令和2年第9回定例会(12月)


本会議

(議案第99号 名取市道路占用料条例の一部を改正する条例

吉田

  占用物件の代表的なものとして、第1種から第3種の電柱と第1種から第3種の電話柱がありますが、この6区分の占用料が支払われている件数について、今数字を持っていればお伺いします。あわせて、近年の件数の増減など、傾向を捉えていればお知らせください。


土木課長

 現在、その数字は持ち合わせておりません。


吉田

 今回の条例改正では、附則で「施行日以後に徴収すべき占用料について適用し、同日の前日まで徴収すべき占用料については、なお従前の例による」となっています。現時点で設置されている物件の占用料は令和3年4月1日をもって改定されますが、料金がある日をもって変わるというのは、設置した側にとっては急に金額が大きくなるということです。既存の物件は設置時点の金額が継続されて、新たに設置する分が改正後の条例に基づくということではなく、既存物件の使用料についても市で変更して差し支えないというのは、この附則だけが根拠となるのか、あるいはそれ以外に例えば契約書等にそのような文言は盛り込まれているのですか。


土木課長

 まず、道路占用については、契約行為ではありませんので契約書はありません。占用料の徴収については、道路法第39条で占用料の額及び徴収方法は道路管理者である地方公共団体の条例で定めることとされており、それを受けて本市において名取市道路占用料条例で定めているところです。したがいまして、占用料単価の改正が行われた場合は、改正後の占用料について条例の第4条により毎年徴収することとしております。


議会案第7号 日本政府に核兵器禁止条約の参加・調印・批准を求める意見書

吉田

 核兵器禁止条約に参加するべきだという意見書は、私の記憶している限り、本議会でこれまで3回提案されています。1回目が平成28年6月定例会の日本政府に核兵器全面禁止のための決断と行動を求める意見書で、賛成19、反対1で修正案が可決されました。翌年の平成29年6月定例会では、日本政府に核兵器禁止条約のための行動を求める意見書が賛成11、反対8で賛成多数となりました。そして、平成30年6月定例会では、日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書が賛成6、反対12で否決されました。
 このように議会でも判断が揺れて非常に難しいテーマであると思いますが、内容というか、核兵器禁止条約の理念は大変すばらしいものである一方で、なぜ日本政府がこれを批准しないかということについてどう捉えているのか、お伺いしたいと思います。


小野寺美穂議員

 今回の意見書提出者の立場といたしましては、日本政府は唯一の被爆国として核保有国と非保有国の間に立って反対の意思を表示するべきだと。ですから、批准を求める意見書となっております。日本政府がなぜ批准しないのかということについては、私が代弁するものではありません。


吉田

 そこは非常に大事なところだと思うのです。日本が核兵器保有国、非保有国の間に立ってといいますか、核兵器の廃絶に向けた取組としては、核兵器不拡散条約に基づいて核軍縮の実質的な進展のための賢人会議を発足しており、そのような形の成果も着実に出ていると認識しております。
 そして、現在、日本政府の立場は明確にされています。外務省が発行する「外交青書」で毎年このことについて丁寧に記載されている中で、日本政府の考えが示されており、「日米同盟の下で核兵器を有する米国の抑止力を維持することが必要です」と言い切っているわけです。ですから、日本が核兵器禁止条約を批准することは、政府として日米同盟を現状から大きく変えない限り非常に難しく、それを本当に望むのであれば、順番としてはそちらが先ではないかと思いますが、日米同盟と核兵器禁止条約をどのように両立させることができると考えているのでしょうか。


小野寺美穂議員

 私は外務省の人間でも何でもないのですが、日米軍事同盟というものは解消すべきであると考えています。国と国との外交関係は構築するべきですが、今度大統領が替わるようですのでどうなるか分かりませんが、現在のような形での日米軍事同盟については解消する必要があるという立場を取っています。
 今回の日本政府に核兵器禁止条約の参加・調印・批准を求める意見書の内容にあるように、来年1月22日に発効することが確定していますので、やはり日本としてもどのような姿勢で核兵器廃絶を求めていくのかという態度を示すべきということがこの意見書の内容でありまして、日米軍事同盟が今後どうなっていくのかといったようなことは私に求められても困ります。


一般質問

吉田

  10番吉田 良です。ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、事前の通告に従い、一般質問を始めさせていただきます。
 初めに、大項目1 交通安全のための施策についてお伺いいたします。
 第10次名取市交通安全計画の計画期間が令和2年度をもって終了いたします。交通安全計画には、基本理念として、人命尊重、究極的には交通事故のない社会を目指すべきこと、そして、人優先の交通安全の理念を基本とすることが明記されております。この基本理念に基づいて、交通安全についての目標、今後の交通安全を考える視点、講じようとする施策等が具体的に記載されております。
 第10次の計画期間内における交通事故の発生状況について、岩沼警察署から聞き取りを行いました。本市内における人身事故については、平成28年が427件、平成29年が330件、平成30年が277件、令和元年が234件、令和2年は10月31日までの件数ですが149件、このように年々減少傾向にあります。これは、警察や市当局、また交通安全協会などボランティアの皆様による交通安全に向けた取組のたまものと感謝の意を表したいと思います。
 次期交通安全計画は、交通安全対策会議による策定作業がこれから本格化すると伺っております。交通安全対策会議の会長でもある市長に、小項目1 第10次名取市交通安全計画に基づく施策の主な内容及びその効果、並びに次期計画において見直すべき点をどのように捉えているのかをお伺いいたします。


市長

 平成28年度からの5か年計画で作成しました第10次名取市交通安全計画は、「交通事故のない社会を目指して」をスローガンに、人命の尊重と人優先の交通安全を基本理念とし、名取市内の交通事故年間死者数を1人以下、年間死傷者数を506人以下という具体的な数値目標を掲げて取り組んでおります。
 この計画の中では、今後の道路交通安全対策を考える視点として、高齢者及び子供の安全確保、並びに歩行者及び自転車の安全確保の2つの視点から、道路交通環境の整備、交通安全思想の普及徹底、安全運転の確保等の7本の柱を掲げており、これらに沿って歩道の設置や交差点の安全対策等のハード面の整備に取り組んできたほか、交通安全市民総ぐるみ運動の実施や各種交通安全教室開催等の広報・啓発活動などのソフト面の対策にも取り組んでまいりました。
 その効果でありますが、先ほどの数値目標について、令和元年中の死者数は3人でしたが、死傷者数は291人と目標を大きく下回っており、一定の成果が上がっているものと評価しております。
 次期計画において見直すべき点につきましては、議員の次の質問に関連いたします信号機のない横断歩道における歩行者優先のほか、本市は自転車を利活用したまちづくりを推進していることから、自転車運転者に対する啓発の強化などの項目が考えられますが、いずれ、今後策定されます国や県の次期交通安全計画との整合を図りながら、交通安全対策会議の中で検討してまいりたいと考えております。


