令和6年第3回定例会(6月)


本会議

(議案第71号 専決処分の承認)

吉田

 10、11ページ、歳入の18款1項1目一般寄附金1節一般寄附金の減額の内訳についてお伺いいたします。


財政課長

 一般寄附金の減額の内訳は、ふるさと寄附金で1億4,947万4,000円の減、企業版ふるさと納税寄附金分として2,720万円の減、そして、なとりこどもファンド寄附金分が16万円の増、以上3件の合計となっております。


吉田

 大変減っているのにはいろいろな要因があって、一般のふるさと寄附金のほうは返礼品の関係などがあると思います。
 企業版ふるさと納税について伺いますが、これはどの事業に充てられる財源として考えていたのかお伺いいたします。


政策企画課長

 企業版ふるさと納税の充当先については、募集に当たり市の地方創生等に資する事業としてもろもろの事業を提案させていただいており、それに対して、企業のほうで、うちの会社ではこういった事業内容について共感するので寄附するということで受ける形を取っております。


吉田

 制度の内容としてはおっしゃったとおりだと思いますが、そうしたら、同じく10、11ページの19款2項14目企業版ふるさと納税基金繰入金1節企業版ふるさと納税基金繰入金でお伺いします。この企業版ふるさと納税基金繰入金の減額については、どの部分の繰入れとして当初想定していたのかお伺いいたします。


財政課長

 企業版ふるさと納税基金繰入金の減の内容については、なとりスーパーキッズ育成事業に係る財源更正に伴う減額です。既定予算では1,054万8,000円の充当を当該基金で措置していましたが、実際には寄附収入に伴う繰入金の額が40万円となったことから、差額の1,014万8,000円を減額しました。


吉田

 なとりスーパーキッズ育成事業に対する企業版ふるさと納税については、国のデジタル田園都市国家構想交付金の交付申請書を調べたところ、企業版ふるさと納税の特定の企業に既に調整されているといったことが記載されています。その特定の企業と調整済みとか確約されているという部分が今回入ってこなかったという理解でよろしいのでしょうか。


政策企画課長

 なとりスーパーキッズ育成事業に関して国の補助金を申請するに当たり見込んでいた寄附金について、結果的に入ってこなかったというものです。


吉田

 10、11ページ、先ほどの19款2項14目企業版ふるさと納税基金繰入金1節企業版ふるさと納税基金繰入金の減額については、企業版ふるさと納税の収入が大きく減ったということですが、その財源更正の内容として、どの項目からどのぐらい充当されているのかお伺いいたします。


財政課長

 企業版ふるさと納税の寄附が減額になる分については、特別交付税、それから普通交付税も含めた一般財源で賄うようになっています。寄附が入った場合は特別交付税が減るということで、寄附が減れば交付税措置がその分増えるという仕組みになっています。


吉田

 ということは、8、9ページの11款1項1目地方交付税1節地方交付税の特別交付税が増額となっている中で、減額された分が全て賄われているということですか。


財政課長

 特別交付税については、先ほど申し上げた一般財源の中の3割から4割ぐらいで、それ以外は普通交付税となります。仕組みとしては単位費用で算定されますので、理論上はその差額分については普通交付税で賄っている形になります。


(議案第76号 名取市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例)

吉田

 制度の確認をさせていただきます。今回、4種類の施設の配置の基準について、これまで以上に利用者にとっていい方向へ進んだと受け止められると思うのですが、例えば本市の市民が仙台市の企業に勤めている場合、その企業に設置されている事業所内保育事業所に子供を預けることは可能ですか。


こども支援課長

 仙台市の事業所内保育事業所の地域枠については、本市の方は入所できない形になっております。


(議案第83号 市道路線の廃止について及び議案第84号 市道路線の認定)

吉田

 新たに認定する議案第84号の資料で伺います。廃止路線と重なっている部分以外の新たな部分については、現状の所有者はどのようになっているのでしょうか。


土木課長

 今回予定している路線は逆コの字のような形になりまして、南側はもともと市道ですので市が所有しています。西側の用地については、現在、学校用地という取扱いになっており、北の部分は公衆用道路という地目になっております。


吉田

 ということは、全て公の持ち物で、その道路が市道に認定されると理解しました。先日、総合防災訓練でこの辺りを通った際に、道路の状況としては一般的な市道の要件を満たしているのかどうか、少し狭いような気もしたのですが、今後、市道に認定された後で道路の拡幅等の工事が入る予定はあるのでしょうか。


土木課長

 現在、南側の道路は6メートルの幅員で整備されています。南北に延びる部分については幅員5メートルですが、それは1メートル拡幅して6メートルにする予定です。北側の公衆用道路については、現在約3メートル程度ですが、買収を行って5メートルの整備幅員として整備する予定としております。


一般質問

吉田

 14番吉田 良です。ただいま議長から発言のお許しをいただきましたので、事前の通告に従って一般質問を行ってまいります。
 大項目1 仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合構想についてお伺いいたしたいと思います。
 宮城県による仙台医療圏の病院再編構想は、日本赤十字社、独立行政法人労働者健康安全機構、宮城県立病院機構、東北大学、宮城県の5者で、仙台赤十字病院、東北労災病院、県立がんセンターの連携・統合について協議した、がんを総合的に診療できる機能を有する病院の実現に向けた検討が合意された令和2年8月から本格的に始動しました。真っ先に反応した自治体が富谷市で、9月8日に3病院の誘致に名のりを上げました。その後、9月25日に本市から県知事に対し、県立がんセンター機能の存置と医療機能の充実を要望した際に、土地の提供と公共交通の充実を併せて提案し、同日、亘理名取地区の2市2町による連名で、宮城県立がんセンターと連携・統合する医療施設の亘理名取地区への立地に関する要望書も提出されました。また、9月29日に本市議会で、宮城県立がんセンターの名取市内での存続と医療機能の充実に関する決議が全会一致で可決しました。さらに、県南4市9町で構成する宮城県南サミットからも、10月12日に宮城県立がんセンターと連携・統合する医療施設の名取川以南の県南地域等への立地に関する要望書が知事に提出されました。
 こうした声を受けて、令和3年9月9日に公表された政策医療の課題解決に向けた県立病院等の今後の方向性について、県立がんセンターと仙台赤十字病院を連携・統合し、東北労災病院と県立精神医療センターを合築する枠組みが県から公表されたという次第です。基本合意は当初、令和4年度中の締結が目標とされていましたが、実際には仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合については令和5年12月にずれ込み、東北労災病院と県立精神医療センターの合築については現時点で締結に至っておりません。まずは、基本合意に対する考え方を確認したいと思います。
 小項目1 令和5年12月22日に結ばれた基本合意の内容に対する本市の考えを市長にお伺いいたします。


