を、営利企業が行うことだということについては、私はそのように思わない。なぜ青少年の夢や希望をかなえるための事業を営利企業が行うべきことだとするのか、説明をお願いします。


吉田

 私が事業を推進しているわけではないので、なぜそういう質疑をされるのか理解に苦しむのですが、営利企業が行うべきということについてはこの間も質疑をしたのです。なぜ営利企業に実施してもらわないのですかと言ったところ、答弁として、本市くらいの小さな規模の自治体では、営利企業で主体的に行ってくれるところはないという答弁だったと記憶しています。
 ただ、どちらにしても、学習指導要領にのっとってできる限り子供たちの学力や運動能力、体力をつけていくというのは、学校の役割が第一義的なものです。それ以上にオリンピックとなってきますと、やはりそれは子供の夢という部分で見れば夢かもしれませんが、企業にとっては必ずしも子供の夢のためだけにオリンピックを捉えているわけでもなく、やはりそこにスポンサーの関係や放送の権利等、営利企業なりの論理がついてしまいます。だから、オリンピックということではなく、広く子供のための施策を進めていくことに関しては、執行部には引き続きお願いしたいと思うのですが、やはりこのスーパーキッズの内容というものは営利企業が行ってしかるべきものでないかと思います。


熊谷克彦議員

 そうすると、提案者においては、このなとりスーパーキッズ育成事業については、営利企業だけで行うのが望ましいとお考えなのですね。私の質疑の中では、青少年の夢や希望をかなえるため云々ということもあり、その点については少し矛盾があると思うのですが、どのようにお考えなのか伺います。


吉田

 以前にも議員協議会で私は質疑をしておりますが、主体となるのが営利企業ということです。民間の企業が主体となり、本市が施設の貸出しにある程度便宜を図るなり、あるいは広報などいろいろな媒体を使って、そうした子供たちを応援していくことについては、こういう関係はよくあることであって、子供の夢を育てていくという意味でそのように市が関わっていくことについては、私としては異論はないところです。
 ただ、このたびの事業については、そういう形としてではなく、委託料などをつけて市が事業者に丸投げして行うという形になって、おまけにそれを市のプロモーションのために利用することにもなってきますから、やはりこれは民間に委ねるほうが望ましいのではないかと思います。


小野寺美穂議員

 本当に決議文の文章をきちんとしてほしいというのは変わりません。
 今の本来営利企業が行うべきという話ですが、まず私はこのデジタル田園都市国家構想そのものをもろ手を挙げてよしとしているものではありません。国がデジタル田園都市国家構想交付金を使って事業を進めていく、その一環として、今回その交付金を受け取って実施するということです。地方自治体の知恵としては、国の思うがままになるのではない中で、どのように交付金を持ってくるかということも一つ知恵の使いどころのような財源でもあるのですが、本来企業が行うべきことだとなると、この地方創生デジタル田園都市国家構想交付金には当てはまらなくなるわけですが、その辺の歳入の部分との関係はどう精査していくつもりでの決議なのか、伺います。


吉田

 市には市の課題があって、その課題を解決するために様々な施策を取っていく。デジタル田園都市国家構想という国の大きな方針の流れの中で、いろいろな施策を取る中の一つとして、このなとりスーパーキッズ育成事業が位置づけられているとは認識しております。
 ただ、その目的を果たすため、交流人口であれ定住人口であれ、人口を増やすことについてはほかにも様々な手段があるわけで、このなとりスーパーキッズ育成事業については、人によってはオリンピックのためと捉えていたり、答弁のときもオリンピックと答弁されたり、やはり事業の構想そのものが一体何を目的にしているのかということが、しっくりこないという感覚をいまだに持っています。国の交付金を得るために、いろいろな工夫をしなければいけないということを否定するものではありませんが、それだったらもう少し方法として分かりやすい、市民に説明しやすい、あるいは市民の賛同を得やすい、賛同を得たと捉えやすいような、そういう形で進めていったほうがよろしいのではないかというのが、私の考えです。