吉田

 令和元年第3回定例会で、大久保主計議員の一般質問に対し、交通安全対策会議を早期に開催し、進捗状況の確認や関係機関の情報共有、第11次交通安全計画の課題の抽出等に向けた準備を進めているとの答弁がありました。確かに、令和元年7月17日に開催されているようです。しかし、こちらの内容については、ホームページに掲載されている議事録を読んでも、その進捗状況、情報共有、課題抽出等について確認ができる部分のボリュームがあまりないのかなと思ったところです。これらについて、より具体的な内容をお伺いしたいと思います。


防災安全課長

 昨年の交通安全対策会議ですが、議事録はホームページに載せておりまして、その中で、第10次名取市交通安全計画の概要について情報共有をして、平成28年度から平成30年度における交通安全施策の実施状況ということで国、県、警察、市における道路の整備関係あるいは標識の整備、交差点の改良などの話をして、皆さんと情報共有をしたところです。
 また、委員の中には学校関係や警察関係の方もいますので、例えば歩車分離式の信号を今後増やしていくかどうかなどの議論があり、実際増えているところもあります。あと、高齢者の運転免許の自主返納の話題もあって、要望として今後検討していくということで、先ほど言った国、県、警察、市で情報共有をしながら交通安全対策に取り組んだところです。


吉田

 本計画の第1章第2節の2には、「自動車と比較して弱い立場にある歩行者の安全を確保することが必要不可欠」とあります。これはごく当たり前のこと、大原則だと思います。それで、第3節には具体的な施策が記されておりますが、この必要不可欠とされる歩行者の安全確保について、第10次の計画期間内に十分に市が予定されていた対策は進んだと自己評価されているのでしょうか。


防災安全課長

 先ほど議員からもあったとおり死傷者数が減少しているということは、我々としても啓発活動、あるいはハード面においても歩道の設置や交差点の改良などを行って、非常にいい効果が出たのかなと思っているところです。


吉田

  では、次に移ります。民間が行った実態調査に対する市の受け止め方についてお伺いいたします。
 日本自動車連盟JAFは、2016年より、信号機のない横断歩道における歩行者優先について実態調査を実施しております。JAFから聞き取りを行ったところ、このような調査を行ったのは、そもそもオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることが決まったことが理由だそうです。外国人、特にヨーロッパからの来訪者が自国にいるのと同じ感覚で信号機のない横断歩道を渡ろうとすると日本では危険だということで、信号機のない横断歩道における歩行者優先を日本人の間で啓発することが一つの目的だったということです。
 どのような内容かといいますと、47都道府県でそれぞれ2か所ずつ、信号機が設置されていない横断歩道が対象となります。センターラインのある片側1車線、原則として調査場所の前後5メートル以内に十字路及び丁字路交差点がなく、道路の幅員が片側2.75メートルから3.5メートル、交通量が1分間の目安で3台から8台、制限速度が時速40キロメートルから60キロメートル程度の箇所とされております。そして、調査対象は、横断歩行者側の車道を走行する、つまり歩行者が立っている側の車道を走行する自家用自動車、自家用トラックで、JAFの職員が歩行者となり、横断歩道の立ち位置や横断しようとするタイミングも全国で統一されているといいます。調査回数は、1か所当たり50回としています。なお、天候についても、小雨を含む雨天時以外ということで統一しているそうです。
 この実態調査の最初の年である2016年は、都道府県ごとに2か所ずつ計94か所において、歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車は、通過車両1万26台中、僅か757台、率にして7.6%でした。翌2017年は1万251台中867台、率にすると前年を僅かに上回る8.5%でしたが、それでも9割以上の自動車は一時停止をしない実態が明らかになりました。そして、この年はドライバーが一時停止をしない、あるいはできないと考えられる理由についてのアンケート調査も行われました。
 そして、その次の年からは、都道府県ごとの一時停止の割合が公表されました。2018年、停止した車の割合が最も高いのが長野県で58.6%、最も低かったのが栃木県で0.9%、全国では8.6%、前年比で0.1ポイントの上昇にとどまりました。2019年は、トップは長野県で変わりませんでしたが、ワーストは三重県で、全国では17.1%、この全国での割合が前年よりも大きく上昇していることが分かりました。そして、問題は今年、最新の2020年です。トップは長野県で変わりませんが、ワーストはここ宮城県でした。全国平均が21.3%であるのに対し、宮城県の数字は5.7%でした。私も一県民として、大変残念な結果であると思っております。
 そこで、小項目2 JAFが実施する「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」で、宮城県は今年、47都道府県中最下位でした。このことについて宮城県の一自治体としてどう捉えているのか、市長にお伺いいたします。


市長

 議員御指摘のとおり、日本自動車連盟JAFが行っております信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査の2020年調査において、宮城県は一時停止した車の割合が5.7%と、全国で最も低い結果になったと発表されました。全国平均の21.3%に対し宮城県の5.7%という数字が大変低い数字であったことに驚きを感じますとともに、大変残念に思っております。
 道路交通において歩行者優先は基本中の基本でありますので、名取市といたしましても、今回の調査結果に鑑み、県や警察等、関係機関との連携を図りながら、より一層の広報・啓発活動に努めてまいりたいと考えております。


吉田

 この調査は、対象となる横断歩道は各都道府県で2か所ずつということですが、JAFに確認したところ、原則として毎年同じ箇所で行っているそうです。特に道路の工事があったりしない限り、同じ場所で繰り返し行われているということです。それは県庁所在地にある横断歩道ということで、宮城県の場合は仙台市ですから、名取市内の横断歩道が対象になっていることはないようです。ただ、やはり宮城県としてはそういう数字になったということで、市内を常に広く観察しておられる市長として、本市における信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止の状況について、感覚としてどのように捉えておられるのかお伺いしたいと思います。


市長

 そういう統計的な視点を持って見たことがありませんので、今お答えできる状況にはありません。ただ、私自身、渡ろうとしているときに止まっていただけないこともあるものですから、そういったことについては歩行者優先なのになという感想を持ったことはあります。


吉田

 私も全く同じでして、止まってもらえないこともそうですし、実際に止まれないケースもあります。そのあたりは後ほど取り上げたいと思いますが、ここで、市内の信号機のない横断歩道の箇所数、そして横断する歩行者が特に多い場所について、もし把握されていましたらお伺いしたいと思います。


防災安全課長

 信号機のない横断歩道の箇所数ですが、岩沼警察署に問合せをしたところ、300本以上ということでした。なお、名取市内における横断歩道の数は約800本ということです。
 それから、横断者数については把握していない状況です。