市長

 本市においては、3病院統合移転が公表された際、がんセンターの機能の存置と医療機能の充実を県に要望してきた経過があります。このことから、基本合意の内容につきましては、本市が要望してきた内容に対して、ほぼ満額の回答をいただいたものと捉えております。


吉田

 ほぼ満額回答と捉えているとのことですが、私にはそうは見えておりません。今般の構想は、総合的に見て医療提供体制の縮小ではないかと見えてきております。実際、県の地域説明会の資料には医療提供体制の拡大と書いてありますが、実際はその真逆ではないのかと。確かに、今後の人口減少を見据えれば、病院の統合再編は避けられない課題の一つとして理解はできるものと思います。しかし、それが医療提供体制の縮小であってはならない、これが大原則です。私たちの社会は、医療提供体制の拡大を常に目指していかなければいけない。少なくとも、現状維持にとどめることが基本であるわけです。ところが、この2病院の統合構想は医療提供体制の縮小ではないのかと私は真逆の見方をしているのですが、市長にはそのようには見えないということでしょうか。


市長

 3病院の統合が発表された際に、3つの未来が想定されたと思います。1つは、富谷市が真っ先に手を挙げましたので、県立がんセンター、仙台赤十字病院が統合して富谷市に移る未来。もう一つは、その統合の話がうまくいかなかった場合に、県立がんセンターが県立として本市に残る未来。ただ、なぜそのような議論が起きてきたかという背景に目をやれば、仙台赤十字病院も赤字により、この先、未来永劫あの地であのままの形で経営を続けることは非常に難しいという背景があります。これは仙台赤十字病院に限らず、人口減少の中で各病院とも同じで経営的には大変苦慮されております。御存じだと思いますが、実際に労災病院などが撤退した地区もあります。ですので、県立がんセンターは本市に残るが、最悪、仙台赤十字病院が撤退することも未来としてはあり得たと思います。今回は、県立がんセンターと仙台赤十字病院が統合して本市に残るという3つ目の未来が今実現しようとしているわけです。この3つの未来のどの未来が本市にとってより望ましいものであったかを考えたときに、それは論をまたないと私は思っております。


吉田

 未来は3つしかないわけではないと思います。もちろん大きくはその3つに分かれるかもしれませんが、その後の努力によって、よりよい未来、あるいは想定した未来が来ないこともあり得ますから、よりよい未来のためにこれからどのように考えていくのかという機会に私は質問をしていきたいと思っているのです。
 なぜ縮小ということを申し上げたかというと、基本合意書の第2条に、新病院の設置及び運営は日本赤十字社が行うとあります。これは、統合とは言いながら、実質は県立がんセンターの廃止ではないかということです。もう既に閉院について、建物の撤去等の費用や退職する職員の処遇等が生じる、そのように県議会で県の担当職員が答弁をしています。閉院という言葉が出てきています。このようなことからも、県立がんセンターは廃止されるというのが正しい見方ではないかと思うのですが、現在の基本合意において、県立がんセンターは廃止されるかされないか、一体どちらなのでしょうか。


市長

 その部分については、基本合意の中で方向性として仙台赤十字病院が主体となることが示されているところです。いずれにしろ、人口減少の中で持続可能な医療提供体制をどう構築していくかを県全体で考えたときに、今回の結論に至ったものと思っております。令和5年2月20日に日本赤十字社と宮城県の間で取り交わされた統合に向けた協議確認書第3条に基づいて、新病院の診療機能を適切に提供できることなどを考慮しながら、協議により仙台赤十字病院が主体になることが決定されたものと捉えております。


吉田

 ですので、それを一言で言うと、県立がんセンターは廃止ということで間違いないのですか。


市長

 県立がんセンターが廃止になるかどうかについて、私の立場で申し上げることはできないと思っております。


吉田

 基本合意書を見れば、どこからどう見ても廃止です。県が運営にはもう関わらないと、完全にこれは日本赤十字社に移すということですから、県立のがんセンターはなくなるわけです。ここの部分をしっかり踏まえていかないと、本当にこれが医療提供体制の拡大なのか縮小なのかということがぼかされてしまうのです。ですから、ここの部分は正しくそれを捉えなければいけない、認識しなければいけない。
 先ほど市長からも答弁があり、私も申し上げたように、令和2年9月25日、県知事に対して県立がんセンター機能の存置と医療機能の充実を本市が要望しました。ここで県立がんセンター機能の存置を要望したわけですが、このことについては基本合意の中で本当に満たされていると捉えていいのかどうか、お伺いします。


市長

 基本合意の中で、がん医療については、がん診療連携拠点病院として、県立がんセンターが担っている機能について、東北大学と補完・連携を進め、他のがん診療連携拠点病院と共に、県内のがん政策において必要な機能を維持するとなっております。


吉田

 そこに矛盾があるのです。県立がんセンターのあり方検討会議の報告書を令和元年12月に公表しているのですが、その中で、県立がんセンターの目指すべき方向性の一つとして、主要5大がんが他病院と競合していることから、高度・先進医療(希少がん・難治がん、放射線治療等)を含むがん医療機能を維持し、がん医療に特色を持たせた病院とすべきであると。他の医療機関では難しい高度・先進医療を県立がんセンターで担うことを継続する意向と受け止められるわけです。
 一方、今おっしゃったように、基本合意書の第3条の(3)には、県立がんセンターが担っている機能について東北大学と補完・連携を進めとあるだけです。そもそも、この主要5大がんが他の病院と競合していることによって、それを上回る特別ながんの治療や研究を県立がんセンターが持っている強みとして維持していくために今後の在り方が検討されてきたはずですが、今回の基本合意書は、その5大がんなども含めた通常の医療の部分を病院の機能として残し、本来、県立でなければできないような、採算などをある程度度外視しなければいけないようなものは東北大学に移すという話になって、元の構想とは全く逆の方向で、180度逆回転してしまっているわけです。ですから、令和2年9月25日時点で、県立がんセンターの機能の存置については、今申し上げたような難しいがん、高度な治療や研究の部分を指すと捉えられると思うのですが、そういう意味でこの基本合意書の内容はがんセンター機能の存置の要望とは矛盾するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。


市長

 基本合意書にどのように書かれているかというのは先ほど申し上げたとおりです。その機能について維持すると、法的拘束力のある合意書に書かれているわけですから、私はそれは揺るぎがないと思っております。また、県立がんセンターの医師を含めた関係者にお話を伺う機会がありましたが、希少がん、難治がんというくくりはなくて、がんの診療についてはほぼ大体のところはカバーできるというお話も伺っているところです。


