令和5年第4回定例会(9月)


本会議

(議案第82号 控訴の提起について)

吉田

 今回、被告側である本市が控訴するに当たって、平成15年11月11日の最高裁判決が妥当であるという前提で控訴をして次の第二審も闘っていくということだと思いますが、この判決に至る裁判が起こされたのはいつだったのでしょうか。この訴訟が始まった年月日をまずお伺いします。


教育部長

 平成15年の最高裁判例が出されたときの指導要録の開示請求は、平成6年と記載されています。


吉田

 平成6年に第一審があって、それから最高裁まで行ったということで、10年ぐらいかかっての判決ということだと思います。その後どういうことがあったかといいますと、全国各地で指導要録等の全面開示という例が相次いで、その後、平成11年に、行政機関の保有する情報の公開に関する法律が制定されました。次の年、平成12年には、旧文部省の諮問機関、教育課程審議会が、指導要録については本人から請求があれば原則開示するという趣旨の提言をしているという、これは事実なのです。だから、それまでの情報開示のいろいろな問題がここで一旦整理されて、全面開示ということを当時の文部省、今、文部科学省になりましたが、その諮問機関がそのように全国に対して一律に決めているのに、それに反するようなそれ以前の平成6年に起こされた裁判の判決というのが、果たして今後も第二審を争っていく上で根拠として成立するのかどうかについては、どのように考えているのでしょうか。


教育長

 今議員御指摘のように、平成12年、教育課程審議会が、指導要録については著しい支障がある場合を除き基本的に開示すべきという答申を出しています。ただ、これを受けて文部省が具体的な通知を出したかというと、そういったことではありません。そういうことを当時の文部省に対して提言したということだと思います。
 考え方としては、先ほども申し上げましたが、その後の指導を進めていく上で著しい支障がないものについては、今回も名取市個人情報保護審査会から開示しても差し支えないという判断をいただきましたし、今回の裁判の判決でもこの内容であれば一向に差し支えないという判断で、ただ、一律に全てあからさまに開示すべきだということは、この教育課程審議会の答申でも今回の判決でも言われているものではないと思います。
 ただ、教育委員会として平成15年の判例を一つのよりどころとしたということについては、先ほども申し上げましたが、内容によって、これは支障がないから開示します、これは支障があるから開示しませんという取扱いが妥当なのかどうかということについて、私は非常に疑問を感じます。つまり部分開示にしたのは何か支障がある内容が書いてある、開示したのは支障がある内容は書いていない。そうすると、先ほども齋議員の質疑にお答えしましたように、開示することを前提とすることによって、指導要録自体が形骸化して指導の記録としての意味が薄れてしまっていくのではないかという危惧を持っています。
 ですから、指導要録自体の性格は全く変わっておりませんので、私は、平成15年の最高裁判決の考え方は今後教育を進めていく上でも大事な考え方ではないかと認識しております。それについての教育委員会としての考え方を、さらに上級審でももう一度判断をしていただきたいということです。


吉田

 議案第82号資料1ページ、6、裁判の経過というところでお伺いをいたします。通常、このようなケースの場合は、互いの争点が整理されたタイミングで和解勧試が行われると思いますが、その和解が成立しなかったために判決に至ったのだと思います。和解勧試が裁判所で行われたはずですが、相手方の言い分、こちら側の言い分、そしてどこが折り合わなくて結局和解できなかったのかについてお伺いいたします。


教育部長

 和解については、令和5年5月22日の第4回口頭弁論の後に、裁判所から和解の勧めがありました。結果的に和解は成立しませんでした。その内容については訴訟に差し障りがありますので、控えさせていただきたいと思います。


吉田

 それはいけないと思います。これまでの経過をしっかりと示していただかなければ、控訴すべきか、すべきでないかという判断はできないと思います。和解が成立しなかったために判決をいただいて、結局今回はこちら側の主張が認められなかったと。違法性ということで賠償まで生じたということです。和解が成立していればこうならなかったはずで、その和解について、相手方、こちら側、それぞれ言い分があるはずですが、それをしっかりとここで示していただきたいと思います。


教育部長

 和解の内容については、先ほど申し上げたとおり、結果的に両方とも歩み寄りがなされなかったということです。繰り返しになりますが、内容についてはお示しすることはできませんということで御理解いただきたいと思います。


吉田

 我々、判断する側には責任がありますので、できるだけ事実を積み重ねた上で、その事実に基づいて判断をしなければいけないと思います。和解の内容は、空想のことではなくて事実に基づいたことをお聞きしていますので、今後の裁判に何か影響があるというのであれば、秘密会という形もあろうかと思いますが、そのあたりはどうなのでしょうか。どうしてもここで示すことはできないということなのでしょうか。それぞれの表決に対しての自分自身の責任というものが生じてくるということだと思います。後になって和解の内容が実はこうだったのだということで、知らなかったとなって、それで本議案の表決の判断は間違っていたと評価されたら、それはこちら側としてもそういう事態は避けたいのですが。


議長

 吉田議員に申し上げますが、今回の議案はあくまでも控訴の提起についてです。これまでの議論の中で、和解は受け入れられなかったために結果として判決があって、それに対して不服ということなので、直接は関係ないと私は思っています。今回の判決に基づいた控訴についての質疑をお願いいたします。


一般質問

吉田

 10番吉田 良です。ただいま議長から発言のお許しをいただきましたので、事前の通告に従って一般質問を行っていきます。
 まず初めに、大項目1 児童生徒の学力向上についてです。
 令和5年度の全国学力・学習状況調査の報告書と集計結果が公表されました。また、宮城県教育委員会からも調査結果について速報が公表されました。
 政令指定都市の仙台市を除く宮城県の結果を見ると、教科に関する調査は小中学校ともに対象とされる全ての教科で、平均正答率が全国平均を下回っています。中学校の数学と英語は、全国と比較して7ポイントも低い正答率でした。平均正答数についても、全校種、全教科で全国を下回っています。
 言うまでもありませんが、この調査結果だけでは本県の児童生徒の学力の情報は不十分です。また、そもそも本市分の集計結果が公表されておりませんので、本市の状況を把握することはできません。
 そこで、まず確認させていただきたいと思います。
 小項目1 本市の児童生徒の学力について、目標をどのように定め、現状をどう捉えているのか、教育長にお伺いします。


教育長

 本市では、平成28年度から確かな学力向上推進事業に取り組んでおり、名取市の将来を担う子供たちの確かな学力の向上を図ることを狙いとしております。
 確かな学力とは、知識や技能はもちろんのこと、これに加えて学ぶ意欲や、自分で課題を見つけ自ら学び、主体的に判断し行動し、よりよく問題解決する資質や能力等を含めたものです。
 現状につきましては、基礎的な知識・技能については一定程度定着していると捉えていますが、応用力や自力解決していく力などに課題があると捉えております。例えば、算数・数学では、基礎的な計算力は身についているものの、図形の証明問題等に課題があると感じております。


吉田

 様々な生徒がいますので、できる子、できない子、それぞれ課題があるわけですが、学力ということについて考えていきたいと思うのです。
 まず、学習指導要領の総則ですが、その解説によりますと、生きる力というものは確かな学力、豊かな心、健やかな体を3本柱とする。そして、これらを育むことを目指すと書かれています。
 この考え方に私は総論として賛成ですが、学力というものはその3本柱の中でも最も太い柱ではないかと思います。なぜなら、健やかな体を育み、運動能力を向上させるためにも、科学的な思考や分析は不可欠だからです。
 今年の夏の甲子園で優勝した慶應義塾高等学校野球部の選手が日焼け止めを使用していることが話題になりました。無防備に紫外線にさらされると、疲労が蓄積したり免疫が低下してパフォーマンスが下がるという理由で、日焼けを防いでいるということです。これはまさに科学が精神論に勝るということを表していると思います。
 また、豊かな心、いわゆる徳というものを身につけるためにも、古典を読むということは不可欠です。古典を読んで理解し実践するためにも、基礎的な学力が必要です。
 「學」という漢字、これは両手、そして習うという音符、そこに子供という字を書き合わせた文字で、しぐさをまねして習う意味を表すとされます。学ぶことで成長していくのは、心も体も一緒であり、つまり成長の源というのは学力であると言えると思います。3本柱の筆頭に置かれているのも、そのような理由からだと考えられます。
 こうしたことから、学力向上というものが学校教育において最重要課題に当たるのではないかと思うのですが、その位置づけについて教育長はどのようにお考えでしょうか。


教育長

 ただいま議員から御紹介いただいたように、学習指導要領において、確かな学力、豊かな心、また身体面について述べております。
 学校教育の中では、学習指導要領を読むまでもなく、かなり昔から学校において大切にしなければならないこととして、知・徳・体ということがよく言われます。いわゆる知育・徳育・体育です。私は、このうちどれが大事かということは非常に難しいのではないかと考えております。知力があっても徳育、体力が十分でなかった場合、その知力を十分に発揮できるかという問題もありますし、私はそれぞれが相互に関係しながら、知・徳・体のバランスの取れた子供を育んでいくことが大事ではないかと思いますので、あえてこの3つに優先順位をつけるという考えは持っておりません。


吉田

 先ほど申し上げたように、学力というものがあることによって、ほかの2つの柱も伸ばされていきます。私はどれかが低いとか、どれかだけが特に高くてバランスが悪いことについては教育長と同じように、やはり望ましくないと思います。全部がバランスよく育っていくことが当然望ましいことと思います。
 ただ、その中でもやはり学力を引き上げていくことによって、それ以外の部分も、そして生活全体がもっと子供にとって将来のために豊かになっていくということがあるのではないか。だから、先ほども知・徳・体と言われましたが、知が一番最初に言われるのは、やはりそういう要素があるのだと思います。徳・知・体と言う人もたまにいますが。
 それで、私はどうしても今の学校教育において、特にICTやタブレット端末、また最近ではプログラミング学習といういろいろな新しい技術が入ってくることによって、学力向上という本来の学校教育の重要性の度合いが、今までよりも少し薄くなってきているような気がするのです。そのあたりはどのように捉えているでしょうか。