吉田

 300本というのは意外に多いなと思います。全体の横断歩道が800本のうち、信号機がない横断歩道が300本以上と。半分まではいきませんが、それに近い数の横断歩道が信号機がついていないということで、こういう数字からも、対策をこれから進めていく必要があることは明らかかなと思います。
 市内における人身事故の件数については減少傾向にあることを先ほど御紹介しましたが、その人身事故のうち、横断歩道で起きた事故の件数も聞いています。こちらは平成28年から1年ごとに5件、6件、11件、10件、令和2年は10月末までで既に15件ということで、横断歩道のある場所に限っていうと年々増加傾向にあるという実態でした。
 なお、こちらは信号機の有無までは記録されていないそうですが、市として特に危険な横断歩道として認識されている場所がもしありましたら、そちらについてお伺いしたいと思います。


防災安全課長

 危険箇所として認識している横断歩道ということですが、特にどこが多いとか、そこまでは把握していない状況です。


吉田

 先ほどの答弁と併せますと、横断する歩行者の数の多い少ないとか、危険の度合いについて、市として捉え切れていないということのようですが、今後、そのあたりをどう捉えていくかというのは一つの課題かなと感じます。
  それでは、次に移ります。交通安全計画の取締り等の要請実績についてです。
 第10次交通安全計画の第1章第3節4に、交通ルール無視による交通事故を防止するための指導取締り等について記載されております。運転免許を取得するために教習所で必ず学ぶことではありますが、運転者は、横断歩道や自転車横断帯を歩行者や自転車が横断しているときや横断しようとしているときは、横断歩道や自転車横断帯の手前、もし停止線がある場合はその手前で一時停止をして、歩行者や自転車に道を譲らなければならないことになっております。つまり、信号機のない横断歩道において歩行者優先が守られていないという状況であれば、これは計画に基づいて警察機関に指導取締り等を要請しなければならないと、計画の文言からは読み取れると思いますが、現状についてはいかがでしょうか。
 小項目3 名取市交通安全計画の第1章第3節4(1)に、警察機関へ指導取締り等を要請する内容が3項目明記されているが、計画期間中に信号機のない横断歩道における歩行者優先について取締り等を要請した実績はあるのか、市長にお伺いいたします。


市長

 交通安全計画に基づいて警察機関に対し行ってきた要請といたしましては、信号機や横断歩道の設置等、交通規制などでありますが、御質問にあります信号機のない横断歩道における歩行者優先の取締りについては、警察機関で自主的に取り組まれている状況であります。
 そのような状況から、議員御質問の取締りについて市から改めて警察機関に要請した実績はありませんが、令和元年の秋の交通安全運動では、信号機のない交差点での街頭指導として、市役所の北側にあります、やまや・ツルハドラッグ・守屋寿司前の交差点で、岩沼警察署等の関係機関と合同で、歩行者の保護・誘導と通行する車両に対する啓発活動を行っているところです。


吉田

 今おっしゃった箇所はやまやのある、閖上に向かうための道路の十字路のところですか。市役所のすぐ目の前のチャイナのところではなく、もう一つ北側の交差点ですね。そちらで秋の交通安全運動で啓発活動を行ったということですが、どのような検討をしてその場所を決めたのか、その経緯をお伺いできればと思います。


防災安全課長

 この場所については、岩沼警察署、交通安全協会増田支部、名取市、岩沼地区地域交通安全活動推進委員で、岩沼警察署を中心に決めて行ったところです。


吉田

 警察署が中心になってその場所を選定したということかと捉えました。市内には先ほどの答弁だと300か所以上あるということで、全部に立つことは当然できないわけですが、これからそういう箇所を増やしていただくと同時に、この第10次名取市交通安全計画の中には要請するということが書いてありますが、実際には規制の部分であるということが御答弁でもありましたので、この文章が有名無実化していないかどうか、もう少し検討していただかなければいけないのかなとも感じたところです。
  それでは、次に移ります。具体的な施策を提案していきたいと思います。
 私も車を運転しますが、信号機のない横断歩道を渡ろうとしている人を見かけても、やむを得ずそのまま走行してしまうことがあります。例えば、自分のすぐ後ろに後続車があって、急ブレーキをかけることによって追突されるおそれがあると判断する場合です。先ほど紹介したJAFが2017年に実施したアンケートによると、停止しない、できない理由として33.5%の回答者が、一時停止した際に後続車から追突されそうになる、あるいは追突されたことがあるからと回答しているようです。
 そのような追突事故を防ぐために考えられたのが、車体の後部に、横断歩道で止まりますと書かれた注意喚起のステッカーを貼ることです。主に九州地方でJAFや警察、民間組織などが連携し、進められていると伺っています。個人的にこれはいいなと思ったわけですが、残念ながら、現在、宮城県ではこれを手に入れることはできません。
 そこで、小項目4 JAF熊本支部や佐賀支部は、後続車に対して横断歩道を横断する歩行者がいる場合は一時停止をアピールする啓発ステッカーの貼付けを推進しています。本市も県警や関係機関等と連携の上、啓発ステッカーを作成し普及を図ってはどうかと考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。


市長

 一時停止をアピールする啓発ステッカーには、マグネットシート型や粘着シール型など、デザインも含めて様々な事例がありますが、啓発ステッカーを貼付けすることにより、後続車へ横断歩道手前で停止することをアピールすると同時に、ドライバー自身の意識向上に一定の効果があるものとされております。
 岩沼警察署によりますと、昨年度、岩沼警察署独自に「横断歩道 ストップ! 停止! 私は横断歩道で歩行者に進路を譲るために止まります」という文言のマグネットシートを作成し、パトカー等に貼り付けたほか、宮城県トラック協会仙南支部においても同様の取組がなされたと伺っております。
 今後、先進事例などを参考にしながら、岩沼警察署をはじめ県や宮城県警察等の関係機関と、本市としてどのように連携が取れるか、検討してまいりたいと考えております。


吉田

 このステッカーはJAFが主体となって行っているものとして私は紹介しましたが、宮城県では、確かに宮城県警察と交通安全協会が、今後、何かそのようなものを貼る形での啓発を進めていくという検討が進んでいるようです。ですので、市独自でといっても、やはりそちらと調整しながらということもありますので、何が何でも名取市でやっていかなければいけないとは考えていません。ただ、一方で、JAFの宮城支部にいろいろお話を伺ったところ、このステッカーは、地域によっては御当地ステッカーという形でデザインしているところもあるそうです。JAFが製作したステッカーの中で、特にJAFの福岡支部では、福岡ドームとか福岡タワーが背景に写り込むような、よりなじみのあるデザインにしたそうです。本市ならシンボルとなるのは仙台空港かなとかいろいろと考えたりするのですが、そういうものも含めて、JAFに対しても市として何か一つ、こういうことをやってみたいという気持ちがあれば提案していただきたいと思いますが、そこまでのお気持ちにはならないでしょうか。


市長

 取組があるのであれば、連携の中でそれをうまく活用していきたいと思っております。御当地ステッカーというのもすばらしいアイデアだと思いますが、本来の目的はやはり歩行者優先という意識を後続車にしっかりと伝えて、マナーを上げていくということだと思いますので、そこに至るためにどういうプロセスや手法がいいのか、検討していきたいと思います。