吉田

 希少がん、難治がんというのはよく言われていますが、定義ははっきりしていないようで、いわゆる主要5大がん以外のがんについてそのようにくくられているようです。そのようにカバーしていく方向が示されているのはもちろん分かるのですが、実際に病院の運用が始まってからその部分が守られるかどうか、この基本合意書からはそれを読み取ることができません。あくまでも口約束でしかないわけで、その部分がはっきり守られる確証がなければ、この構想についての不安は取り払うことができないのではないかと思います。
 次に、別の意味で医療提供体制の縮小と捉えられる部分ですが、基本合意書の第5条に、病床規模は400床程度とするとあります。これもよく言われていますが、現在、仙台赤十字病院は389床、県立がんセンターが383床、単純に足し算すれば772床となるべきところ、約半分です。このようなところから見ても病院が1つ消えることに等しい構想であって、統合というのは名目でしかなく、実質は本当に病院の廃止構想ではないかと思うのですが、この病床数について特に不安が感じられないかどうか、お伺いしたいと思います。


市長

 今回、3者で合意をするに当たって、当然3者の中で持続可能な医療提供体制の担保についても、専門的見地から様々な議論をされて今回の合意に至っていると思っております。その点について不安を感じないかというお尋ねだと思うのですが、そのように専門的な見地から様々な議論をした上で400床程度に落ち着いたのではないかと思っております。また、病床数が減ることのみお話しいただいていますが、救急医療、周産期医療、がん医療については維持をしますし、災害医療、感染症対応と、まさに医療機能の充実が図られることにも大きな期待を寄せているところです。


吉田

 期待される部分は確かにそのとおりなので、そこを否定するつもりはありません。縮小される部分のボリュームが大きいのではないかということで今申し上げているわけです。その中の一つで、昨日の新聞でも報道されていたのですが、緩和ケアの部分がどうなっていくのか。基本合意書の第4条では、あくまでも診療科を基本とするとあり、部門という形で今ある緩和ケアセンターについてはどのような形になるか見えてこないわけです。宮城県立病院機構の新理事長は緩和ケアをぜひ残したいと新聞でおっしゃっていますが、市長は別な観点からいろいろな情報が入ってきているとのことですが、緩和ケアに対しての取扱いで何かお聞きしていることはありますか。


市長

 新病院において緩和ケアを今後どうしていくかという確たる情報は持っておりません。


吉田

 これから少しずつ見えてくるのだと思いますが、そういう部分もこのように受け入れる側の自治体でも議会でも積極的に発信する、不安をどんどん言っていくことで前に進んでいくものと思いますので、私はそういう意味でも不安や不満に当たる部分ははっきり示していかなくてはいけないという立場ですから、そこは御理解いただきたいと思います。
 そして、先ほど申し上げたように経営主体の部分ですが、確かに県単体では財政的にも難しいと思うのです。ただ、そうでなくて、仮に第三セクターのような形ででも県が経営に関与できる体制が取られるべきではなかったのかなと。あくまでも病院も一つの経営体ですから、あまり赤字になるようであればそれは解消していかなければいけないので、もちろん民間の医療では、大事な部分でもお金にならなければどこかで切り離さざるを得なくなると思います。そうならないためには、やはり公金を入れていくことは私は必要だと思うのです。
 総合病院が設置されるということで、市長の口からは県立がんセンターの廃止とはなかなか言いづらいと思うのですが、過去に県立循環器・呼吸器病センターの場合も廃院と言っていますので、県立がんセンターも廃止や閉院というのが正しい表現で、実質は閉院となっていくわけです。この閉院ということに関して、まだまだ県民的な議論や共通した理解が進んでいないのではないかと思います。ただ統合され、半分は県立の部分が残るように捉えられているのではないかと思うのですが、名取市民だけではなくて、県立がんセンターの今後という部分については正しく理解されていると感覚としてお持ちですか。


市長

 大切なことは、県立がんセンターの形というより、がんセンターの機能がしっかり残ることが大事だと思っております。


吉田

 ですから、がんセンターの機能を残すために、民間に全て委ねて大丈夫なのか、そして今既にある東北大学病院に一部移すわけですが、今の東北大学病院のキャパシティーで全て受け入れられるかどうか、このような部分が非常に問われているわけです。県立でなければできない部分があります。確かにお金はかかるが、これは社会的共通資本として必要な部分だという認識がないと、行政は本来の役割を果たせないのではないかと私は思うのです。
 では、次に移りたいと思います。本市が提案した新病院の候補地についてです。
 県は令和4年3月、4病院の再編構想をより具体的に検討するための業務の委託先を公募しました。4月に入り、県から本市に対し、複数の候補地から本市として最優先と考える場所を提案してほしい旨の話がなされたとのことです。明くる月には、本市から県へ提案がなされています。なぜそんなに早く提案できたかといいますと、令和2年9月25日の県への要望以降、内部の所管課等から情報を聴取することにより、建設が可能となる時期や公共交通機関等の利便性について調査を行ってきたからと伺っています。ただ、この比較検討の内容についてはほとんど公表されておりません。
 そこで、小項目2 令和4年5月27日の県知事に対する植松入生の土地の提案に至るまで、候補地の優劣を比較検討した内容を公表すべきと考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。


市長

 新病院整備場所に係る候補地につきましては、市内複数の候補地について比較検討を行い、最終的に植松入生の土地を名取市として最優位と考える候補地として、令和4年5月27日に宮城県知事に御提案申し上げたところです。なお、提案に至るまでの比較検討内容については、幾つかの検討項目に対する相対的な優位性を含め比較した資料であり、法人の資産に係る内部管理の情報や意思形成過程の情報を含むもので、名取市情報公開条例第10条第3号及び第5号に抵触するおそれがあることから、一部を公表しないこととしております。


吉田

 県でも同じような議論がされていたのですが、情報はなるべく公開していったほうが市民、県民の理解が得られますから、必要以上に隠すような姿勢はよろしくないのではないかと思います。今、複数とおっしゃいましたが、確かに複数というのは、県から委託された仙台医療圏地域医療構想推進業務の資料から読み取れるのです。そこには、本市からの提示場所として植松入生と愛島台四丁目の2か所の土地が載せられています。先ほど市長から答弁があった複数の土地というのは、この2か所以外にもあったのでしょうか。


企画部長

 比較検討した場所については、この2か所以外についても検討した経過があります。


吉田

 具体的な場所ではなく、地区名と数を教えていただけますか。


企画部長

 数については、4つの地区について比較検討を行っております。具体的な地区名については、該当の場所が特定されるおそれがありますので、答弁は控えさせていただきます。


吉田

 答弁したら誰にどのような影響があるのかよく分からないのですが、4地区とのことです。その中で本当に今回提案された場所が最適かどうか、結局、職員や情報を知っている方以外には誰も判断できないし、考えることすらさせてもらえず、これは初めから結論ありきといっても仕方がないような内容になってしまうのです。少なくとも一般の市民がそれを比較できる材料をしっかり提示しなければ、この構想そのものが本当に市民の手で成り立つものではなく、完全に上から下りてきた県の言いなりの事業ではないかと、それを隠蔽するために本市の職員が働いているのではないかとも見えてきますので、できれば公表してもらいたい。そして、公表する中で、なぜ今回の場所が最適だと結論づけられたのか、納得する理由を言っていただくのが私は一番重要なことではないかと思います。
 では、次に移ります。現在の両病院への搬送実績について確認したいと思います。  小項目3 直近3年間における両病院への救急搬送人員数の合計を消防長にお伺いいたします。