教育長

 児童生徒の確かな学力を育んでいくことは、間違いなく学校教育の中の非常に大切な要素であると、私も当然思っております。ただ、議員も話されたように、知・徳・体をあえて徳・知・体と学校教育目標に位置づけている学校もかなり多くあります。徳育、つまり思いやりの心、協力する心、そういった心を育むことによっていろいろな面に、知育にも体育にも影響してくるという捉えをしている学校もあります。ですから、繰り返しますが、どれが一番大事ということは考えておりません。
 議員から御質問があった、それ以外の要素がたくさん入ってきているのではないかということについては、私は全くそのとおりだと思います。学校で知・徳・体という3つをバランスよく育んでいくということを実施しようとしたときに、様々な要素が学校教育の中に入ってきているということは感じております。ですから、私は学校教育の中で、あえて必要なものを精選して取り組んでいくという考え方も必要だろうとは思っております。
 ただ、そのときに絶対に欠かすことができないのは、知・徳・体を育てるための授業であり、好ましい人間関係を育んでいくための学級づくり、学校づくりであり、子供たちの健全な身体を育むための取組、それは欠かすことができないものだと思っております。最近入ってきているICTやいろいろな要素についても、これから未来に向かって育っていく子供たちに身につけさせなければならないという側面もありますので、それらをどう有効に活用していくかという観点で、学校として取り組んでいくことも反面必要だろうと思っております。


吉田

 今回は、学力のところに焦点を当てて質問を続けていきます。
 次に移りたいと思います。今度は宮城県による学力向上推進施策への本市の対応についてです。
 宮城県教育委員会は、みやぎの学力向上対策として、学力向上マネジメント支援事業や学力向上対策協議会などの取組を行っています。本市による対応を確認したいと思います。
 小項目2 本市が、みやぎの学力向上対策を進めるに当たって、現状と課題をどのように捉えているのか、教育長にお伺いします。


教育長

 ただいま議員からも御紹介がありましたが、みやぎの学力向上対策を学力向上マネジメント支援事業と捉え、答弁をいたします。
 宮城県では、学力向上マネジメント支援事業を推進する中で、5つの柱を示しております。1.学力向上を推進していくための中核的な組織づくり、2.全国学力・学習状況調査問題、調査結果を全職員で共有・授業改善、3.学力調査、検査等による客観的データに基づいた検証・指導対策、4.学習のつまずきを解消する時間・期間の設定、5.学びの系統生・連続性を重視した小中連携の推進となっております。
 本市においては、基本的にこの方向に沿って取組を進めておりますが、課題としては、閖上小中学校以外では小中連携は進めているものの、時間も限られており、まだ有効な学びの連続性・系統生を重視した小中連携には至っていないことと捉えております。


吉田

 今の御答弁ですと、5番目のところでまだ課題があるということだと思います。
 この学力向上マネジメント支援事業についてお聞きしたいのですが、県の資料では、実施しているのは角田市、柴田町、多賀城市、大崎市、石巻市、気仙沼市とあります。本市で実施することについての検討は行ったのでしょうか。


教育長

 県が実施する事業に手を挙げて、県の事業の一環として行うということはしておりません。ただ、事業において大事だとされている5つの柱については、先ほども申し上げたとおり、本市においても内容的には十分取り組んでいるものと思っております。


吉田

 その5つの点については後でもう一度触れますが、それ以外の宮城県の学力向上対策の中で、算数・数学ステップ・アップ5という事業成果についての公表が行われています。こちらについて、その実践の事例として第1期で49件、第2期で34件が公開されていますが、本市の学校の取組はその中でもたった1件、ステップ2のゆりが丘小学校の事例しか見られません。
 東松島市や大河原町などたくさん事例が紹介されている自治体がある中で、なぜ本市は1件だけにとどまっているのか、伺います。


教育長

 県の教育委員会だけでなく、いろいろなところで学校に関わる事業に取り組んでおります。この算数・数学ステップ・アップ5については、ここに掲載されているところは県から各市町村を通して各学校に文書が来て、手を挙げた学校が載っているものと捉えております。
 私はこれに実践例として本市の学校が載るかどうかは、あまり重要視しておりません。ここで言われているような学力向上のための大切なことは、さっきのマネジメント支援事業でも申し上げたとおり、本市内の各小中義務教育学校で十分に取り組んでいることと思います。ただ、それがこのように紹介されていないから、本市では取り組んでいないということではないと私は捉えております。


吉田

 取り組んでいないということではなく、積極的に取り組んでいることがもう少し発信されてもいいのではないかと思います。全部合わせると83件の実践事例が紹介されており、県がこれだけまとめたということは十分にこれを活用したほうがいいという意味合いがあると思うのですが、現場ではどのように活用されているのでしょうか。


教育長

 これは各学校でも十分認識していると思います。後で触れることになると思いますが、学校により年間を通して校内研究に取り組んでいます。その校内研究で算数・数学を取り上げている学校もあります。中学校の場合ですと教科担任制なので、数学に絞ることは難しいのですが、小学校では算数に絞って校内研究を進めている学校もあります。特にそういった学校においては、このような実践事例は十分に参考にして取り入れているものと思っております。


吉田

 せっかく取り入れて授業を行っているのですから、どのくらい成果が上がっているのか、その分析はなされているのでしょうか。


教育長

 校内研究については、教育委員会で学校教育指導専門員を置いていますが、その指導専門員が各学校を回り、研究主任者会に必ず同席します。研究主任が校内研究を進めますので、1年間の取組の成果と課題をまとめ、それを研究主任者会で共有し、次年度の校内研究に生かしていくという、言ってみればPDCAサイクル的なことを各学校で校内研究においても行っております。


吉田

 そのような取組を行っているということで、それを今後計画としてしっかり進めていくことを提案したいと思います。
 先ほど学力向上マネジメント支援事業の1番で触れた内容ですが、これは令和4年2月に宮城県教育委員会から各市町村教育委員会と小中学校、義務教育学校に向けて、学力向上PDCAサイクルの確立に向けた5つの柱というものが示されています。先ほど教育長に全部御紹介いただきましたが、その1番は、もう一度繰り返しますと、学力向上を推進していくための中核的な組織づくりとされています。
 小項目3 学力向上を推進する中核的な組織を設置し、学校及び児童生徒の実態を踏まえた学力向上推進プランを作成すべきと考えますが、教育長の御見解を伺います。


教育長

 本市では、平成28年度から本市独自の学力向上推進プランとして、確かな学力向上推進事業に取り組んでおります。その中で、学校教育課の指導体制の充実を図るとともに、研究主任者会の活性化を図る取組を継続して行っております。
 今後もさらに取組を継続し、充実させていきたいと考えております。


吉田

 まず、その中核的な組織というのはどこに当たるのでしょうか。


教育長

 本市全体で考えれば、学校教育課に中核的な組織があると捉えております。具体的には、学校教育指導専門員、それから指導主事の2名がおりまして、各学校への指導主事学校訪問あるいは校内研究の指導等に深く関わっております。
 それから、各学校においては、研究主任を中心としてどの学校でも校内研究推進委員会という組織を設けて、1年間を通した校内研究を推進しております。学校においては、それが中核的な組織に当たるものと思っております。


吉田

 それは学力向上という部分に特化した組織なのでしょうか。それとも、学校の教育活動全体に関して、知・徳・体ということで全体についての検討を行っていく組織なのですか。


教育長

 学校教育課の学校教育指導専門員は、主として校内研究、学力向上を中心に担っております。ただ、指導主事は授業の指導、学力向上もそうですが、その他たくさんの徳育・知育にも関わりますし、生徒指導上の問題、いじめ・不登校の問題、新型コロナ対応、様々な領域に関わっております。
 学校の組織の中で言えば、校内研究推進委員会は主として校内研究を進めるための組織ですので、子供たちの力を伸ばしていく、ただそれは各学校で年間研究テーマを設けておりますので、そのテーマに沿って推進していくのが、学校における役割となっているのが実態ですので、学力向上というよりは、授業の改善を図ることが主な目的となっていると思います。


吉田

 県教育委員会から示されたPDCAサイクルの5つの柱の中には、学力向上を推進する中核的な組織として、例、○○市学力向上推進委員会を位置づけるとなっているのです。きちんと学力の部分に特化した組織をつくって、その上で学校及び児童生徒の実態を踏まえた学力向上推進プランを作成し、そしてPDCAサイクルの推進・検証を行うとなっているのです。本市としては、まだそこまで至っていないと思うのですが、この県教育委員会が示した内容をこれから進めていこうという意向はあるのでしょうか。


教育長

 県教育委員会で示しているPDCAサイクルは、もちろん参考とはしております。ただ、必ずしも県教育委員会で示した例に沿って進めなければならないものとは思っておりません。
 PDCAサイクルで校内研究の推進、授業力の向上、学力向上を進めることは、私は一つの手法だと思います。本市以外のところですが、全国学力・学習状況調査のほかに市町村で独自の学力調査を行っている学校もあります。それに標準学力調査も加えて、年間に3つぐらいの学力調査を行っている学校もあります。それぞれにPDCAサイクルを繰り返すということを極端に取り入れてしまうと、年間3つのサイクルで学力向上に取り組んでいくことになります。すると、表現は適切ではないかもしれませんが、それに先生方も子供たちも振り回されてしまうという実情もあると聞いております。
 本市では、全国学力・学習状況調査のほかに、各学校で、中学校では定期考査や実力考査、小学校ではCRTやNRTという標準学力検査をほとんどの学校で実施しています。それらの結果等を踏まえて学校ごとに年間のサイクルを決めて取り組んでいると思いますので、必ずしも宮城県のPDCAサイクルにマッチした形で取り組むのがベストだとは私は思っておりません。


吉田

 私も極端なことを頼んでいるわけではありませんし、また県の言うとおりにすべきということでもありません。やはり本市独自のやり方があると思いますので、絶対これを実施すべきと言っているわけではないのです。ただ、教育振興基本計画などいろいろ見ても、学力に関しての記述があまりにも少な過ぎる。ほかの自治体の同じような教育振興基本計画と比べても、本市が学力向上にどう取り組んでいくかということが全くここから読み取れないのです。それはそれで別に計画をつくるという考えなのかと思ったら、そうでもないということです。では、どのようにしていくのか、改めて非常に疑問に思います。
 次に移ります。具体的な方法について確認していきます。初等中等教育程度の内容であれば、条件さえ整っていれば、一人一人の学力を目的のところまで向上させるのはそれほど難しくないと、私は自分自身の経験から感じています。方法は簡単なのです。つまずいているところまで戻ってあげる。そして、つまずいている学力の穴を埋めてあげる。それを繰り返せば、学力は自然に上がってくる。ただ、その時間や労力、マンパワーなどの条件が整えばです。
 そこで、小項目4 児童生徒の学習上のつまずきに着目し、きめ細かな指導を行うべきと考えますが、教育長の御見解を伺います。