吉田

  次に、信号機のない横断歩道に限らず、人優先の交通安全の理念を広く浸透させるための方策について考えたいと思います。
 市の公共施設の中には、市役所をはじめ多くの車が出入りする駐車場を備えている施設があります。大抵の利用者は歩行者の安全に気を使って運転しているようですが、時には、危険を感じる速度で走行する車や歩行者が通行する目の前を走り抜ける車を見かけることもあります。
 第10次名取市交通安全計画には、道路と踏切道以外の交通安全についての施策は書かれておりません。これは、人が死亡するような重大事故が発生する場所ではないということが理由だと思います。しかし、計画に盛り込むまでもないという意味で、やはり駐車場における安全運転も一つの大切な課題ではないかと思っています。
 そこで、小項目5 市役所をはじめ公共施設において、駐車場内での歩行者優先の走行を啓発すべきと考えますが、施設の管理者としての市長と教育長の御見解をお伺いいたします。


市長

 車両運転時のルール・マナーにおいて、歩行者優先が基本であり、一般道路に限らず駐車場内においても同様であります。しかしながら、議員御指摘のとおり、様々な場面で歩行者優先を守らないドライバーを見かけることもあります。
 市といたしましては、今後、それぞれの公共施設の実情に合った形で、交通ルール、マナーの基本である歩行者優先について広く周知してまいりたいと考えております。
 例えば、市役所には、正面玄関から南側の駐車場に向けての部分と、正面玄関から東側のATMに向けての部分に2本の横断歩道がありますが、横断しようとする歩行者がいるにもかかわらず、車が停止せずに通過するようなことも見受けられますので、敷地内においても歩行者優先であることについて、ホームページでの周知や注意喚起の看板等掲示物の設置について検討したいと考えております。


教育長

 教育部所管の施設である公民館、文化会館、市民体育館には、多くの利用者が自家用車で来館しております。
 市長答弁にもありましたように、駐車場内であっても歩行者優先が基本であると思います。幸いにも、これまでに駐車場内での人身事故の報告を受けたことはありませんが、引き続き、施設利用の皆様には敷地内徐行や歩行者優先の注意喚起を行ってまいります。特に、児童や近隣住民の往来が多いところは注意して通行するよう、今まで以上に声がけをしてまいりたいと考えております。


吉田

 市長から、看板の設置も検討したいというお話がありました。私は前々から申し上げていますが、看板の設置は景観上、必ずしもいいものではないと捉えております。特に、看板は視界を遮ります。そして、注意を引くから効果があるものです。場所として視界を遮らなければいいということではなく、交通安全の呼びかけにはもう少し別の形を考えていただきたいと思います。例えば、路面上の標示で「横断者注意」とか、そういうものであれば視界を遮ることもなく運転者に気づいてもらえると思いますが、その辺の考え方はいかがか、市長に伺います。


市長

 交通安全に限らず、お伝えしたいことを全て看板にしていったのでは看板だらけになってしまいますので、私も必ずしも看板が最善の方法とは考えておりません。一方で、路面標示となると、それなりのコストであるとか、また維持管理の問題も出てきます。どういう形で敷地内の徐行と歩行者優先をお伝えするかということになりますので、答弁申し上げたとおり、その内容については検討していきたいと思います。


吉田

 以上のことを総合的に捉えまして、次期交通安全計画に信号機のない横断歩道を横断する歩行者の安全について、具体的に文言として盛り込んでいただきたいと思いますが、市長としてのお考えをお伺いしたいと思います。


市長

 交通安全対策会議の中で検討を進めていくことになりますので、今この場で文言として入れますということは申し上げられませんが、最初の質問でお答えしたとおり、信号機のない横断歩道における歩行者優先については課題の一つと捉えておりますので、その点についてどういう形で周知、啓発していくか、会議の中でお諮りしていきたいと思います。


吉田

  では、次に移らせていただきます。児童生徒への交通安全教育についてです。
 第10次名取市交通安全計画には、幼児、小学生、中学生、それぞれに対する交通安全教育の推進についての記載もあります。小学生になると、歩行者としての心得についての交通安全教育が実施されることとなっております。計画に具体的な内容を全て盛り込むべきとまでは考えませんが、信号機のない横断歩道について交通安全を高めていこうという機運が高まりつつある今、それを推進する施策の一つとして、はっきりとそこに明文化していくことは検討に値すると思います。
 教育長に対して質問いたします。教育現場の現状についての確認です。
 小項目6 児童生徒に対する交通安全教育において、信号機のない横断歩道を横断する際の心得をどのように指導しているのかお伺いいたします。


教育長

 市内全ての小中義務教育学校において、児童生徒や地域の実態に応じた交通安全教室を実施しております。特に、小学校に入学して間もない1年生については、校庭に模擬道路や信号機を設置して指導したり、実際に道路を歩きながら指導したりすることで、安全に通学できるようにしております。
 信号機のない交差点の横断については、必ず立ち止まり、手を上げて車に合図すること、右・左・右を確かめること、運転手の顔を見て車が止まるのを確かめることなどを指導しております。また、児童生徒が自転車で信号機のない交差点を横断する際は、交差点で自転車から降り、歩行者と同様に確認の上、横断するよう指導しております。


吉田

 実際の横断の仕方についてもしっかり指導されているということで、それは大変有意義なことだと思います。
 先ほど紹介したJAFのアンケートでは、停止しない、またはできない理由として、38.4%の人が、横断歩道に歩行者がいても渡るかどうか分からないからと回答しています。これも必ずしも児童生徒とは限らず、大人かもしれませんが、やはり子供のうちからそのような習慣をつけておくことが大事なのかなと思います。
 手を上げて横断する意思を示すということを自然に行えるのが一番だと思いますが、今教育長がおっしゃった指導の内容が実際に子供たちの行動としてできるようになっているかの確認は取れているのでしょうか。


教育長

 市内小中学生は七千数百人おります。どのくらいの割合で、横断歩道の前で手を上げて意思表示をしているかという具体的な確認はしておりませんが、ただ、完璧に行われているという実態ではないと思います。私も自分で車を運転して小中学生を見かけたときに、手を上げて渡ろうとしている児童生徒もおりますし、ただ立っている児童生徒もかなり見かけます。また、車が止まったときに、渡った後におじぎをしていく児童生徒も見かけます。そういった実情については、必ずしもまだ十分に指導が行き届いているとは言えない状況だとは思っておりますので、これからも引き続き具体的な場面で各学校で指導を継続していく必要があるだろうと思っております。