消防長

 直近3年の両病院への救急搬送人員数につきましては、令和5年が379人、令和4年が378人、令和3年が382人搬送しており、3年の合計人数は1,139人搬送しているところです。


吉田

 両病院ということで、全体から見ると名取市消防で搬送は1割程度の数かなとお見受けしました。
 そのことを踏まえて、次に移りたいと思います。この病院構想整備後の予測についてです。
 小項目4 新病院が整備されることで、本市消防による病院収容所要時間がどのように変化すると予想しているのか、市長と消防長にお伺いいたします。


市長

 新病院が整備されることでの病院収容所要時間の変化につきましては、統合される病院の一つが仙台市から市内に移転することになれば、収容時間が短縮することは予想されます。


消防長

 市長答弁にもありましたとおり、病院収容所要時間の変化につきましては、時間短縮されることは予想されますが、新病院の診療体制などが未確定なことから、短縮される正確な時間についてまでは捉えることができません。


吉田

 これがやはりこの構想の一番歓迎すべき点です。まだ内容がはっきり分かっていないとはいえ、搬送時間が短くなると、それだけ命が助かるケースが増えるということですから、この点については本当にありがたいと思います。
 ただ、その一方で、同じ本市の中でも新病院のほうが遠くなり、所要時間が長くなってしまう地域もあると見受けられるのです。そのようなことから、現病院と新病院と比較した場合に、距離が遠くなる地域、所要時間の変化などについての予測はどうなっているのか、市長と消防長にお伺いいたします。


病院立地環境整備推進室長

 例えば本市の高舘の丘陵地の団地に住む方などについてはこれまで八木山も含めて仙台市に生活圏を置く方も少なくないと捉えておりますので、新病院が植松に移転することでこれより不便を感じる方も一定数いるとは思われますが、これについては、基本合意書に示されている両病院の患者等に最大限配慮するということに基づいて、今後その解消に向けた対策が取られることで理解していただくしかないのかなと考えているところです。


消防長

 先ほどの答弁にもありましたとおり、高舘地区からの搬送時間が延長されるのは間違いないところです。ただし、先ほども申しましたとおり、病院の診療体制等が不明であるため、詳細な時間はまだ捉えていないところです。


吉田

 基本合意書にある配慮という部分についてはまた後で聞きたいと思うのですが、本市として同じ市民の中で病院の搬送時間、利便性の部分でも低下する地域が一部ある中で、そうした地域の住民の方々に対して市から説明をするなど、対応についての検討はいかがなのでしょうか。市長にお伺いします。


企画部長

 令和6年4月の時点においても、県と2市2町合同で市民あるいは地域の方向けに説明会を開いたところです。具体的にゆりが丘の方からの御意見なども頂戴したところですが、そのように様々な御意見を頂戴していきたいと考えております。


吉田

 そのように集まった意見がしっかり反映する形で進んでいくように、理解を少しずつ高めていき、つなげていただければと思います。
 では、次に移ります。両病院の患者等への配慮についてです。
 基本合意書の第9条には、日本赤十字社、宮城県及び地方独立行政法人宮城県立病院機構は、統合に当たり、両病院の患者等に最大限配慮すると書かれています。影響を受ける住民を抱える仙台市と本市とで、このことが確実に履行されるよう行動を起こすことが必要と捉えています。
 そこで、小項目5 基本合意書第9条にある患者等への最大限の配慮が確実になされるよう、基本合意を結んだ3者に対し、仙台市と合同で要望すべきと考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。


市長

 基本合意書につきましては、法的拘束力を持つものであることから、第9条における患者への最大限の配慮については、3者により確実に履行されるものと捉えており、仙台市との合同で本市から改めて要望する考えは持ち合わせていないところです。


吉田

 どのようなことを配慮していいか分からなければ配慮しようがないと思うのですが、市長は個人的にこの配慮はどのような内容であるべきと考えていますか。


市長

 場所が移るということは、当然その近くにいた人にとって新病院が遠くなることになりますので、そのような患者さんが通院をする上での御不便もあると思いますし、必ずしもその要望に全て応えられるかというとなかなか難しいこともあると思いますので、かかりつけ医と新病院との病診連携といったような充実はあるかなと思っております。


吉田

 かかりつけ病院などでは最大限にならないですよ。最大限と言っていませんでしたか。交通の部分で申し上げますが、令和2年9月に県知事に対する要望とともに本市から公共交通の充実を提案した経緯があります。先ほど市長からも御答弁がありましたが、これが事実です。本来、これこそが3者が本来行うべき配慮ではないのかと。それを本市がもう先に行いますと市長から明言しているわけですが、改めてこの公共交通の充実について、例えば予算で補助などが行われていくべきではないかと思うのですが、その考え方はいかがでしょうか。


市長

 患者さんの移動に関する公共交通の利用については、やはり市としてもしっかりと支援をしていきたいと思っております。例えばデマンド交通なとりんくるがスタートしておりますが、大きな病院については特定指定乗降場所としてどのエリアからもそこに行くことができるということで、新病院についても指定の方向で考えていきたいと思っております。


吉田

 それは必要なことだと思うのですが、そうするとこの3者の最大限の配慮というのは別に最大限しなくてもいいことになるのではないですか。最大限であれば交通の部分も取り組んでもらうべきだと思うのですが、そこはきちんと役割分担すべきだと思いますが、いかがでしょうか。


市長

 まさに役割分担の中で、市の役割として考えていると。ただ、公共交通の充実については、場所の確保も含めて、それはあくまで誘致に当たっての支援策として提示させていただいたところです。


吉田

 では、次に移りたいと思います。土地の買上げについてです。
 本市が提案した植松入生地内の候補地は、東日本電信電話株式会社が所有する土地ということでもう既に紹介されております。令和6年2月定例会の補正予算で不動産鑑定評価委託料が措置され、現在その結果が示されるのを待っている状態です。なお、土地取得のための財源については、県から市町村振興資金の融資をお願いすることなどを考えているとの答弁が過去にありました。さらに、候補地の広さについては、十分ではないのではないかという指摘もあります。そして、令和6年6月14日に行われた熊谷克彦議員の一般質問でも、周辺の道路改良等の整備が必要との御答弁がありました。確かに、現在の道路状況では新病院の開院により渋滞が発生することが予想されます。
 そこで、小項目6 道路の拡幅や施設用地の確保等でさらなる土地が必要となった場合、本市による新たな土地の買上げの可能性はあるのか、市長にお伺いいたします。