教育長

 児童生徒の学力を一定の水準に引き上げるのは、それほど難しいことではないというお話がありましたが、私は小学校教員の経験から非常に難しいことだと思っております。私も私なりにかなり工夫をしたり、時間も割いて、子供たちに少なくとも最低限このくらいの力はつけさせたいと取り組んだつもりでしたが、結果的に学級の児童全員の学力を一定水準まで引き上げることは、長年の教員生活の中でもできなかったと反省しているところです。
 それも踏まえてお話ししますが、市内の学校では、算数・数学を中心に児童生徒のつまずきを把握し、それに対する指導を工夫して行っております。
 具体的な例として、授業中の課題や宿題、単元テスト等の取組から定着度を把握し、授業時間以外に個別指導を行っている学校や、単元テストや定期考査等で不正解が多い場合には追加の指導を行ったり、定期考査前には教科ごとの学習会を行ったりしている学校もあります。
 今後も児童生徒のつまずきを的確に把握し、確かな学力の向上に努めてまいります。


吉田

 今の学校の教育制度では確かに難しいです。できないです。一人の先生に対して何十人の生徒がいて、時間も限られています。その中で一人一人が持っている本来の力まで引き上げるのは、本当に大変だと思います。だから、やはりどんな分野でも理想はマンツーマンなのです。ただ、それは財源的にもできません。そこで、いろいろ工夫しながら子供たちの学力をどのように引き上げるかということだと思うのです。
 教育長の御答弁では、繰り返しの復習に取り組んでいる学校もあるということだと思うのですが、実際どのようにその時間を取っているのか、またそれを教科担任が行うのか、クラス担任が行うのか。その辺はしっかり計画的に行われているのですか。あるいは問題が見つかったら、その都度対応するという策なのですか。もう少し具体的に伺います。


教育長

 まず、つまずいた子供に力をつけることはもちろん大事なことです。マンツーマンが理想というお話がありましたが、私は学校教育の中でマンツーマンが理想だとは思いません。個別指導が必要なのは当然ですが、集団で学ぶことによって子供たちの思考力、判断力が育つ、集団で生活していくときのルールを学ぶというのも、学校教育の重要な側面です。集団としての素養のほかに、いろいろな意見があって、それを闘わせることによって考えが深まったり広がったりするというのは、授業の中でたくさんあることです。
 ですから、学校教育で必要なのは、やはり一定程度の集団の中で学んでいくことだと思います。ただ、その中で一人一人の力をどう伸ばしていくかというのは課題だろうと思っております。つまずきを補うための具体的な取組は、これは全ての学校で必ず行っています。どのような形で行っているかについては、担当より答弁させます。


学校教育課長

 つまずき解消のために、その子に応じて小テストなり単元テストなり定期テストなり、その結果を受けて個別に対応していくこともありますし、学校によっては期間を設けて学習会を行っている例もあります。また、スキルを高めるためにそういった時間を設定して実施している学校もあると聞いております。


吉田

 私は学校教育を否定しているわけではないのです。私自身も学校教育の現場で働いてきた経験がありますので、難しさはよく理解しています。1年間同じクラスで暮らして、いろいろな課題があって、もっとこうすればよかったと今になって振り返ることがたくさんあります。教育長と同じです。
 ただ、一人一人の子供たちにもっと幸せになってもらうためには、基礎的な学力をきちんとつけて、次の学年に送るということを繰り返さないと、授業が分からないまま次の学年に送られても、授業が分からないのです。だから、分かるようにしてから次の学年に、そして小学校から中学校、中学校から高校へと上げてあげるのが、本来の学校教育の目的ではないですか。違いますか。分からないまま上に上がって、授業中上の空で、家に帰ってゲームすることばかり考えているようでは、その子にとって不幸なのです。だから、きちんと身につけさせて次の学年に上がったときに理解できる、そして学習に対する意欲が上がってくる、これを目指していくのが本来の学校だと思うのですが、その部分はいかがでしょうか。


教育長

 学校で教員が授業をして指導する限り、全ての子供たちに学習内容を理解してほしい、そう思って努力するというのは当然です。それを次の学年にきちんと引き継いでいく。特に算数・数学は積み重ね、積み上げの系統的な学習をしていきますので、前の学年の学習が分からないと当然次の学年の学習にも支障が出てくるということがあります。
 ですから、その学年のうちに学習内容の基礎的なところをきちんと指導するのは、どの教師も心がけていることです。ただ、現実的にそれができているかというと、そうではないという側面は確かにあります。ただ、最初の話に戻りますが、知・徳・体のバランスの取れた児童生徒を育てていく、それから学力を知識理解だけに限らず、もっと幅広く捉えたときに、子供たちの将来学び続けていこうとする意欲とか、主体的に判断する力、行動する力、そういった力も併せて大事にしていかなければならないと思っております。当然、徳育、体育もです。
 ですから、例えば算数・数学でつまずいているのをよしとするということでは決してありませんが、そこは全ての子供に基礎的な力をつけることを目標にしております。現実的にそれができているかとなると、できていないという実態はあると捉えております。ただ、そこだけを過大評価といいますか、そこだけを取り上げて論ずることには少し疑問を感じるところがあります。


吉田

 もちろん生きる力というのは学力だけではありませんので、何度も言っていますが、知・徳・体がバランスよく育っていくことを私も理想とします。ですが、私が言ったようなことは、学習指導要領に載っている主体的・対話的で深い学びというのとは少し違うと思うのです。マンツーマンで教え込むみたいに今捉えていると思うのですが、そうではない。やはり集団でしか学べないこともたくさんあります。だから、集団教育をやめろと言っているのではないのです。ただ、今教育長がおっしゃったように、まだ課題はあるのです。
 この主体的・対話的で深い学びの中に、基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させということが学習指導要領総則に書いてあるのです。確実に今習得できていない子がたくさんいて、そして次の学年に送られてまた分からなくなってしまう。数学は7、5、3と言われていますが、中学校へ行くと3割しか分かる人がいないというぐらい難しくなってくるのです。そして、そこだけが問題ではないと教育長も言いました。確かにいろいろな問題があって、総合的に考えなければいけないのですが、今はこの部分に限って御質問しています。
 これは学校の体制とかいろいろな理由があると思うのですが、なぜこの基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させることが、全ての児童生徒にできていないのか。その理由はどこにあるのか。そのお考えを伺います。


教育長

 要因は様々あると思います。1つには、市教育委員会でも力を入れておりますが、授業力の向上です。教員の指導力、ただ指導力が十分にあれば必ず全員の子供に基礎的な力を身につけさせることができるかというと、それは非常に難しい問題です。ですから、先ほど集団で学ぶこともあると言いましたが、授業の中で先生方が大事にしていることの一つは、集団で議論したり学んだりする場面と、個々人が課題に取り組む場面を、1時間の中にうまく組み合わせて授業を展開することです。一人一人が考えたり、あるいは計算であれば解いたりしたものを全体で共有し、新たに考えを深めていくという授業スタイルを取っておりますので、学校の授業が集団での学習一辺倒ということではないと思います。
 それから、教員が個別指導をするというお話は、私もしましたし、学校教育課長からもありましたが、今の学校の教員の1日の生活を見たときに、一人一人の子供の個別指導を行うような余裕があるかどうかという問題もあろうかと思います。様々な要因があって、全ての子供に基礎的な力を身につけさせることができていないということは、現状としてはあると思います。


吉田

 やはり教員の全体の数が足りないということが、そもそも一番大きな問題だと思います。教員をもっと増やして体制を整えていけば、もう少しきめ細かな教育ができるはずだと思います。ただ、それには財源の問題であったり、あるいはそもそも教師の成り手が今だんだん少なくなってきているということもありますので、ここで民間の活用を検討することが必要ではないかということで、次の質問に移ります。
 ベネッセ教育総合研究所が2017年に行った学校外教育活動に関する調査によると、定期的に塾や学校外の教室へ通っている児童生徒の割合は、小学1年生で40.8%から学年が進むごとに上昇傾向にあり、小学6年生が54.4%、中学3年生が62.1%ということでした。なお、家庭における教材の使用については、小学1年生から中学3年生まで大きな差は見られず、全学年で60%前後という数字でした。
 また、文部科学省の令和3年度子供の学習費調査によりますと、1人当たりの年間の学習塾費の平均は、公立中学校1年生が約15万6,000円、2年生が約20万4,000円、3年生が約39万円でした。これだけの費用をかけても、多くの世帯が子供を塾に行かせている理由は、効果があるからとしか考えられません。そしてまた、同調査からは、世帯収入が高いほど補助学習費の支出が高くなる傾向も読み取ることができます。収入の差が学力の差につながっているということも言えると思います。
 他の自治体では、児童生徒の学力や学習意欲などを伸ばす機会を提供するための学習塾費用の助成制度を設けているケースがあります。本市も民間の活用による学力向上への取組を進めるべきではないでしょうか。
 小項目5 学習塾にかかる費用の助成制度について、効果や課題等を検討すべきと考えますが、教育長の御見解を伺います。


教育長

 正確な実態は把握しておりませんが、市内においても多くの小中学生が学習塾に通っていると捉えております。
 学習塾に行くかどうかは各家庭での判断ですので、今のところ教育委員会として助成制度を創設する考えはありませんが、他自治体の動向等を確認していきたいと考えております。


吉田

 今その実態はきちんと把握できていないということですが、文部科学省では補助学習費という形で、通信教育・家庭教師、学習塾などを利用する児童生徒の割合や成績等を調査しているのです。これらを利用している児童生徒の割合など、本市の実態をつかむことが今後必要ではないかと思います。学習塾に通っている子と通っていない子でどういう差ができているのか、そのような実態調査の必要性はどのように考えているでしょうか。