吉田

 子供たちもそうですし、大人になるとなおさら、そういう動作で意思を表すのが少し恥ずかしくなってしまうという、そういう部分があると思います。そういうことが自然にできるような社会にしていくには、やはり子供のうちから教えられて、そしてそれを実践するということを積み重ねていくことが必要なのかなと、個人的にはそのように思っております。引き続き取組を進めていただきますようお願いいたします。
  次に移ります。より長い視点による交通安全教育についてです。
 運転免許は、東京都心などの交通が非常に発達した地域以外に住む人にとって、生活に欠かせないものとなっております。宮城県で運転免許を持たずに不自由なく生活できるのは、ごく一部の人に限られると思います。
 なお、尚絅学院大学の関係者の方から聞いたのですが、入学が決まった学生の多くは、入学式までの間に普通自動車免許を取得すると言うそうです。これは、本数が少なく決められたルートしか走れないバスで通学することによって時間を有効に使えなくなるという判断があるようです。
 今は未成年の児童生徒でも、中学校を卒業して間もなく16歳になれば原動機付自転車や普通自動二輪車の運転免許が取得可能です。そして、高校在学中の18歳になると普通自動車免許も取得できるようになります。
 第10次名取市交通安全計画には、中学生に対する交通安全教育の推進に、自己の安全ばかりでなく、他の人々の安全にも配慮できるようにすることを目標とすると明記されております。しかし、前後の文脈から読み取ると、こちらは自転車での通行を想定してのものと捉えられます。これをもう少し長い視点で、児童生徒を将来の自動車運転の予定者として捉えて教育することも必要なのではないかと思います。
 小項目7 現在の児童生徒も将来は運転者になり得ることを念頭に置いた交通安全教育を実施すべきと考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。


教育長

 全ての小中義務教育学校で実施している交通安全教室では、児童生徒が歩行者として、または自転車の運転者として、交通ルールや交通マナーを守ることの大切さについて学んでおります。その中で、車は急に止まれないこと、夜は見えやすい服装が望ましいことなど、車を運転している人のことも含め、お互いの安全を考えることも指導しております。このような指導は、児童生徒が将来車を運転するようになった際にも生かされるものと考えております。


吉田

 先ほど教育長からも御紹介があったのですが、信号機のない横断歩道で車が止まって、渡り終わった児童生徒がおじぎをしてくれるのを私も何度も経験しています。これは、本当に子供たちの心の中からの感謝の気持ちがそういう行動を取らせているのだなと、こちらも心が温かくなると同時に、道路交通法では横断させるのが当たり前であって、これはマナーではなく規則なのです。だから、おじぎをした子供たちに対してもそうですが、学校の指導の中で、今度は自分が車を運転できる年齢になって運転するようになったら、そのお礼の気持は、そこで道を譲るといいますか、横断歩道の手前で止まって歩行者に横断させてあげることで返してあげましょうというような形で、ぜひ指導の幅を広げていただきたいと思います。現場のことなので、あまりにも具体的過ぎるかなと思いますが、教育長はそういうことについてはどのようにお考えでしょうか。


教育長

 信号機のない横断歩道で車に止まってもらったときにおじぎをすることについては、場所によっては、渡った後に立ち止まっておじぎをすることが不適切な場所もありますので、一律にそういうことを習慣化することまでは考えておりません。ただ、横断歩道を渡ろうとしているときに車に止まってもらったという、それは議員御指摘のように車の義務ですけれども、ただ、止まってもらったことに対するありがとうという気持ちは、子供たちに育んでいく必要があるだろうと思います。歩行者であっても運転者であっても、お互いの立場を考えて交通安全に気をつけることは、やはり小中学生のうちから育んでいく必要があると思いますので、そういった気持ちの持ち方については指導していく必要があると思っております。


吉田

 そこは私も全く同じ考えですが、そこからもう一歩踏み込んで、子供たちは何年後かに今度は自分がハンドルを握る側になるわけです。そこまで長い視点でもし交通安全教育を施すとすれば、やはり車と人との関係、今は歩行者あるいは自転車としての弱い立場ですが、車のハンドルを握った瞬間に強い立場になるのです。そうなったときに、弱い立場の歩行者を優先することを、実際に自分がそのように大事にされてきている、だから今度大人になったらその立場になっていくのだということを少し踏み込んで交通安全指導の中に入れていってはどうかということをお伺いしたのですが、再度確認させてください。


教育長

 直接的に子供たちに車を運転することを想定した指導ということまでは、難しいかなと思っております。ただ、今議員もお話しされていたように、自分が車を運転するとなった場合には、車と人がぶつかった場合、絶対に車のほうが圧倒的に強い、けがをするのは歩行者であるということから、直接車の運転ということではありませんが、例えばですが、どの学校でも廊下を走らないという指導があります。特に小学校では、6年生と低学年の児童の体格や体力の差を考えると、6年生の児童が全力疾走して低学年の児童にぶつかったとき、あるいは妊娠中の先生にぶつかったときは、非常に大変なことになります。そういった指導も学校でしておりますので、直接、車の運転ということではありませんが、交通安全にかかわらず、相手の立場を考えたり相手の気持ちを考えたりして行動することを丁寧に指導していくことが、運転者になった場合の安全意識の高揚にもつながるのではないかなと感じております。


吉田

 テーマがかなり広がってしまいましたが、今回は特に信号機のない横断歩道について取り上げたところですが、教育長は交通安全対策会議の委員にも名を連ねられています。信号機のない横断歩道を横断する際の心得に関する交通安全教育の推進については、次期名取市交通安全計画に明文化されるよう、会議の中で推進していくお考えはないでしょうか。


教育長

 計画自体、子供に限らず全ての世代、あらゆる領域についての交通安全に関する計画を網羅したものだと思っております。もちろん学校現場で子供たちに関わる交通安全についてどのような点を重点的に取り組んでいただきたいかということについては、意見として申し上げたいとは思いますが、具体的にこういった項目をというところまでは現時点では特に考えておりません。


吉田

 これから恐らく車も技術が発達して事故防止装置がついてきたりすると思います。ですから、事故そのものの数はこのまま減っていくかなと思います。ただ、その一方で、車も運転しているのは人であるし、道路を歩いているのも人であるということであれば、強い立場の人が弱い立場の人を大切にしていく、気遣っていくということはとても大事なことなので、決して機械の発達にとらわれることなく、交通安全の推進を今後も引き続き継続していただきたいと思います。
  それでは、次に、大項目2 約3年間にわたる水道料金誤請求の件についてお伺いいたします。
 小項目1 水道使用者2者に対し、平成29年11月の水道メーター交換以後、料金請求額を取り違えていたことが今年10月に判明しました。この件について原因、判明の経緯とその後の対応を市長にお伺いいたします。