市長

 現時点において、既に予定されている名取市道の拡幅を除き、植松入生の新病院整備用地以外に、本市による新たな土地の買上げは考えていないところであります。ただし、新病院へアクセスするための道路改良工事などにおいて、一部土地の買上げが生じる可能性はあるものと捉えております。


吉田

 その市道の拡幅で必要になると思われる土地はどのぐらいか、もし現時点で想定があればお伺いいたします。


企画部長

 病院の施設の配置がまだ具体的に固まっておりませんので、今の時点で具体的にどの場所と確定的に申し上げることはできませんが、例えば病院の敷地内に入るための道路の関係で、国道から北進する車両の右折のための交差点改良などで市道の一部用地取得が必要になる場合もあるのではないかと考えているところです。


吉田

 仮に国道への引込みのために1車線増やさなければいけないなど、そのようなことが生じた場合、そのための土地を本市で買上げする可能性はないということでよろしいですか。


企画部長

 まだ具体的な法線なども決まっていない段階ですが、もしそのような国道への右折レーンの必要性などが生じた場合には、今後、国との協議の中でどのような負担になるのか、具体的な協議が行われることになると考えております。


吉田

 そのタイミングがいつなのかも非常に重要な問題だと思うのですが、一旦、確認したいことが別にあります。隣接するグラウンドは所有者の学校の部活動で使用されているとのことですが、掛け声や打球音で活動が制限されないか危惧されていると新聞等でも報じられています。こちらについて、本市に買い取ってほしいという提案はこれまであったのかどうか、確認させてください。


企画部長

 隣接する学校法人聖和学園所有のグラウンドのことかと思いますが、具体的な買取りの要望などはいただいていないところです。


吉田

 今後、もし土地を買い取ってもらいたいという要請がされた場合は、どのように対応されることになるのでしょうか。


企画部長

 要望の際に、本市で土地を用意しますとお話しした部分については、現在取得交渉を進めているNTT東日本所有の土地と考えておりますので、それ以外の土地を取得する考えは現時点で持っていないところです。


吉田

 では、次に移ります。新病院への補助金についてです。
 地域の医療機関に対し、自治体が補助金等を支出する例は珍しくないようです。本市は、岩沼市にある総合南東北病院に対し、二次救急医療病院群輪番制委託料と二次救急医療運営補助金を支出しています。補助金の額は、令和6年度当初予算で約1,700万円です。私が見落としているだけで、ほかにもあるかもしれません。仙台市に確認したところ、仙台赤十字病院に対しては、当番制の救急受入れ病院への補助として年間480万円程度の支出があるとのことでした。なお、種類は違いますが、例えば仙台オープン病院に対しては、救急センターとしての運営費補助として令和5年度は約4億7,000万円支出されています。村井知事は県議会で、新病院に対する財政支援については建て替えの費用200億円だけの負担にとどめ、それ以外の補助は一切考えておらず、そこは病院と名取市とで交渉していただきたいと答弁されています。本市に新病院が設置されれば、立地自治体として新たな補助が必要となることが予想されます。
 そこで、小項目7 二次救急医療への補助金等、公金による支出の上限額はどの程度となる考えか、市長の御見解をお伺いいたします。


市長

 二次救急医療の運営に係る支援と捉えて答弁を申し上げます。持続可能な病院運営となるよう、その恩恵を受ける自治体として一定の支援が必要であると考えているところであり、日本赤十字社からの要望を受ける形で支援については行っていきたいと考えております。その場合、総合南東北病院に対する補助制度を参考としたいと考えておりますが、現時点において、新病院の診療科や病床数などの詳細が示されていないことから、二次救急医療への具体的な支援額について申し上げられる段階にないものと捉えております。


吉田

 その際に金額をどのように決めるかですが、今、総合南東北病院への補助金については名取市公的病院等による二次救急医療運営補助金交付要綱が根拠になっています。同じく、こちらを根拠として金額を定めるための基準になると考えてよろしいのですか。


企画部長

 現在、総合南東北病院に対して行っている補助については、今、議員から御紹介のあった補助金交付要綱に基づいて行っております。この基となる制度は国の特別交付税措置の制度であり、診療科目と病床数が算定の基礎となっておりますが、これは病院によって異なるものですので、必ずしも現行の要綱をそのまま適用することにはならないと考えております。


吉田

 病院の内容が変われば補助金の考え方も変わってくるのは当然だと思いますが、この要綱が一つ、基準になってくるのではないかと思います。
 参考として、総合南東北病院への補助金について、先ほど2つメニューがあると言いましたが、それぞれの算定方法で、委託料は金額が分からないので令和5年度の実績について伺います。


健康福祉部長

 委託料については、基準額に基づいて、名取市、岩沼市、亘理町、山元町の2市2町の人口割と、救急搬送の件数に基づく実績割に応じて2市2町で負担をしております。補助金に関しても、実際の搬入件数に基づいて2市2町の実績割で案分しております。


吉田

 補助金の要綱を調べると、本市と岩沼市とで書いてある文言が違っていて、本市の根拠とする特別交付税に関する省令については第3条第1項第3号の表第52号の2の規定によりとなっているのですが、岩沼市では第43号となっているのです。その部分の修正をきちんとしていただきたいと思います。
 それから、金額については今おっしゃらなかったのですが、この財源は全て市の一般財源ということでよろしいのですか。


財政課長

 委託料については、市の一般財源です。補助金については特別交付税措置があり、本市は特別交付税が40%交付されます。


吉田

 分かりました。では、次に移りたいと思います。
 二次救急医療運営補助金の今後の新病院における負担割合についてです。総合南東北病院への二次救急医療運営補助金は、名取市、岩沼市、亘理町、山元町の2市2町が利用者の割合等に基づいて分担して支出していると伺っています。2市2町からの利用者が多いことが理由であると考えられます。新病院の構想が実現すれば、2市2町ばかりでなく、仙台市からも救急患者が搬送されることが予想されます。緊急性やハイリスクを伴う周産期については、仙台市太白区及び若林区からも対応すること、また、仙南医療圏からも一部救急搬送に対応することが検討されていると伺っています。こうしたことから、現在の総合南東北病院と同じように、新病院の二次救急医療に要する経費は周辺自治体で補助金を分担することになると思われます。基本合意がなされた以上は、補助金の分担について検討が進められなければなりません。
 そこで、小項目8 構想が実現すれば、仙台市をはじめ近隣市町にも二次救急医療への補助金等の負担が生じると思われるが、負担割合の検討はどのような場で行われるのか、市長の御見解をお伺いいたします。