教育長

 正確な実態は把握していないと申し上げましたが、全国学力・学習状況調査の中に、児童・生徒質問紙という質問項目があります。その中に学習塾の先生や家庭教師の先生に教わっていますか、インターネットを通じて教わっている場合も含むという質問項目があります。これは小学6年生と中学3年生の調査です。小学6年生の全国平均は、教わっていないが54.4%ですので、逆に言うと約45%の子供が何らかの形で塾に行っている。本市の結果も手元にありますが、ほぼ全国と変わらない状況です。
 同じ質問ですが、中学3年生で教わっていないが全国平均で約40%ですので、約6割の子供が学習塾に行っていると言えると思います。また、あるホームページで検索しますと、名取市内には55ぐらい学習塾があるとされております。ですから、かなり多くの子供たちが学習塾に行っているという実態は、一定程度は把握しております。


吉田

 現状を正確に理解することが、次に正しい施策を行うための最低条件だと思うのです。学習塾に行っているか、行っていないかということが成績にどのぐらい反映されているかについては、数値として捉えていますか。


教育長

 学習塾に行ったことと、学力をどこで見るかということも非常に大きな問題ですが、その相関関係について教育委員会で把握しようという考えはありません。


吉田

 そのようなところも調査が必要ではないかと思います。なぜなら、学習塾に行きたくても行けないような収入状況の世帯の子もいますので、どこに生まれてくるかでその子の将来が変わるというのは、私はやはりこの世の中そうであってはいけないと思うのです。
 また、先ほど教員の数のことも申し上げましたが、基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させるためには、教員を増やすという1つ目の方法と、民間を活用するという2つ目の方法があると思います。総合的にどちらのほうが実現の可能性が高いと思われますか。


教育長

 私はどちらが実現性が高いかよりも、今の教育長という立場で強く訴えたいのは、学校に教員をもっと増やしてほしいということです。これは今話題になっている学力向上の問題だけではなく、様々な観点から児童生徒の問題に学校現場がもう少しゆとりを持って対処していくために、教員の数をもっと増やしてほしい。これは私のみならず、全国ほとんどの教育長が思っていることだと思います。
 一方、学習塾については、学習塾と一口に言っても、いわゆる進学塾と補習塾、それらを併せた総合的な学習塾もありますし、一方では専門塾ということで、ピアノやプログラミング、バレエや体操を習うのも、広義では学習塾に含まれているそうです。そのようなところで子供たちがやりたいことをやる、あるいは自分に足りないところを伸ばしていくということは、私はもちろんいいことだとは思います。
 また、議員がお話しされたように、貧困の連鎖という問題は前にも議会の一般質問でお尋ねいただいたこともありますし、これは考えていかなければならない大切な問題だという認識は持っております。


吉田

 教員の数を増やすということには、私も大賛成です。それは明日、別な方が質問されると思います。
 教育長のお考えもよく分かりました。学校で目標とされる教育課程について全て習得できるというのが一番の理想だと思います。やはり学校の教育というのは、国のお金が大量にかかっていますから、きちんと子供たちが必要とされる水準まで学力をつけて、そして次の学年あるいは次の学校に送ってあげることができるように、教育委員会だけではなくて、行政全体が協力して進めていっていただきたいと思っております。
 最後に付け足しますが、学力に関する多くの著書を発表しているある個人塾経営者が、過去にツイッターでこのようなことを発信されていたのを記憶しています。現在、出典が見当たらないので正確ではないことをお断りした上で、紹介いたします。
 学力向上こそが最大の生徒指導であるという言葉です。私のそれまでの経験から、なるほど言い得ているなと思いました。いわゆる問題行動と学力不振の因果関係については、どちらが原因でどちらが結果というのは、これはケースによって異なります。当然問題行動とされるものについても、今後も対処していく必要があります。
 一方で、学力を上げることによって、それがいわゆる問題行動の抑止や改善につながるということも決して少なくないケースで、たくさん見られています。学力向上という目標を、学校と民間との間で共有し、様々な課題を乗り越えて適切に連携することができれば、子供たちが生きる力を身につけて幸せな人生を送ることに、これまで以上に寄与できるものと考えます。
 これからもいろいろな課題がある中で、学力向上の部分にもしっかり目を向けて取り組んでいただきたいと思います。
 では、次の大項目2に移りたいと思います。仙台市との合併構想についてです。
 仙台市との合併については、前市長に対して平成28年2月議会、現在の山田市長に対して平成28年9月議会及び平成30年9月議会で、これまで合計3回の一般質問を行いました。いずれも前向きな答弁ではありませんでした。ただ、今でも私は両市の合併が両市民にとって総合的に有益であることを疑っていません。
 前回取り上げてから5年が経過し、社会情勢も変化していますので、改めて質問させていただきます。
 小項目1 仙台市との合併は過去に断念した経緯があるが、実施された場合のメリットとデメリットは何が考えられるのか、市長にお伺いします。


市長

 総務省がまとめた平成の合併についての報告によれば、市町村合併による一般的なメリットとしては、日常生活圏の広がりに応じたまちづくりや住民サービスの提供、また、適正な職員の配置や公共施設の統廃合などによる、行財政の効率化などが挙げられます。また、デメリットとしては、規模が大きくなることで住民の声が届きにくくなり、周辺部の旧市町村の活力が失われることなどが挙げられており、仙台市との合併のメリット、デメリットについても同様のことが考えられます。
 しかしながら、市町村合併は個別に事情が異なるものであり、合併形態にもよることから、仙台市との合併について確定的に申し上げることは難しいと考えております。


吉田

 総務省の見解と本市の今の考え方を確認しました。本市が仙台市と合併したときの具体的なメリットはいろいろあると思うのですが、その一つは、仙台市地下鉄を名取に延ばす、この構想を議論する土台が整うことではないかと思います。これはそもそも実現の可能性は限りなくゼロに近いことも分かっていますし、仙台市民が要望してもかなわないことが、本市が要望してもかなうわけがありません。ただ、実現可能性を僅かに向上させるとすれば、それは両市の合併ではないかと思います。
 ここで確認です。市長は1回目の市長選挙でこのことを公約に掲げましたが、これはまだ公約として残っているのでしょうか。


市長

 議会でも申し上げておりますし、報道等でも出ていると思いますが、白紙としております。私が市長をしている間の公約では白紙、ただ将来的にまちづくりの中で機が熟せば、条件が整えばそういうことがあってもいいと私は思っております。


吉田

 公約が白紙になったというのは記憶にないので、多分公の場ではこれが初めての御発言ではないかと思います。確かに公共交通政策の基本計画には載っていないので、公約が白紙になったとみなされるのかもしれませんが、分かりました、確認できました。
 それから、もう一つメリットとして考えられるのが、政令指定都市になれるということです。これも住民にとっては大きなメリットだと思われます。都道府県と同じ権限を持つことになりますので、これまで県から補助金等が下りなければできなかったことが、独自に行えるようになり、よりスピーディーに進められます。例えば県道の管理も行えるようになりますので、増田の旧国道4号線の安全対策などが進めやすくなると思います。
 このようなことからも、政令指定都市になることは一つの魅力として捉えられると思うのですが、その辺について市長はどのようにお考えでしょうか。


市長

 今議員が話されたようなことで、メリットもあると思います。当然デメリットも考えられますので、そういったことを総合的に判断していくことと、何より行政としての視点と市民側の視点を両方持っていかなければいけないと思います。


吉田

 私はどちらかというと、市民側の視点で提案しているつもりです。市長もその視点に立てば、もしかすると違うのかもしれませんが、お立場がありますからよく分かります。
 それでは、次に移ります。本市では、令和4年12月定例会で、県南13市町による消防司令業務の共同運用が否決されました。また、先月8月21日には、水道広域化推進プランについて説明されました。これはいずれも宮城県が推進しているものです。広域化は、行政の部分的な合併に等しいとみなせると思います。ただ、それは問題の先送りでしかなく、根本的な解決にはなりません。私は、県が市町村合併まで踏み込んで検討するのが妥当だと考えますが、市長はいかがでしょうか。
 小項目2 県による消防や水道などの広域化推進構想においては、市町村合併の選択肢を排除せず検討されるべきについて、市長の御見解を伺います。


市長

 他市町村と広域連携を図っていくことについては否定するものではありませんが、消防や水道の広域化については考えておりません。
 現時点において、当面は本市独自による持続発展し続けるまちづくりを目指しているところであり、県による消防や水道などの広域化推進については、市町村合併とは切り離して検討してまいりたいと考えております。


吉田

 検討していきたいというのは、本市の立場ですよね。県がそういうものも検討の中に入れたほうが、より市町村としては選択肢というか、考える幅が広がると思うのですが、その点についてはどう思いますか。


市長

 市町村合併というのは合意形成が非常に難しい問題であると思いますし、どこが主体になるかということもありますし、機が熟しているか熟していないか、住民側の望む声の高まりということもあると思います。どこが主導してということもなかなか難しいのかと思いますが、県からそういう話を伺ったことはありませんし、県の考え方を何か推測して述べるようなことは差し控えたいと思います。


吉田

 広域連携の中でも特に一部事務組合については、本市も亘理名取共立衛生処理組合に入っております。これは広域連携の中の一つの形態だと思うのですが、例えば最終処分場の設置場所をどうするかというときに、この一部事務組合だと今回は何々市、次は何々町、次は何々市、次は何々町と、市町村ごとに回していく、押しつけ合っているみたいなことになると思います。でも、市町村合併して1つの市にしてしまえば、その市の中でどこか適地を選んでいくということで、本当の適地が選びやすくなると思うのです。
 そういう意味で、この一部事務組合はやはり弊害があるのではないかと思いますが、弊害が少しでもあるかどうかについて、市長はどのようにお考えでしょうか。


市長

 一部事務組合の構成員の一つとして、なかなか単独で本市の思うとおりに全てが進むわけではないというのは、弊害と言えば弊害、やりづらさということはあるかと思います。
 一方で、仮に市町村が合併しても、やはり旧町村のそれぞれの地域ごとエリアごとの引っ張り合いといったことは残るやに聞いておりますので、合併したから必ず全て市民の心まで一つになるというものでもないのかなと思います。