市長

 本件の原因につきましては、市で実施しております有効期間満了量水器交換の際、水道メーターを取り違えて設置してしまったことによるものです。この誤りにより、平成29年12月から令和2年10月までの期間、水道使用者2者の水道料金を取り違え、誤った金額にて水道料金を頂いておりました。
 本件が判明した経緯につきましては、今回御迷惑をおかけした2者のうちお一方の水道使用者より水道の使用中止の申込みがあり、市で閉栓作業を行ったところ、もうお一方の使用者より水道が出なくなったとの御連絡をいただき、判明いたしました。
 その後の対応につきましては、水道使用者に対し御迷惑をおかけしたことについてのおわびを申し上げるとともに、過大徴収があった方には還付を行いました。不足料金が生じた使用者に対しては、誤りにより水道料金5,725円の差額が生じていることの御説明をさせていただいたところです。
 今回の件につきましては、水道使用者より水道料金を頂く上であってはならないものと認識をしており、御迷惑をおかけいたしましたことに対し、おわびを申し上げます。


吉田

 メーターの付け替えに関しては、建物の形状などから非常にまれなケースといいますか、本当にたまたま起きてしまった、通常ではあり得ないケースだと伺っていますので、この件について誰かを責めようとか、そういう意図は全くありません。
 その一方で、この経緯の部分でよく分からないところがあるのですが、市長にこの件の報告があったのはいつの段階だったのでしょうか。


水道事業所長

 今回の件は、平成29年11月に有効期間満了量水器の交換を行った際に、メーターの設置誤りが生じたものです。この件については、令和2年10月22日に水が出なくなったということで現地を確認し、判明したものです。その後、市長に日にちは定かではありませんが10月末に報告をしたところです。


吉田

 最高責任者である市長への報告がいつだったか定かでないというのは、いかがなものかと思いますが、市長がこの件が判明したという報告を受けた際に、何を一番優先して処理をしなければいけないと捉えたのでしょうか。


市長

 まず、その水道使用者である2者に対してしっかりおわびをして、その後の還付であったり、また不足分の請求等についての手続を含めて、とにかく事後の対応をしっかりとするということと、また、しっかりとできているのかという確認を含めて、指示を出したところです。


吉田

 これは非常にまれなケースで、今までになかったこと、あるいは想定されていなかったことだと思います。想定されていないことが時々起きてしまうわけですが、そのときに一番大事なのは、まず人命、人の安全、そしてその次が何かといえば、それは住民の権利だと思います。そういう意味で、私はこの件を聞いたときに、還付あるいは改めての請求ということに関して、本当にそれが法律上、権利として保障された上でのものかどうかが少し気になったものですから、次の質問に移っていきたいと思います。
  令和2年10月22日にこの請求が誤りだったことが判明しましたが、支払いに不足が生じている使用者を市の担当者が訪れたのが令和2年11月5日だったということで、2週間以上という非常に長い時間が経過しています。これは、今後のことを考えれば、幾ら想定外、初めてのケースとはいえ、もう少し迅速に対応するべきことではなかったか、改めるべき内容ではないかと感じております。
 また、その際、市の担当者から、不足額は全額納入してほしいと伝えられたそうです。そして、使用者の方からも、自分が使った水だから全部自分が払いますと、快諾をいただいたそうです。決してそれに対して異議申立てをしたいわけではありません。ただ、その額については、別の考え方があるのです。それは何かというと、行使されない債権には時効があるということです。そのため、市として自主的に時効を援用した上で、消滅していない部分だけを請求すべきではなかったかということです。
 民法によると、債権の消滅時効期間は原則として10年間ですが、生産者、卸売商人及び小売商人が売却した産物及び商品の消滅時効期間は2年間と定められていました。水道料金はこれに該当すると言われております。もっとも、令和2年4月の改正によってその部分が少し変更となったわけですが、新民法はあくまでも改正後に締結された契約について適用されるというものであり、今回のケースのようにそれ以前に締結された契約については、附則第34条第1項により、改正前の民法が適用されると伺っております。
 この水道料金の請求の誤りは、時々どこかの自治体で起きているようです。例えば、平成25年に長野市、平成28年に野洲市、平成30年に津市で判明した請求誤りにおいて、いずれも行政側から自主的に時効が援用されたものとして料金を算出し直し、その額を納入するようにお願いしてきたということです。私が聞き取りをした範囲では、今回の本市のケースで納入額が不足している方に対しては、時効により一部の支払いの義務が消滅したことについては説明されていないようでした。
 そこで、小項目2 遡及請求分について、改正前の民法第173条第1号の規定により、2年間行使しなかった債権が時効により消滅する取扱いを検討しなかったのか、市長にお伺いいたします。


市長

 水道使用者に御説明に伺った際には、改正前の民法第173条第1号の規定は承知しておりましたが、時効による債権消滅の適用については検討しておりませんでした。
 なお、現在、本件における消滅時効の取扱いについて顧問弁護士に相談しながら進めており、その内容を踏まえて、引き続き御理解いただけるよう御説明させていただきたいと考えております。


吉田

 今回説明に伺ったのが遅れたのは、初めてのケースだったので、原因から今後の対応まで全て綿密に詰めた上で御説明に行くために時間がたってしまったと伺っていますが、その際に民法の消滅時効も含めての検討をしなかったのは、どういった判断からだったのでしょうか。


市長

 こちらの過ちは過ちとして、公平性の観点から、使った分については基本的にお支払いをいただきたいという方針でありました。その方針については、現在も変わっていないところです。


吉田

 もちろん公平性は大事なので、使った分は納めていただくということは大原則ですが、その前提としては、正しい料金が請求された部分に関してなのです。料金の請求が今回誤っていたのは行政の側、公営企業の側なので、請求どおりに支払っていただいていた以上は、やはりそこに生じてくる時効という考え方はしっかり説明をするべきではないかと思います。先ほど紹介した長野市などについては、公営企業の側あるいは市の側が自主的に数字を算出し直して、徴収額は減ってしまうが民法で守られた権利はお伝えするという対応をしたそうです。
 逆に、こういった例もあります。時効による債権の消滅を告知しないで全額徴収したというケースです。しかも、これは今回の例と違って使用者の滞納が原因なのですが、長野県富士見町で、約14年分の水道料金について、延滞金も含めての支払いを求める訴訟が起こされました。被告となった方、延滞して約14年間水道料金を支払わなかった方は、お金がなくて弁護士を雇うこともできなかった。そして裁判で実際に裁判官が時効について言及することもなかった。そして全額の支払いを命じる判決が確定したということでした。行政関係の訴訟を多く手がけた弁護士は、町の対応は配慮が足りず、弁護士をつけない本人訴訟であるのに時効を教えなかったのはよくないと指摘をしています。朝日新聞の記事からこういったものを調べました。
 今回の件では、請求されたとおりに料金を納入していますので、使用者には落ち度はないと捉えられると思います。ですから、なおのこと、長野市などのように使用者が時効を援用するとの前提による額を請求すべきではないかと思います。弁護士に相談されているということですが、市長としての考えはいかがでしょうか。