市長

 二次救急医療への補助金等については、新病院側から正式に要望があれば、先ほど申し上げた補助制度を参考としながら、同様の枠組みの中で、近隣市町に対し制度の運用や検討の場について相談をしていきたいと考えております。


吉田

 とても単純な疑問ですが、その相談に対して、本市としては出せませんということは法的に可能ですか。


市長

 法的に可能かどうかというよりも、今まで2市2町で二次救急の輪番制で取り組んできましたので、もちろん枠組みがまだ決まっておりませんから、その点についてはこれからとはなりますが、相談をしていきたいと思っております。


吉田

 モラルとしては、やはり受け入れる側、来てもらう側ですから、支援するのは当然必要だとは思うのですが、問題はその枠組みだと思うのです。今、本市から仙台赤十字病院に実際に搬送されている件数が先ほど消防長からも御紹介がありましたが、ただ、本市として、今、仙台赤十字病院への二次救急の運営費補助は出していないのですよね。これが逆に仙台市からこの病院が移ってくることによって、仙台市は人口も多いですから新しい病院への救急搬送の件数、人員数も多くなると思うので、この負担の枠組みの中に当然仙台市も入ってもらうべきだと私は思うのですが、まずその枠組みの考え方、市長はどのようにお考えでしょうか。


市長

 先ほども御答弁申し上げましたが、これまで2市2町の中で二次救急の輪番制で取組を進めてきた経過があります。まだ正式な協議の段階ではありませんが、場合によってはそれぞれの議会に今後お諮りをする案件になりますので慎重に進めていかなければいけませんが、やはり2市2町の中で考えていきたいと思います。仙台市には今でも大変多くの患者さんの救急搬送を受け入れていただいておりますが、本市からそれに対して負担はしておりませんので、仙台市にも求めていかないことになると思います。


吉田

 現時点では、2市2町以外の県南の9市町についてもその枠組みには入らない、あくまでも沿岸部の2市2町というお考えでよろしいですか。


市長

 2市2町以外の県南2市7町については、みやぎ県南中核病院や白石市の病院などもありますし、これまでは少なくとも2市2町の中で連携を図ってきましたので、そのことを継続していきたいとは考えております。


吉田

 本来どういう形であるべきなのか、私もほかのケースも知らないので何とも言えないですが、広域的な病院はどこから搬送されてもおかしくないもので、私も仙台市の病院に搬送されたこともあります。本当に協力体制がこれからもしっかり維持できていけるのかという部分で、仙台市として負担を求めないのであればありがたいことだと思うのですが、そのような関係が本当にいいのか、ちょっと違和感が拭い切れないのが正直な感覚です。
 今度新しい病院が設置されることで、現状の総合南東北病院への搬送件数、人員数は減ることになると思うのですが、そのことによって総合南東北病院への補助金が減額になる可能性はあるでしょうか。


企画部長

 先ほど申し上げたように、補助金の制度については国の特別交付税措置で定められたものに従っておりますので、診療科目と病床数を基に算定される額となります。負担割合については、実績で割っているため減る可能性はありますが、トータルの補助金の額では現行の制度と変わらないものと捉えております。


吉田

 そうすると、基本的には今負担している部分に上乗せになると理解したところです。今、補助金は年間1,700万円、それに今後新しい病院の構成によってどのぐらいの額がプラスになっていくのかまだ見えないところですが、果たしてそれ以外の補助金がないのかどうか、次に移って公金支出の歯止めについてお伺いしたいと思います。
 新病院の経営主体となる仙台赤十字病院は、現在は赤字が続いています。各種資料によると、医業利益については令和3年度4億2,600万円の赤字、令和4年度10億3,900万円の赤字でした。本市は新たに病院が来る側ですので、この構想に対して賛成の立場であることは十分に理解できます。ただ、開院した後の経営の見通しについては、現時点でも資料等が十分ではないため、黒字への転換が本当に可能かどうか知る手だてはありません。自治体として誘致した以上、経営の安定に最大限協力してほしいと要請されれば断るのは難しいのではないかと思います。そして、先ほど申し上げたように、県はランニングコストを負担する考えはないと知事が明言しています。現時点でも土地の取得費や二次救急医療運営費補助など、本市の支出が相当な額になることが予想されます。これらの額がさらに膨らむことがないとは言えません。新たな名目で求められる負担が生じるおそれがどうしても拭えないわけです。市の収入は限られております。医療への公金支出を増やせば、他の部門の支出を減らさなければならなくなります。行政の課題は医療だけではありませんので、支出が可能な額をあらかじめ考えておく必要があるのではないかと思います。
 そこで、小項目9 新病院が赤字経営となっても、公金による穴埋めが際限なく拡大することのないよう、本市から支援できる範囲をあらかじめ示すべきと考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。


市長

 新病院については、本市が経営主体ではないことから、仮に赤字経営となった場合であっても、議員御指摘のとおり、本市の負担により際限なく穴埋めするものではないものと捉えておりますので、支援の範囲についてはそのことを踏まえて協議してまいりたいと考えております。また、補助金等による支援については、当然ながら議会の議決を頂戴することになりますので、あらかじめ議会に御説明をさせていただきながら、検討を進めていきたいと考えております。


吉田

 その金額の上限という点で、ちょっと振り返って、現時点で確定している用地取得の費用について支出可能な額がどのぐらいで、ここを超えたら難しいというラインは考えているのか、確認したいと思います。


企画部長

 現在進めている土地取得については、あくまで民間の土地を市が買い上げるもので、地権者の側と合意をしなければ買取りできませんので、基本的に上限の設定という議論にはならないものと捉えております。ただ、当初、誘致の際の条件設定に当たって、ある程度見積りをした上で、そのような条件提示が可能かどうかについて検討してきた経過はありますので、今後、具体的な鑑定評価が出て、その後、地権者との交渉とはなりますが、市として負担できない額ではないと捉えております。


吉田

 負担できない額ではないということは、それほど大きく予想が外れることはない程度に見通しがついているのかと思います。財源としては県からの市町村振興資金の融資と今の時点では考えているようですが、毎年どのぐらいを何年かけて返すという返済のシミュレーションは現時点でされているのか、お伺いします。


財政課長

 土地の財源としては、先ほど申し上げましたとおり県の貸付け、また、こちらも今後協議となっていきますが銀行資金、それから他の財源としては基金の繰入れなどで用意していくことになろうかと思います。県の市町村振興資金を借入れできることになれば、県の市町村振興資金貸付規則によって借入条件が定められることになると思います。一般の資金扱いとなれば期間10年の財政融資資金で10年物の利率、また、知事が必要と認める特認事業の扱いとなれば、知事の定める利率、知事の定める期間という扱いになろうかと思います。