吉田

 本市がそもそも2町4か村の合併で名取市となったので、やはり地域ごとにそれぞれを大事にしていくのは当然のことです。ただこれはそうではなくて、手続とかいろいろな面で合併をしたほうが進みやすいという部分はあると思うのです。
 もう一つ、広域化のメリットとしては、人事ローテーションの活性化があると思うのです。これは前回、消防・救急救命を担う人材の育成・確保についての一般質問でも指摘しました。岩沼市消防本部が亘理地区行政事務組合消防本部と統合したことで、職員が職場を替えることができるようになったことが一つのメリットと伺っています。本市の場合は、出張所が3つあるので勤務地が変更となることはあるのですが、ただ小さな組織であることには変わりない。
 水道についても考えてみると、管理運営を第三者に委託したその背景として、かつては技術職員が浄水場にずっと何十年も勤務を続けていたという歴史があった。そういう状況を改善するためにも、民間への第三者委託が進んできたと、前に聞いたことがあります。名取市水道は規模としては小さい。ただ、もし仙台市と合併しますと、仙台市水道局は現在5つの勤務先、職場がありますので、やはり人事ローテーションが活性化されて、その結果、職員の資質能力の向上にもつながってくると思われます。
 県が今、広域化構想の対象としている消防と水道に限ってでもいいので、現状維持、それから広域化、または市町村合併、どれが妥当と考えるのか。現場の職員にアンケートを取ってみてはいかがかと思うのですが、どうでしょうか。


市長

 消防については先般の議論の中で様々説明申し上げてきたとおり、単独で運営していくということです。また、水道についても先ほど答弁したとおりですし、ビジョンも示しながら、その計画に基づいて将来にわたって持続可能な水道を本市で運営していく姿勢を示しておりますので、アンケートについては考えておりません。


吉田

 消防司令業務の共同運用という構想のときも、現場の職員の声が聞かれていなかったと聞いています。これからも恐らく県からいろいろな分野で広域化の話が出てくることは、こういう御時世、人口減少、少子高齢化、そしてインフラの劣化、老朽化の中で予想されますので、やはり現場の職員に聞くことは非常に大事ではないかと私は思います。その中の選択肢として、最初から合併を省くというのはやはりおかしいと思うのです。これは地方自治法にも規定があり、市町村として決められるものですから、いろいろな選択肢がほかにもあると思うのですが、どういう形にすれば一番市民サービスを維持して、本市をいい地域にしていけるのか、たくさんの現場の職員の声を幅広く吸い上げていただきたいと思います。
 それでは、最後の質問に移ります。総務省統計局の日本の統計2023によると、令和3年の都道府県別の人口増減率はワースト1位が秋田県でマイナス15.2‰、2位が青森県でマイナス13.5‰、3位が山形県でマイナス12.3‰、4位が長崎県で11.8‰、5位が岩手県と福島県、同じ率でマイナス11.6‰でした。ワースト1位から5位までを東北5県が占めています。宮城県はマイナス5.1‰で、これは全国の数値と同じです。ただ、仙台市を除くとまた数値は変わってくると思います。
 そして、都道府県別の転出入者を見ると、東北6県のうち宮城県を除く5県は1年間にそれぞれ約2,000人から5,000人の転出超過となっています。転入超過は宮城県のみですが、それも1年間で117人でした。転入超過が著しいのが、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の1都3県、いわゆる首都圏ですが、こちらは合計で約8万人の増加でした。
 また、令和4年、仙台市の人口動向によると、仙台市の人口増減は東北6県との間で6,221人の増でした。これは東北6県から仙台市に6,221人来たということです。一方、仙台市から1都3県、首都圏への転出は3,134人でした。
 これらのことから、仙台市が人口のダムとして、東北地方から首都圏への人口流出をある程度食い止めているという事実が分かります。ただ、このまま出生数の減少が続いていけば、首都圏の働き手不足という事態になりますので、東北からますます若い方たちが吸い取られて空洞化していくことが予想されます。
 本市も仙台市都市圏の一部として人口のダムの役割を果たしている、期待されている部分があります。その機能を高めるために、今こそ市町村の壁を取り払い、より魅力と活力ある地域づくりを進めていく必要があると思います。
 そこで、小項目3 本市が、東北の若者の首都圏流出を食い止める人口のダム機能強化を目指す旗振り役となり、県及び仙台市に対し市町村合併を検討するための場の設置を提案すべきと考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。


市長

 本市としては、仙台空港をはじめとした各道路網、鉄軌道など非常に利便性が高いまちであるという特徴を生かし、子育て・教育先進都市に向けた施策を進めながら若い方々の移住・定住を促進しております。
 当面は本市独自による持続発展し続けるまちづくりを目指していきたいと考えておりますので、自主的な市町村合併の検討という形ではなく、仙台都市圏域全体の中でそうした人口流出の受皿となるような機能の一部を果たせればと考えております。


吉田

 その御答弁の中で気になる言葉があるのですが、当面はというのはどのように捉えればよろしいのでしょうか。


市長

 今、第六次長期総合計画に基づいてまちづくりを進めております。その基本的な考え方の中で、20年先を見据えてということで2020年から計画を進めておりますので、仮に当面はということを定義づけるというのであれば、2040年ということになろうかと思います。


吉田

 2040年、この日本はきっと大変なことになっていますよ。
 では、少し別な視点から聞きますが、仮に2040年になる前に国や県から令和の大合併という話が出たら、それでも今の答弁そのまま、本市独自のまちづくりということで、国や県が推進したとしてもそちらには乗らないということですか。


市長

 仮定のお話なので、なかなかお答えしづらいところがありますが、国全体で仮に大きな動きがあるとなれば、それはその状況をしっかりと踏まえて、周りの状況もしっかりと、また市民の考え等も踏まえた上で、計画については修正をすべきところはしていくということになろうかと思います。


吉田

 国が言ったから国に従うとか、県が言ったから県に従う、県がやらないからやらないみたいなのは、これは地方自治ではないと思うのです。やはり地方自治というのは、国あるいは都道府県と市町村は対等な関係ですから、言うべきことは言わなければいけないと思います。
 ただ、それが必要ないというのだったら、それは市長の考えですので、国に対して言ったら何かにらまれるとか、そういう理由でやらないということにはしてほしくない。
 それで、先ほど少し申しましたが、令和の大合併というのは絶対必要だと思っています。少し振り返ると、平成の大合併というのがありました。ただ、これは失敗したと言われています。しかし、それは道半ばだからこそ失敗したと見られるのです。本来、市町村の再編統合の次には、都道府県の再編統合へと進み、また補完性の原理に基づいて、国から地方へ、広域自治体から基礎自治体へと権限を移す中央集権の打破という、百年に一度の統治機構改革を行わなければいけなかったのです。そして、東京一極集中を解消して、地方が財源も権限も中央に縛られずに、地域の特性に応じて独自に地域づくりを行える仕組みを再構築しなければいけない。
 これは最近は聞かれなくなったのですが、道州制と呼ばれる構想なのです。令和元年度の県民経済計算によると、東北6県の名目県内総生産の合計は約35兆円でした。東北6県という枠組みを、今仮に考えてみます。当時の為替レートで約3,220億ドルということになります。この額は、ベトナム、コロンビア、パキスタン、あるいはエジプトといった中規模の国の国全体の国内総生産に等しい。東北6県は国家として存立できるほどの経済規模を持っているのです。
 しかし、今の体制だと東京に行かなければ手に入らないものがいっぱいあります。そもそも権限が東京に握られているから、持てる力を十分に発揮できない。企業の本社機能はほとんど東京にあります。音楽大学も東北にはないのです。東京に勉強しに行かなければいけないのです。ほかにもいっぱいあります。
 これは道州制の意向が実現しなかったため、その後も東京都市圏、首都圏の肥大化がますます進んで、人口のブラックホールと化して、どの地域に生まれるか、東京なのか、それとも地方なのか、もうそれで人生の格差が決まってしまうという大変残念な状況に、今日本はなってしまっているのです。これは2030年頃がタイムリミットだと言われています。それまでに一極集中から多極集中へと国の形を転換しなければ、その後は何をしても貧しくなるという流れは止められなくなります。AIがそういう未来予想をしています。
 ただ、悲観的になりがちな状況ですが、私は逆に今、東北から日本を変えていくチャンスだと思っています。仙台名取合併構想は、道州制議論を再燃させる導火線だと思っています。また、このたび全国知事会の会長に就任した村井知事は、道州制推進知事・指定都市市長連合の共同代表を務めておられ、中央に対して非常に強い発言力を持っています。
 私は山田市長に提案があります。村井知事と直接お話しできる次の機会に、今道州制について知事がどう考えているのか聞き出してほしいと思うのですが、実行していただけますか。


議長

 吉田議員に申し上げますが、通告の中に道州制という言葉は出てきておりませんので、その質問はまた別の機会にお願いしたいと思います。


吉田

 いや、そうではなくて、県とか仙台市はやはり大きいのです。政令指定都市である仙台市の郡市長、県知事の村井知事、この方たちと連携していく上で、ただ単に市町村合併単独ではない、その先に道州制がある、これはもう国のほうから、第一次安倍内閣のときに示されていることなのです。だから、村井知事の今の意向を聞くというのは別に何も不自然なことではないと思います。もし何も考えていないというなら、それで結構ですし、まだ今でも何か思いがあるのだったらそれを聞き出してほしいと思います。市長、いかがでしょうか。


市長

 私が知事に対して道州制についてどう考えるか聞くというのは、ここで確約できるような内容ではないと思っております。


吉田

 では、最後にお聞きしたいのですが、富谷市の令和5年2月に開催された総合交通検討委員会で、地下鉄整備の事業化検討調査の概要が示され、事業費354億円から451億円を見込むということが明らかになりました。
 これは富谷市単独で行える規模ではなくて、第三セクターとかPFIが想定されますが、検討ルートの大部分が仙台市域にあるということで、いずれにしても仙台市との協力がなければ進められないと思います。もし地下鉄にこだわるのであれば、富谷市と仙台市が合併するというのが一番の近道なのです。
 富谷市長が仮に、今基本合意が難航している4病院再編の件、そういう段階で村井知事と仙台市長も一緒になるテーブルを設けて、水面下で仙台富谷合併構想を提案したとします。令和2年の国勢調査によると、泉区は仙台市5区の中で人口が減っていますので、富谷市と合併するというのはそんなに悪い話ではなさそうなのです。そして、病院の統合再編なども富谷市のほうで水面下で話が進められる。新駅を設置しようとしているところは明石台ですが、そこは病院の計画地になっています。もう精神医療センターは除いて、当初の3つの病院で合意することになったら、そしてまた仙台市と合併するという前提であれば、仙台市民の反対されている方たちの気持ちも和らぎますので、可能性は高まると思うのです。地下鉄も病院も富谷市に持っていかれる可能性が、私は少しはあるかと思うのですが、そうならないためにこちらから先手を打つということは考えられないでしょうか。