市長

 御説明と謝罪には伺ったわけですが、まだ具体的な請求はしておりません。先ほど私が話した内容については、基本的な考え方、方針の話をさせていただいておりまして、その方針で進めていくかどうかも含めて顧問弁護士に相談をしているところであり、それを踏まえて今後対応していきたいと思っております。


吉田

 先ほど、想定外のことが起きたときに、まず第一は人命、安全確保、そして次が住民の権利ではないかと指摘させていただきましたが、まさにこれは民法に守られた住民の権利の部分であると思います。ですから、基本的な考え方ということもそうですが、それをしっかり当てはめるという形でお伝えするという対応を行政としては取っていただきたかったと、私はこの件に関しては少し残念に思っております。今後こういうことはないと思っているところですが、やはり再発防止に関しては考えていかなければならないと思います。
  次の質問に移ります。小項目3 再発防止に努めるとともに、想定外の事態に対する危機管理能力を高めるべきと考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。


市長

 有効期間満了量水器の交換において、委託業者に対し、1か所ごとに新旧の水道メーター番号及びお客様番号の確認を行うことや、作業員2名による二重チェックを徹底するよう指導しました。
 また、令和元年度より新規に設置する水道メーターボックス内に水道番号章標を貼り付けるよう義務化しておりますが、今後は全戸を対象として、有効期間満了量水器の交換に併せて貼付けをし、水道メーターの誤設置防止に努めてまいります。
 さらに、想定外の事態にも対応できるよう、知識や技術の習得に向けて、また職員の意識改革にも取り組んでまいりたいと考えております。


吉田

 今回は現場の職員の方々も本当に初めてのケースだったので、いろいろと苦労して考えた結果だと思います。私なりに民法についてこうして取り上げましたが、決して個人の対応を責めるつもりはありません。ただ、今後の組織としての取組の中で、住民の権利という部分に関しては、もう少し重く捉えていただきたいと思います。
 また、具体的な水道の料金ということでしたが、もし今後、外部に委託をする形の中で、行政の側で負担すべき何らかの不利益のようなものが出てきた際に、その責任の所在をはっきりさせておいたほうがいいのではないかと思います。それを契約書の中に、市に損害が生じた場合はどこに責任があるとか、そういうことを盛り込むことについての御検討はいかがでしょうか。


水道事業所長

 先ほど責任の所在ということで御質問をいただきました。これについては、委託業務の契約書、約款第52条に、引受けした日から3年以内でなければ契約不履行、不適合を理由とした以降の請求、損害賠償の請求、代金の減額請求または契約の解除をすることができないとなっておりますので、ここできちんと責任の所在が示されております。


吉田

 この件に関しては、先ほど御答弁がありましたように専門の方に相談が進んでいるということですので、その弁護士の方のアドバイスなどを受けながら適切に進めていただきたいと思います。
 やはりこれからも想定外のことがいろいろと起きてくることがあり得ますので、その都度、適正に、そして迅速に進めていただきますよう改めてお願い申し上げまして、一般質問を終了させていただきます。


本会議

議案第104号 令和2年度名取市一般会計補正予算

吉田

  6、7ページの14款1項2目衛生使用料の墓地使用料、そして14款2項2目衛生手数料の墓地管理手数料も同じ基数で計算していると思いますが、被災者等墓地については50基を見込むと当初予算の審査でお伺いしたと思うのですが、こちらは現状どうなっているのでしょうか。


クリーン対策課長

 令和元年度については48基を使用していただきましたが、令和2年度においては1基しか増えていませんので、現在、合計で49基となっているところです。


吉田

 被災者等墓地区画はかなり余裕があると思うのですが、今後一般用に使用を認める検討については現時点でどのようになっているのでしょうか。


クリーン対策課長

 現在、一般墓地の残りの区画数に余裕がありますので、今後、その使用許可の件数の経過を見ながら、被災者等墓地の使われていない分について検討していきたいと考えており、現時点で切替え等は考えておりません。


吉田

 8、9ページ、15款2項7目災害復旧費国庫補助金の1節教育施設災害復旧費で保健体育施設災害復旧費とありますが、これはどういった施設の復旧に充てられるのでしょうか。


文化・スポーツ課長

 閖上グラウンドの災害復旧事業に係る国庫補助金になります。閖上グラウンドの災害復旧事業については、閖上東地区被災市街地復興土地区画整理事業の設計・施工一括型の工事の一部として実施しております。閖上グラウンド自体の工事については、令和2年3月末に完了して4月から供用を開始していますが、全体事業が繰越事業となったことから、連動してグラウンドの工事の予算が繰越し扱いとなり、令和2年10月に支出を完了しましたので、今回補正予算を計上しております。


吉田

 18、19ページの2款1項26目諸費で、1節報酬に公正職務審査会委員報酬とあります。これはさきの9月定例会で成立した名取市不当要求行為等対策条例に係る審査会の委員だと思うのですが、実際に審査会が開催されたことによる報酬なのでしょうか。


総務課長

 実際にはまだ開催しておりません。公正職務審査会については今後3月までに予定している案件はありませんが、急遽開催するとなった場合、予算が措置されていないと開催できないため、計上しているものです。


吉田

 細かいことですが、4名分として割ると半端だと思いますが、どのような考え方でこの金額を設定したのでしょうか。


総務課長

 公正職務審査会の会長が8,700円で2回分の1万7,400円、委員が8,200円で3名分を2回分見て4万9,200円、合計6万6,600円となるため6万7,000円計上しています。


吉田

 20、21ページ、2款2項2目賦課徴収費13節委託料が全体で減額になっていますが、数値地番現況図及び数値家屋現況図異動修正委託料、標準宅地の時点修正鑑定評価委託料、土地・家屋台帳加除委託料、航空写真撮影委託料の4項目全て減額で、増額になっているものはないということでよろしいのでしょうか。


税務課長

 4項目とも減額になっております。


吉田

 32、33ページ、3款3項3目児童館・児童遊園費19節負担金補助及び交付金の地区子供まつり助成金についてお伺いします。当初予算では、1地区当たり5万円の計算でしょうか、55万円計上されて、そこから減額であれば、15万円分は子供まつりが開催されたということでよろしいのでしょうか。


こども支援課長

 下増田、ゆりが丘の両児童センターについては実施しており、那智が丘児童センターについては令和3年1月実施予定ということで、実施済みまたは実施予定が3児童センターで、8施設分の減額となります。


吉田

 44、45ページ、6款1項10目災害対策費19節負担金補助及び交付金の岩沼藤曽根地区太陽光発電施設整備事業負担金です。先ほど歳入の質疑で少し言及されていましたが、この内容についてお伺いいたします。


農林水産課長

 岩沼市の藤曽根地区において太陽光パネルを設置し太陽光発電の売電を行うに当たり、発電出力制御装置の設置が必要ということで負担金を増額するものです。
 なお、発電出力制御装置については、平成27年4月以降に売電に当たって接続申込みをする太陽光発電設備に設置が義務づけられました。