吉田

 今、2つの返済の種類があると伺いましたが、どちらになるかというのは現時点ではまだ決まっていないのですか。


財政課長

 県の関係部署と今後協議していって進めていくことになろうかと思います。


吉田

 ここで改めて確認をしておきたいのですが、本市の支出に関しては、今ここまでお話ししてきた中で用地取得と委託料も含めた二次救急医療運営費補助が主なものと考えられると思います。それ以外に公金を投入する対象となるものがあり得るのかどうか、なければないとはっきりここで確認をしておきたいのですが、いかがでしょうか。


企画部長

 直接的な経費として、まずは土地の取得、それから、要請があれば運営の支援のようなことが考えられますが、周辺の地域との話合いの中で環境整備等、また先ほどお話ししました交差点改良等が出てくれば、そのような環境整備的な経費については出てくる可能性はあるかと思います。


吉田

 ちょっとまだ全体像が見えないと。見通せないのは仕方がない部分があるとはいえ、今後、不動産鑑定評価の結果が明らかになって、議会としても土地取得に踏み切るかどうか判断していくタイミングが出てくるわけですので、できるだけ分からない部分がなく、きちんと将来の負担額全体を見通すことができる状態で土地取得については提案していただきたい。早ければ令和6年度中にそうした話も出てくるのかなとも予想しているのですが、できるだけ透明に数字の見通しをお示ししていただけるように努めていただきたいと思いますが、市長としてのお考えはいかがでしょうか。


市長

 地域の皆さんもそうですし、市民、議会の皆さんに、これから進めていくに当たっては必要に応じてしっかりと説明をしながら進めていかなければいけないものと捉えております。


吉田

 そうなのです。我々は特に数字の部分が一番気になるわけですから、数字をより詳しくお示ししていただいた上でと思うのですが、数値という部分に限ってはいかがですか。


市長

 先ほど、るる議論の中でいろいろお話が出たように、確定できるものとそうではないものがあります。特に数字の部分については、今は基本合意がなされた段階ですので確たることは申し上げられませんが、必要に応じて、また、そのときの情報によって数字も含めてしっかりと説明できるようにしていきたいと思います。


吉田

 ほかの議員の方はどう思っているか分かりませんが、これは将来にまで非常に長く影響するもので、先ほど言ったように県立ではなくなるのでその部分は非常に心配です。救急搬送や総合病院が近くなる部分では、市民にとっては明らかに医療が受けられるいい面、プラス、メリットと捉えられる一方で、市の税金からどのぐらい負担があるか、それが多ければ多いほどほかの事業に回せるお金が減るわけですから幾らでもいいというわけではなく、先ほど市長も御答弁されたとおりだと思います。
 ですので、この構想も土地の買上げという一つの大きなターニングポイントを間もなく迎える上で、できる限りきちんと数字を明らかにしてもらいたい。決まってから、あれも必要だった、これもお金がかかるからと次の支出がまた生じるなど、次々そのようなことが起きてくることだけはなしにしてもらいたいのです。その思いだけ最後にお伝えさせていただいて、一般質問を終了したいと思います。


本会議

(議案第78号 令和6年度名取市一般会計補正予算)


吉田

 10、11ページ、21款5項2目雑入16節雑入、説明の欄の2番目の(一社)新薬・未承認薬等研究開発支援センター助成金です。今、質疑・答弁があって、そのときの御説明だと、この助成金は、これまで国費で負担されていたものから自費負担になっていって、その過程でこうした助成金がつくられたというか、対象になることになったように聞こえましたが、これは本市だけではなくて全国どの自治体もこの助成金を受けるような形になるということで、国から何か通達とか、そういうものがあってのものなのですか。


保健センター所長

 こちらの新型コロナワクチン接種については、令和6年度から定期接種に変わるということで、ある程度個人負担金も発生してくる形になります。それで、各自治体が委託料を支払って接種を実施していくようになるのですが、その中で、ワクチン代とか手技料、接種に係る費用について、国が令和5年末に示していたものから、その後、令和6年3月になってかなり高額な形で見直しがされたために、全国的にこの8,300円という額を国から助成することになったものです。


吉田

 国からの助成と言っていますが、これは一般社団法人と書かれていますので、あくまでもこの新薬・未承認薬等研究開発支援センターというのは国の直轄の機関ではないと思います。この一般社団法人からの助成金ということですが、こんなにお金をたくさん持っている社団法人というのはどういうことなのですか。やはり国から、そういう基金みたいなものからお金を受けて運営されているのか。結局それは国から来るお金が迂回して入ってくるということに等しいと思いますが、その辺のお金の流れについて、もし把握されていればお伺いします。


保健センター所長

 こちらの(一社)新薬・未承認薬等研究開発支援センターは、先ほど申し上げましたとおり、ワクチン生産体制等緊急整備基金という基金を管理している団体のようです。ですので、ワクチンに関する基金の中から、新薬・未承認薬等研究開発支援センターを経由して助成金が支払われるということで理解しています。


吉田

 10、11ページの19款2項1目財政調整基金繰入金1節財政調整基金繰入金でお伺いします。先ほど大友康信議員の質疑への答弁の中で、新型コロナワクチンの定期接種について一部市の負担という御説明がありましたが、財源としてこの財政調整基金からそれが充てられるということでよろしいですか。


財政課長

 財政調整基金ですが、今回補正予算を組ませていただきました歳出の一般財源総額の見合い分となっています。ただいま議員からお話がありました新型コロナワクチンの接種に係る部分が一般財源としては多い金額となっていますので、主なものとしてはこちらの部分が当たっているということです。


吉田

 歳出のほうを見ると、今回の接種委託料とか助成金として金額が計上されていますが、この(一社)新薬・未承認薬等研究開発支援センターからの助成金と財政調整基金を全部合わせてもその額に満たないように計算上はなると思います。新型コロナワクチンの接種に係る費用について、それ以外のどこかで財源として措置されている部分があるのであればお伺いします。


財政課長

 先ほど申し上げたとおり、財政調整基金については、全体の歳出予算の一般財源に充てているという格好になっています。その他、一般財源としまして、例えば歳入の21款5項2目雑入の一番下、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金についても、令和5年度分の事業の確定値に対する追加交付分ということで、一般財源扱いとなっています。こういったものをトータル的に一般財源歳入で見込んで、歳出のほうに当たっていますので、特別にこの分がここに当たっているという捉え方ではないところです。


吉田

 12、13ページ、2款1項11目公共交通対策費18節負担金補助及び交付金のデマンド交通運行業務欠損補助金ですが、この数字の具体的な根拠をお伺いします。


防災安全課長

 委託の契約を締結しているわけですが、その収入見込みに合わせて、今回、欠損補助金としてこのような金額が発生したというものです。
 令和5年度の収入想定額を585万円と見込んでいたところですが、収入額が261万6,915円ということで、その欠損分を設定して、今回補正をお願いしているものとなっています。