議長

 吉田議員に申し上げます。質問の意図が読めないのですが、あくまでも通告は合併を検討する場の設置の提案ですので、そこから外れるような質問は避けていただきたいと思います。


吉田

 富谷市と競争するわけではないのですが、いろいろないい条件を持ってくるために、やはり先に言い出したほうがいいと思うのです。真っ先にこれを市長から、もう決断してもらいたい。改めてお考えを伺います。


市長

 先ほど東北全体というお話がありましたが、今、政令指定都市の中で福岡市の人口が非常に伸びています。ここ50年で人口が70万人増えているということがあって、160万人を超えているそうです。それは九州、沖縄のほかの県では出生率も非常に高い中で、福岡県そのものでは出生率はそんなに高くないのですが、そのダム機能として、ほかの九州、沖縄の若い方々が福岡市に集まってきているという現状があります。恐らくそういうことも踏まえて仙台市長がライバル宣言をされたと思うのですが、残念ながら東北のほかの各県は出生率がそんなに高いわけではありません。仙台市並びにその圏域が東北の受皿として、ダム機能を果たすといったような、そういった大きな話については私はあるべきかなと思っています。
 ただ、合併ということになると、例えば協議会のような場を設置するにしても、可能性レベルではなく、例えば目標となるゴールやそこに至る道筋を、少なくともせいぜい5年以内ぐらいの話を話し合うということでなければ、ほかに優先すべき業務もある中で、なかなかそういう場を設けるということ自体も難しいかなと思います。何よりその中心になるべき、主体となるべき仙台市からそういったお話がまだ一切来ていないということもありますので、何かの折に話題提供はあるかもしれませんが、まだ具体について公の場で話をできるような内容ではないと思っております。


吉田

 分かりました。
 以上で私の一般質問を終わります。


本会議

(議案第71号 令和5年度名取市一般会計補正予算)

吉田

 8、9ページ、16款2項1目総務費県補助金5節国際化推進事業費、東京2020大会レガシー継承支援事業費で、2分の1の補助ということです。これが歳出のほうで見当たらないので、どのような内容で、この金額の算定が何を根拠にされているのかについてお伺いいたします。


なとりの魅力創生課長

 こちらについては、以前から交流があるカナダのスーク市と、現在オンラインによって交流をしています。そちらの経費について、当初一般財源で見込んでいましたが、今回こちらの補助金で対応できるということなので、宮城県に補助申請をさせていただき、交付決定を受けましたので、今回補正させていただくものです。
 なお、この後、歳出の14、15ページ、2款1項14目ふるさと振興費において財源更正として計上しています。こちらについては、実際オンラインでつなぐ際、外国につなぐ形になるので、そういった機材とか、また、回線も1回線だけではなくて通信の状況等を考えながら複数の回線をつないだりとか、あと通訳の方の費用なども見込んで予算を要求させていただいております。その経費の2分の1について補助対象となるということになっています。


吉田

 カナダはオリンピックの復興ありがとうホストタウンの相手国で、今、財源更正ということでこの金額だと思いますが、もう少しいろいろなことに認められなかったのですか。通信の部分だけではなくて、もっといろいろとお金がかかっていると思いますが、この部分以外には充てられなかったのですか。


なとりの魅力創生課長

 今こちらの対象となっているのが、先ほど説明しました通訳の費用であったり、あと機材のセッティング、映像・音響機器、文字起こしなども対象になっていますので、そちらを充当して有効に使わせていただきたいと思っています。


吉田

 14、15ページ、2款1項1目一般管理費18節負担金補助及び交付金の宮城県市長会特別負担金、こちらの内容についてお伺いいたします。


政策企画課長

 こちらは宮城県市長会において台湾訪問を予定しており、その負担金となります。本市から市長及び随行員1名の2名の参加を予定しており、参加者1人当たり25万円の負担金となりまして、2名分、50万円を補正するものです。


吉田

 もう少し詳しく聞きたかったのですが、市長会ということで、各市から2人ずつというのが統一されているのか分かりませんが、25万円という金額、これはやはりこういう御時世ですので、それなりの効果をしっかりと得て帰ってきてもらいたいということがあると思います。海外に視察に行ってエッフェル塔の前で写真を撮って国民の批判を浴びたという話もありました。ただ、行ったことによってこういう成果がありましたときちんと示すことが私は大事だと思います。そういう意味で、これはどういう効果を見込んで行くのか。もちろん市長会全体としての効果もあると思いますが、そこに参加する名取市としてはどういう効果を見込んで行くのか。そして、それをどのように市民に対して示していくのか。そこの考え方をお伺いいたします。


政策企画課長

 まず、内容ですが、12月7日から4日間の日程で、台湾・台北市に行く予定となっています。市長と随行員1名という形で参加しますが、今のところ12市が参加を表明しているところです。
 今回の訪問については、一般社団法人東北観光推進機構主催の東北PRイベントである日本東北遊楽日2023が台湾で開催されることに併せて、台湾からの誘客、台湾での県内特産品の販売等、観光経済交流の早期回復とさらなる拡大について関係機関に働きかけを行うという内容となっています。
 効果については、今回の訪問によってすぐに旅行者が何人増加するというところはなかなかはかることはできませんが、あちらでPRイベントのほかに、日本との窓口となっている台湾日本関係協会、また、台湾の観光業務を取り仕切る機関となっている台湾交通部観光局への訪問なども予定していますので、仙台空港が所在する本市を直接PRできるよい機会になるのではないかと期待をしているところです。
 効果をどのように市民の皆さんにお知らせをしていくかについては、今後検討していきたいと思います。今の時点で、どういったことと考えているものはありません。


吉田

 18、19ページ、4款2項3目ごみ処理費7節報償費、(仮称)最終処分場用地選定委員会委員謝礼ですが、先ほどの御答弁で委員は5名ということでした。市内全域から絞り込んでいくためには、その5名の方たちの中だけで十分に検討ができるのかどうか、少し疑問があります。例えば消防力適正配置等調査などの際にも、コンサルに委託して幾つか候補地を挙げてもらってという手順を取っていたと思います。この5名でそこまで絞り込んで、それを亘理名取共立衛生処理組合に報告するという形になると、そのような詳しい調査ができないのではないかと思いますが、そのあたりはどのようにお考えなのでしょうか。


クリーン対策課長

 まずは5名で図上の資料に基づいて検討していただきます。それで最終的には2か所か3か所に絞っていただき、その2か所か3か所について亘理名取共立衛生処理組合で詳細調査をかけて、その結果を市に報告いただいて、さらに選定委員会で検討していただくという形にしたいと思っています。


吉田

 難しいのは、やはり周辺の住民の方たちの考え方があって、もちろん受入れを認めるという方もいれば、受け入れられないという方もいて、いろいろな考えの方がいらっしゃると思います。図上での検討というのは、あくまでも法制とか、あるいは物理的な部分だと思いますが、せっかくそこで決めても、最終的に住民の方からうちは無理だとなれば、それまでの検討の過程が皆無駄になってしまうわけですので、どこの段階で住民の方々の意向を調査していくという流れを考えていらっしゃるのでしょうか。


クリーン対策課長

 節目節目で、住民説明会により広く周知をしながら進めていきたいと考えています。それで、ある程度の箇所数に絞られた段階では、地元の意向、地権者の意向を確認する必要があるとは考えています。


吉田

 20、21ページ、また、その次のページにわたって、8款7項1目復興まちづくり事業費の防災集団移転促進事業跡地整備事業ということで裁判の訴訟関係の手数料、委託料が載っていて、訴状等翻訳委託料とありますが、何語の翻訳なのでしょうか。


都市開発課長

 翻訳については、訴訟の相手方がブラジル在住ということで、ブラジルポルトガル語への翻訳ということです。


吉田

 それは、土地の所有者がブラジルの方で、その方の土地の今後の扱いについての訴訟ということでよろしいですか。


都市開発課長

 訴訟については、令和4年、土地所有者が相続未了ということで、3名の方を相手方に共有物分割請求訴訟を起こしていますが、その3名のうちの1名の方が死亡されて新たに相続人が5名発生したということで、訴状の訂正等に係る翻訳等の手続に必要な経費ということです。


財務常任委員会

(議案第65号 令和4年度名取市歳入歳出決算の認定)

吉田

 7、8ページ、1款2項1目固定資産税で伺います。地方税法第348条第2項第9号に基づいて課税免除されている学校法人は、市内で何件あって、どこにあるのか伺います。


税務課長

 法人数は7件で、学校法人が所有している場所は市内で54筆です。市内各所に所在していると捉えております。


吉田

 思ったよりも多い数字だという感想です。令和4年度に新規で課税免除してほしいという申請があったかどうか、またそのような申請を受け付けているかどうかも含めて伺います。
 それから、継続で課税免除されている場合に、年度ごとにその施設が教育の用に供されていることを示すための計画や報告を市で確認を取っているのかどうか、その現状を伺います。


税務課長

 令和4年度は非課税の申請は受けておりません。該当者があれば申請をいただく形になります。
 申請後、確認しているかということですが、建物が存在しておりますし、特段追加の資料や継続の資料の提出は求めていないところです。


吉田

 9、10ページ、1款4項1目市町村たばこ税ですが、令和4年度はどのような税率だったのでしょうか。


税務課長

 令和4年度の市町村たばこ税は、1,000本当たり6,552円で変更はありませんでした。


吉田

 それでは、実際の売渡し本数について伺います。令和3年度と比較して、増減の割合も捉えていればお願いします。


税務課長

 令和4年度の調定状況ですが、本数で9,181万3,415本、税額で6億156万1,489円です。増減ですが、本数で232万2,668本、税額で3,875万5,276円の増となります。