吉田

 負担金となっているのですが、事業主体が幾つかある中に本市が加わって負担しているのではなく、全て本市の事業として行われているということでよろしいのですか。


農林水産課長

 災害復興事業により岩沼市藤曽根地区に太陽光発電施設を設置しました。これは用排水、特に排水の管理となりますが、名取土地改良区で管理しているところの事業です。この事業を行うに当たり、国から50%、県から25%、仙台市、名取市、岩沼市の3市で25%を負担するもので、本市においては、3市での25%のうち、ルールに基づきエリア分として59.79%を負担するものです。


吉田

 44、45ページ、6款1項10目災害対策費で先ほどお伺いした太陽光発電施設についてです。平成29年の決算に関する総括質疑では、まだできたばかりで実績は示されませんでしたが、もともと農家の負担軽減のために設置されたものですので、どういった形で軽減が図られているのか、数値でもって実績をお示しいただけたらと思います。


農林水産課長

 直接的に農家の負担が減ったかという話になりますと、減っていないということになります。名取土地改良区の賦課金については、用水の受益地として1反歩当たり5,500円の負担をお願いしており、その金額が、安くはなっていませんが、増額にならず現状を維持しているという意味では軽減になるのではないかということと、本来であれば、施設を更新し、規模感といいますか、動力云々もあって増額要因はあるものの、農家の負担が増えていないことをもって負担軽減につながっているものと捉えています。


吉田

 売電を行うための施設だったかと思うのですが、実際に売電によってどのぐらいの利益が出て、それがどのように農家に対して影響があるのかといった部分はどう捉えているのでしょうか。


農林水産課長

 電力を使えば通常は電気料がかかりますが、太陽光発電を行って施設で使われる電気を賄い、売電により電力会社から代金として収入を得て、それが土地改良事業の中で全体として使われる維持経費等に充当されると考えております。


吉田

 54、55ページ、9款1項1目常備消防費の19節負担金補助及び交付金です。指導救命士養成講習負担金については当初予算26万3,000円の皆減だと思いますが、理由をお伺いいたします。


消防本部総務課長

 新型コロナウイルス感染症の拡大により研修が中止となったため、減額計上しているものです。


吉田

 この中止によって、職員の研修や教育のスケジュール等への影響は出ていないでしょうか。


消防本部総務課長

 指導救命士については、今年度中止になりましたので来年度に入校を予定していました。しかし、救命士養成を優先するということで、来年度も中止が決定していますので、再来年度に入校させたいと考えております。


吉田

 70、71ページ、10款6項5目復興ありがとうホストタウン推進費の19節負担金補助及び交付金です。新型コロナウイルス感染症でオリンピック・パラリンピックが延期されましたので、復興ありがとうホストタウン事業も実施できないわけですが、当初の予算と今回減額計上された分の200万円の差額の考え方について伺います。


復興ありがとうホストタウン推進室長

 差額の200万円分の今後の使用ですが、復興ありがとうホストタウン推進実行委員会で、今後オリンピック・パラリンピック開催が正式決定された折に何か催事、イベントを行いたいと考えておりまして、その分やPRグッズ等に係る経費、そして実行委員会委員の報酬となります。


吉田

 イベント、PRグッズ、そして実行委員会委員の報酬ということは、まだこれから年度内に執行されることになるのでしょうが、イベントを行うかどうかの判断についてやオリンピック・パラリンピックそのものが来年本当にできるのかまだまだ不透明な中で、PRグッズの製作も考えなければいけない部分だと思うのですが、そのあたりの判断はどのように行うお考えでしょうか。


復興ありがとうホストタウン推進室長

 あくまでも国で正式にオリンピック・パラリンピックの開催が決定した時点で、イベント開催なりPRグッズの製作を検討していきたいと考えております。


議案第107号 令和2年度名取市休日夜間急患センター特別会計補正予算

吉田

 歳入歳出ともに関係しますが、98、99ページの1款1項1目休日夜間急患センター運営費13節委託料、オンライン資格確認システム導入委託料についてお伺いいたします。先日の市長の提案理由説明の中に、マイナンバーカードのICチップや健康保険証の記号番号等で資格確認ができるようになるとあったと記憶しているのですが、今までは保険証の記号番号では資格確認ができなかったのでしょうか。詳細をお伺いしたいと思います。


休日夜間急患センター事務長

 現在の資格の確認については、保険証の記号番号や生年月日など必要な情報を入力して確認しており、誤入力等の場合には、レセプトが戻ってきて、誤請求となるためにやり直しとなります。これから導入するオンライン資格確認システムでは、保険証の記号番号やマイナンバーカードのICチップ等で資格を確認して保険の加入状況を確認するので、誤入力等が減る見込みがあります。国からは、令和3年3月からマイナンバーカードを保険証と同様に資格確認に使えるよう準備を促す通知が来ていますので、それに合わせて、急患センターの受診者についてマイナンバーカードでも資格確認できるようにこのたびシステムを改修するものです。


吉田

 マイナンバーカードを取得していない方はまだ多いと思うのです。持っていない方も保険証を持参すれば今までどおり診療を受けられるとすれば、マイナンバーカードを持つメリットがよく分からないのですが、保険証とマイナンバーカードの両方がなければ診察を受けられないということではなく、マイナンバーカードを持っていけば保険証がなくても受けられるということですか。


休日夜間急患センター事務長

 マイナンバーカードを持参した場合も、今までどおり保険証を持参した場合も、どちらでも診察を受けられます。


議案第113号 字の区域を変更することについて及び日程第24 議案第114号 字の区域を変更することについて

吉田

 字名の新設はないという御説明でしたが、編入されることによって字名が消える地区もないという理解でよろしいでしょうか。


総務課長

 本市において字名が消える地区はありません。


議案第120号 名取市国民健康保険条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例

吉田

 以前に期限が延長された際にもお伺いしましたが、その後の新型コロナウイルス感染症を理由に傷病手当を支給した実績についてお伺いいたします。


保険年金課長

 現時点における申請は2件で、1件は申請者へ手当金が支給されていますが、もう1件については、対象期間において給与の支払いを受けている被用者ではなかったために不支給となっております。


吉田

 不支給となったのは要件を満たしていなかったためかと思いますが、周知方法に何か課題等はなかったのか、どう捉えているのかお伺いしたいと思います。


保険年金課長

 不支給になった内容については、議員お見込みのとおり要件を満たしていないということで、具体的には、御本人は給与が支払われていると思っていましたが、実際は団体を通して支払われるような事業所得に該当するものであったためです。それについて周知が不足していたのではないかという御質疑と捉えてお答えいたしますが、傷病手当金の支給対象者が制度の周知が不十分であるために未申請もしくは間違った申請になったことについては、具体的に把握いたしかねるところであり、今回支給できなかった方についても電話で御説明しており、今後も分かりやすい案内となるよう努めていきたいと思います。