吉田

 令和5年度分と今聞こえたような気がするのですが、令和5年度の途中で今の委託先に替わっていると思います。替わる前の業者と替わった後の業者、両方についてのものなのか、それともどちらか片方なのか、お伺いします。


防災安全課長

 こちらについてはデマンド交通の分ということですので、令和5年10月から運行しているなとりんくるについての6か月分になっています。


吉田

 12、13ページ、2款1項6目企画費の18節負担金補助及び交付金の婚活支援事業補助金です。これは、市として依頼する事業への補助金なのか、それとも、県のほうでも同じような事業を行っていると思いますが、そのようなものに対して分担して払うような形なのか、内容をお伺いします。


なとりの魅力創生課長

 こちらの補助金ですが、あくまで市の婚活イベントを実施する団体に対する補助金を支給するものとなります。


吉田

 今までも同じような補助があったと思うのですが、今回どういう目標を持っておられるのかお伺いします。目標というのは、事業そのものの成果としての目標です。


なとりの魅力創生課長

 こちらの補助金については令和5年度も執行しておりまして、基本的には同様のイベントに対して補助金を執行するという中身になります。目標としては、第六次長期総合計画において目標人口を8万5,000人と掲げているわけですが、どうしても今、特に若年層の部分についてマイナスの乖離が大きいということもありまして、少子化対策の一助となるこの婚活支援については様々な形で市として支援していくべきだろうということで今回補正でお願いするものですので、結果的には御成婚というところを目標に掲げて実施するものになります。


吉田

 16、17ページ、4款1項3目一般予防費、新型コロナワクチン接種の自己負担金ですが、それは先ほどおっしゃったインフルエンザなどと同様に、医療機関ごとに設定されて、差が出てくることになるという理解でよろしいですか。


保健センター所長

 予防接種は個別接種で、市が名取市医師会に委託して実施するようになりますので、料金については、名取市医師会に登録の医療機関であれば同額という形になります。


吉田

 16、17ページ、7款1項4目観光費12節委託料ですが、この委託料全体の金額を見ると1,355万8,000円ということで、先ほどの歳入の15款2項6目商工費国庫補助金の補助基本額と全く同じになっています。ここに3つ委託料がありますが、この3つの委託料は1つの委託先に全部まとめて委託するということですか。それとも、単独の事業として3つあって、それぞれ事業者を選定していくことになるのでしょうか。


商工観光課長

 それぞれの事業で内容が若干異なりますので、それに即した事業者にお願いするのがベストだと現在は考えています。それぞれ入札にかけたりして別々に委託するということで、一緒くたに委託することは今のところ考えておりません。


吉田

 その業者の選定についてはどういった方式を検討されているのでしょうか。


商工観光課長

 その中身にもよるとは思いますが、入札やプロポーザルなどがいいのか、随意契約でないとできない事業もあるかもしれませんので、そこのところは今精査しているところですが、基本的には入札等を考えているところです。


吉田

 16、17ページ、今の7款1項4目観光費12節委託料の補正額の財源内訳を見ると、国県支出金が1,209万6,000円ということですが、これは歳入のほうで見るとブルーツーリズムの分とサイクルツーリズムの分を足した金額に当たると思います。このサイクルツーリズムの分は今回この委託料の中には入っていないのですか。


財政課長

 こちらのサイクルツーリズムについてはあくまで財源更正という形で、令和6年度の当初予算の際にお認めいただいておりまして、こちらは当初、一般財源で見込んでいたのですが、今回、県の市町村振興総合補助金の採択が下りましたので、その部分について財源更正という形で上げさせていただいています。


吉田

 その他のところが113万円の減ということで、これが恐らくそのふるさと寄附金の額と合うのかなということです。これはやはり一番最初の段階で見込んでいたその他の財源が入ってこなかったということになると思いますが、当初どのぐらい見込んでいたうちの今回の減になっているのでしょうか。


財政課長

 サイクルツーリズム推進事業については、当初、歳出予算で250万円の事業費を見込んでいました。その財源として、ふるさと寄附金を当初で225万円見込んでいたところです。今回、県補助金の総合振興費、市町村振興総合補助金ですが、こちらでサイクルツーリズム推進事業費分として追加内示を受けたことから、今回、財源更正を行っているものです。250万円の事業費に対し、125万円が県補助金分として入っています。これが措置されたことにより、ふるさと寄附基金の繰入金を113万円減額しておりまして、残り、一般財源のほうでも12万円ほど、県補助金が入ったことによって財源更正を行っているというものです。


吉田

 20、21ページ、10款6項2目体育振興費の18節負担金補助及び交付金です。先ほど、ラジオ体操生放送の内容で、ピアノの生演奏が決まりとなっているといった御説明がありました。屋外に運ぶ費用ということで説明があったのですが、仮に準備の日に雨が降ったりしていても外での実施を強行するのか、あるいは別な方法、雨天時の対応などについても現時点で何か考えがあるのかお伺いします。


文化・スポーツ課長

 こちらの主催に関しては株式会社かんぽ生命保険、NHK、そういった団体になっていますが、そちらからは雨天中止ということで伝えられています。


吉田

 中止になった場合、かからなかった運搬費などは、当然返金というか、支出されないのでしょうか。それとも、先に運搬まで含めて申込みをしておくのでキャンセルは利かなくなってしまうのか。少し細かいのですが、どういった考え方なのか伺います。


文化・スポーツ課長

 実際にその契約の中身に関しては、実行委員会もまだ立ち上がっておりませんので、どこと契約するとか、詳細は決まっていないかと思いますが、当然、かからなかった費用に関しては返還していただくものと捉えています。


(議案第85号 宮城県後期高齢者医療広域連合規約の変更)

吉田

 この議案の事前の説明はなかったと思うのですが、背景がよく分からないので教えていただきたいと思います。今回のこの規約の改正の中で、市町村の事務が別表第1の中に規定されていて、その内容が被保険者証と資格証明書という2種類のものの引渡しと返還の受付ということだと思いますが、資格確認書に「等」をつけることによって、それ以外のものも対象として引渡し・返還の受付をしなければいけなくなると思いますが、もう既に何か想定されているものがあるということなのでしょうか。


保険年金課長

 記載にある「等」ですが、宮城県後期高齢者医療広域連合では、現時点において、引渡しに関しては、例えば資格情報のお知らせあるいは特定疾病療養受領証、返還については、かつて持っていた被保険者証、限度額適用認定証、限度額適用標準負担額減額認定証、特定疾病療養受領証を想定しているとのお話を伺っているところです。


吉田

 そのように具体的に対象となるものが決まっているのだったら、それをそのまま列挙すればいいと思います。「等」とすることでどこまでも広がっていくことになると思うのですが、将来的に対象となるものがもっと増えることまで想定して「等」としたという理解でよろしいですか。


保険年金課長

 議員お見込みのとおりです。