吉田

 17、18ページ、9款1項2目自動車取得税交付金で伺います。令和2年度に一度皆減となって、今回またこの金額になっているのですが、この経緯はどのようなことだったのか伺います。


財政課長

 自動車取得税交付金は、令和元年10月に廃止されたところですが、今回の交付金はその後、令和4年3月及び9月に行政処分が行われて納税不足額として追加徴収された事案がありました。その関係で、従前の項に倣って自動車取得税交付金として交付されているという状況です。


吉田

 そうすると、これは市町村に対する交付金ということですか。それとも県から回ってくるのですか。なぜこの金額になったのか、その算定の根拠がもしあれば、そこも伺います。


財政課長

 自動車取得税交付金は、まず税目としては県税です。県の税目なので、県で収入した後に、交付金として県内の市町村の市町村道の延長、面積等で案分して交付されている状況です。今回交付金の元となっている総額に基づいて、先ほど申し上げた市町村の道路面積、延長で案分されて交付されてきますので、詳細の内容についてはこちらでは捉えていないところです。


吉田

 21、22ページ、14款1項2目衛生使用料の環境衛生使用料で、補足説明で愛玩動物納骨堂利用件数32件という説明がありました。こちらの市内、市外の内訳を伺います。


クリーン対策課長

 市内は31件、市外は1件、合計32件となっております。


吉田

 こういうものはほかの市でどの程度整備が進んでいるかよく分からないのですが、市外に対して本市ではこういうものがありますという取組は、令和4年度行った実績はあるのでしょうか。


クリーン対策課長

 愛玩動物納骨堂が整備できたということで、岩沼動物病院関係にチラシ等は配布しております。


吉田

 23、24ページ、14款2項1目総務手数料の2節税務手数料で伺います。補足説明で市税の督促手数料1万4,059件とあります。これは過去の会議録で調べたところ、納期限から20日以上経過した際に100円上乗せされる手数料とありましたが、今もそのまま続いているのでしょうか。


税務課長

 督促手数料については条例で定めておりまして、現在でも納期限20日を超えますと100円の督促手数料を頂いている状況です。


吉田

 これは処理の仕方が分からないのですが、収入未済額がゼロになっています。本来であれば、督促手数料を請求していて、滞納された分が納付されればその分がここに計上されてくると思うのですが、それ以降も滞納された分まだ100円払わなければいけないという債務が残っていると思うのですが、この収入未済額のところに数字として計上していないのはどういう考え方でしょうか。


税務課長

 吉田委員の税務手数料の督促手数料についての質疑ですが、督促手数料は納税者より納付された入金額をもって調定を計上する事後調定という会計処理をしていることから、調定額イコール収入済額という処理を行っているところです。


吉田

 23、24ページ、14款2項1目総務手数料3節条例手数料です。令和4年度のコンビニ交付の割合を伺います。


市民課長

 令和4年度のコンビニ交付の割合ですが、コンビニ交付が可能な住民票、戸籍、印鑑証明、戸籍の附票の数で比較した場合、20.88%となっています。件数で言うと1万4,810件となります。


吉田

 令和3年度が12.9%ですから、やはり大きく伸びています。全体の5分の1程度がコンビニでの交付ということで、窓口の業務がその分軽減されているのかなと思います。コンビニでの導入の状況については捉えていますか。コンビニ交付ができる場所もどんどん拡充されているのかどうか、情報があればお知らせください。


市民課長

 コンビニ交付は全国のコンビニエンスストアで取れるようになります。店舗の数は今押さえていませんが、市内には約30軒のコンビニがあると思います。それらのコンビニエンスストアと、近くのイオンショッピングセンター、市役所の庁舎内で交付が可能です。


吉田

 49、50ページ、18款1項1目一般寄附金で伺います。補足説明によりますと、企業版の寄附金がふるさと納税354万1,000円ということでした。6月定例会の私の一般質問で、令和4年度の総額が441万8,700円という答弁が市長からあったのですが、なぜ数字が違うのでしょうか。


財政課長

 企業版ふるさと納税というくくりで算定しますと440万円になるのですが、積立ての部分も含めて仕分けをしたときに、こどもファンド寄附金という内訳で、こどもまちづくり基金に積立てをする分が85万9,000円入っております。440万円から85万9,000円を除いた部分が、先ほどの354万何がしの金額になっております。


吉田

 こどもファンド寄附金のことは、また別になっていますね。こどもファンド寄附金として119万7,000円があります。せっかく内訳を出しても非常に分かりづらいのですが、もう少し理解しやすいように区分することはできないでしょうか。


財政課長

 先ほどの85万9,000円が含まれて119万7,529円というのが、こどもファンド寄附金の部分になっております。掲載の仕方として、どちらかに含まれているというくくりで違う数字となっている部分については、今後改めていきたいと思っております。


吉田

 61、62ページ、21款5項2目雑入13節返還金です。補足説明では、収入未済額で生活保護返還金が99件分あるということでした。この返還の根拠となるのは生活保護法の第63条及び第78条ですが、この条文の内容を短くまとめてお知らせください。また、その内訳について伺います。


社会福祉課長

 まず、第78条は収入を故意に隠したり、収入申告をするように指導しても従わなかったものです。第63条は、例えば交通事故に遭って相手方から後で保険金が入ったとか、何らかの手違いで一旦年金が止まっていて後からまとめて入ったなど、悪質ではないものが第63条になります。  内訳としては、令和4年度分としては、現年度分として第63条は17件、第78条は2件、合わせて19件となっております。


吉田

 悪質なケースは少ないということで、現年課税分と数字が違う分の残りは過年度分となるのですね。現年課税分でお聞きしますが、悪質にもいろいろなケースがあると思いますが、収入未済額として扱っていますが、不納欠損額も8件あります。この8件にも悪質な事例、第78条に係る部分はあるのですか。


社会福祉課長

 現年度分に関して言えば、不納欠損額はないのですが、過年度分の第78条、悪質な部分について不納欠損額は83万1,300円となっております。件数は2件です。


財務常任委員会第3分科会

(議案第65号 令和4年度名取市歳入歳出決算の認定)

吉田

 市政の成果146ページ、事務局費の教育委員会学校事務の2 報償費、生徒指導問題対策委員会委員謝礼です。令和3年度は2回の開催でしたが、金額も動いていますので、まず令和4年度の開催実績についてお伺いいたします。


学校教育課指導主事

 生徒指導問題対策委員会の令和4年度の開催回数は4回でした。


吉田

 主にどのようなことが重要な課題として協議されたのか、要点をお伺いいたします。


学校教育課指導主事

 本市の喫緊の課題である不登校及びいじめなどの生徒指導上の諸問題に有効に対処するための話合いを行っております。


吉田

 市政の成果146ページ、事務局費の教育委員会学校事務の2 報償費、先ほどの生徒指導問題対策委員会についてです。令和3年度も不登校、いじめの課題について協議してきたということですが、やはり新しい問題が発生していると思いますので、令和4年度はどこに重点を置いたのか、もう少し詳しく聞きたいと思います。まず、不登校児童生徒数について、例えば不登校発生率という形で他の自治体と比較できるデータはあるのでしょうか。


学校教育課指導主事

 生徒指導問題対策委員会については、先ほど具体的な内容として、本市の喫緊の課題である不登校といじめなど生徒指導上の諸問題について協議しているとお答えしました。令和4年度は4回実施しており、1回目が不登校、2回目がいじめについて実際の事例を基に協議しました。そして、3回目がいじめ、4回目が不登校について、拡大委員として各学校の生徒指導担当の先生方もお呼びし、分科会等を開いて協議を行い、指導に生かしております。
 不登校率については、小学校が2.57%、中学校が6.87%で、他市町村との比較ということでは把握していないのですが、宮城県の平均値より高い状況になっていると思います。


吉田

 個々の児童生徒の実情などいろいろとあるので、県の平均と比較してどうかということではないと思うのですが、やはり数値としては気になるかと思います。生徒指導問題対策委員会で不登校といじめについてそれぞれ2回ずつ話し合ったという説明でしたが、不登校に限ってお伺いします。今は学校に通わせることを必ずしも是とはしない方針が示されているようで、その観点を含めた令和4年度の大きな流れというか方針についてお伺いいたします。


学校教育課長

 令和4年度の不登校支援の方針、取組についてお答えします。学校では、担任を中心に子供の小さな変化を見逃さないように努めており、何か気づけば子供に寄り添って対応しています。その上でどうしても学校に足が向かない場合には、担任だけではなく学校の組織として役割を分担し、家庭も含め関わるようにしています。それでも学校に足が向かないという場合、登校できても教室に入れない児童生徒に対しては専任教員がつく学び支援教室など別室登校、あるいはどうしても家から学校に足が向かない場合にははなもも教室と、子供の状況に合わせた対応をスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーをはじめ関係機関などと連携して組織としていろいろな方に関わっていただきながら対応を進めているところです。


吉田

 市政の成果147ページ、事務局費のスクールソーシャルワーカー活用事業でお伺いいたします。スクールソーシャルワーカー2名で、令和4年度も令和3年度同様、1人当たりの勤務時間は500時間で変化がないと理解してよろしいでしょうか。


学校教育課長補佐

 令和4年度のスクールソーシャルワーカーの1人当たりの勤務時間については、令和3年度と変わりなく500時間となっております。


吉田

 令和4年度の審査で相談件数を答弁いただいていたので、相談件数もお聞きします。
 あわせて、恐らく件数も増加しているのではないかと想像しているのですが、増えていなくても、令和3年度では441件とかなり多い件数で、この500時間という限られた勤務時間の中でその多くの相談にしっかりと対応できているのか、令和4年度の実績をお伺いいたします。


学校教育課指導主事

 令和4年度のスクールソーシャルワーカーの相談件数については、総数は2,507件、そのうち継続支援となった件数が545件でした。継続支援となった545件の内容については、最も多いのが家庭環境に関するもの145件、2番目が不登校に関するもの118件、3番目が心身の健康、保健に関するもの102件で、そのうち解決した件数が62件、好転した件数が201件です。


吉田

 市政の成果147ページ、事務局費のスクールソーシャルワーカー活用事業で、先ほど相談内容についての御説明で不登校や家庭環境の問題とありました。令和3年度決算審査の御答弁で不登校に関する相談にはスクールカウンセラーが対応しているということですが、相談内容による割り当てに変更があったのかどうか伺います。
 もう一つ確認ですが、スクールソーシャルワーカー2名とは、1校当たり2名ということで全校に配置されるのか、それとも全体で2名なのでしょうか。


学校教育課指導主事

 スクールソーシャルワーカーは全体で2名です。
 分担としては、児童生徒本人に関わるものについては主にスクールカウンセラーが対応し、保護者や関係機関などが関わる案件については主にスクールソーシャルワーカーと、大体のすみ分けができているかと思います。


吉田

 そうすると、先ほどの話に戻るのですが、相談の件数は継続も含めてかなり増えている実情で、1人当たりの勤務時間は変わらないのであれば、令和4年度、この2名の体制で十分に対応できたかどうか、人員配置の課題などについてどのように捉えたのかお伺いいたします。


学校教育課指導主事

 毎月、教育委員会の担当の私とスクールソーシャルワーカーとで打合せ会を行っており、そこで相談内容について情報交換等を行って十分対応できていると認識しております。


吉田

 市政の成果146ページ、事務局費でお聞きします。令和4年度から小中義務教育学校が2学期制に移行して、初めての年度ということでどのような点に留意して進めてきたのか、重点的に取り組んだ内容についてお伺いします。


学校教育課長

 2学期制で大分大きいメリットがあったと各校から取組の報告が上がってきています。今まで7月や12月は成績をまとめる時期で、授業や行事がなかなか通常どおり持てない状況でしたが、評価の時期が10月と3月となったことで、7月や12月も通常の授業、また大きい行事を行うことができ、より長い期間を一つの流れとして学習活動、教育活動に当たれるというメリットがとても大きかったと聞いています。
 一方でデメリットも想定され、成績を家庭に伝えるのが3回から2回に減ってしまうことを心配していましたが、各校において、面談をしっかりと行い、その際により詳しくお子さんの状況を伝えるなど取り組んでクリアできたと聞いております。


吉田

 私も教員として勤めていたとき、2学期制のほうがずっとやりやすいと感じていました。効果が大きいと御紹介がありましたが、現場で教えている先生方はもちろんとして、児童生徒の側にとってどのようなメリットがあったのか、令和4年度で何か感じたことがあったらお伺いいたします。


学校教育課長

 そのあたりも調査を行った結果、先ほどの繰り返しになりますが、7月、12月も通常どおりの学習活動、教育活動を行えるために、児童生徒にとっても、長期的な計画をもってしっかりと学べる、そして大きな行事に向かって取り組むといったメリットがあったと聞いております。


吉田

 市政の成果149ページ、生涯学習推進費の生涯学習推進事業、1 生涯学習推進体制の充実の(1)なとりまなびフェスティバルの開催についてです。令和3年度分と令和4年度分を前期と後期の2回に分けての開催ということで、私も行ったのですが、講師と講演の演題について確認させていただきたいと思います。


生涯学習課生涯学習・青少年係長

 令和3年度で地震の影響により中止となった分を令和4年9月に前編として開催し、講師の辻井いつ子様から「子どもの才能を伸ばす子育て法〜子どもの才能の見つけ方、伸ばし方〜」をテーマに講演をいただきました。また、通常開催として実施した令和5年3月の後編では、講師を佐藤弘道氏にお願いし「子どもたちのために〜10年先の健康と今日からの運動〜」と題して講演をいただきました。


吉田

 生涯学習は非常に広い分野にわたり、極端なことを言うと何でも生涯学習と言えるのかもしれません。そのような中で、内容に対して何か意見があるわけではないのですが、何を一番重点として講演の内容を決めているのか。庁内でいろいろと検討されると思いますが、どのようなコンセプトで決めたのか、令和4年度の内容をお伺いいたします。


生涯学習課生涯学習・青少年係長

 なとりまなびフェスティバルの講演会の講師の選定に当たっては、生涯学習の推進のための講演ですが、例えば文化・スポーツあるいは食生活など、幅広いジャンルの中からまずは当課で何名かピックアップし、さらに部内での審議を経て選定したものについて二役へ上げて決定したという経緯です。


吉田

 市政の成果152ページ、学校管理費(小学校)の小学校運営事務、1 報酬の(1)児童健康診断医師等報酬で伺います。子供たちの定期的な健康診断ということで、令和4年度も決算審査で質疑し、やむを得ず不登校の児童の受診状況については各学校で把握しているのではないかという御答弁だったと記憶しています。その子たちが本来受けられる枠の中で不登校で受けられない場合は、恐らく各家庭のかかりつけ医で受けるケースなどがあると思いますが、不登校児童が本当に健康診断を受けているかどうか、その把握の状況はどうなっているのでしょうか。


学校教育課保健給食係長

 小学校の未受診の児童は、内科で86名、歯科で97名でした。未受診の理由について、不登校か、もしくは当日に疾病等により欠席したのかというところまでは把握しておりません。
 学校においてどういった対応を行っているか確認したところ、例えば校医の先生の御厚意によって長期の休みの期間に受診したり、健診日が複数日あるときには最終日に受けてもらうといった対応がなされているとのことでした。


吉田

 実際に受けていない児童がいて、その対応はなされているということで、まずはその取組を評価したいと思います。
 一方、不登校が原因かどうか把握していないということです。内科と歯科とありましたが、放置しておくとその後の長い人生に影響を及ぼすこともあります。必ず健診が受けられるようにもう一歩踏み込んで対応してもらいたいのですが、令和4年度の取組の中で、答弁いただいた受けられなかった子の人数について教育委員会としてはどのように評価されるのでしょうか。


学校教育課長

 委員御指摘のとおり生涯にわたって健康を守る上で健康診断は欠かせないわけですが、どうしても学校に足が向かない、家からなかなか出かけられない状況のお子さんもいます。学校としては、その子の現状に合わせて家庭にどう働きかけたらいいのか、いろいろと工夫しているところで、状況に合わせた丁寧な取組を今後も継続していきたいと思っております。


吉田

 市政の成果157ページ、学校管理費(中学校)の中学校通学支援事業です。義務教育学校も同様ですが、スクールバス運行委託料(みどり台中学校)について、契約変更となり、金額がかなり増額になっていますが、契約の変更点についてお伺いいたします。


教育総務課教育総務係長

 登校時の大型バスについて、令和3年度の3台から令和4年度は4台に1台増加しました。下校時は、令和3年度は大型バス3台で2回運行としていたのを、令和4年度は運行回数を1回増やして3回とし、その中の1回目について大型バスを1台増やして4台、新たに増やした3回目は大型バス3台で運行しています。また、長期休業中の部活動の送迎については、令和3年度は登下校とも大型バス1台でしたが、令和4年度は登下校とも大型バス2台に増やしています。バスの台数の増加については、学校からの要望を聞き、打合せを行って決めており、登校、下校、部活動の送迎でそれぞれ台数を増やしたことが委託料の増額の要因です。


吉田

 かなり大きな変更かと思います。児童生徒の乗るタイミング、待ち時間などについて学校でしっかりと指導していると思うのですが、注意点というか、特に配慮した部分があればお伺いいたします。


教育総務課教育総務係長

 登校時の出発時間等については学校からの要望によって、また下校時は季節によっても時間を変更しており、その辺は適宜対応しております。


吉田

 市政の成果165ページ、社会教育総務費の成人式(二十歳を祝う会)開催事業についてです。令和4年度から二十歳になった方が実行委員として加わる形に変わりました。実行委員はどのような方法で選ばれて、どのような役割を担うのか、それらを含めた詳しい内容をお伺いします。


生涯学習課生涯学習・青少年係長

 令和4年度から民法改正によって成年年齢が18歳に引き下げられ、成人式の名称を変更するとともに、今回、二十歳の方を対象とした実行委員会形式で初めて実施しました。
 実行委員の選定に当たっては、まず各中学校から情報提供をいただき、中学校3年生当時の生徒会役員等に参加の呼びかけを行うとともに、市のホームページなどで広く募集した結果、8名の方から応募がありました。実行委員会については、実行委員の都合を調整しながら平日の夜や土日の日中などに開催し、計7回、延べ33名の参加をいただきました。
 役割に関しては、式典の一部、アトラクションの企画、運営を担っていただきました。アトラクションについては、思い出のスライドショー、なとりふるさとクイズ、二十歳おめでとう抽選会の3つを企画していただいて、当日運営を担っていただきました。


吉田

 当事者が運営に参加するのは大変望ましいことであり、その形式に踏み切ったのは大きな変化として評価したいと思います。
 そのことによって、実行委員ではない、一般の二十歳になった方々の評価はどのように受け止めているのでしょうか。


生涯学習課生涯学習・青少年係長

 評価については把握が難しいところはあるのですが、実行委員から委員でない方々に声がけを行っていただきました。例えばスライドショー作成に当たって、御友人などに対して小中学校当時の写真の提供を呼びかけて、自分が提供した写真が当日スライドで映されることもあり、通常より参加者が多くなったかと捉えているところです。
 実行委員会形式で初めて行いましたが、対象となる二十歳の方以外に、保護者から評判がよかったという声はいただいております。


吉田

 市政の成果167ページ、社会教育振興費の学校・家庭・地域連携協力推進事業、1 家庭教育推進事業でお伺いします。これは子育てサポーター養成講座ということで、5回の開催、延べ43名参加という説明でしたが、参加できる要件について伺います。


生涯学習課生涯学習・青少年係長

 特に制限等は設けておりません。


吉田

 この43名は、講座を受けたことによって、資格が得られたり、あるいは今後地域の活動の中で支援のお手伝いなどの形で参加できるのか、受講後どのようにつながっていくのか知りたいのですが、そのあたり令和4年度はどのように取り組んだのでしょうか。


生涯学習課生涯学習・青少年係長

 講座を修了したら修了証を発行し、その後の取組については、家庭教育支援チーム「toco toco(トコトコ)」に参加していただけるよう御案内しており、受講生のうち6名に関しては、受講後に家庭教育支援チームに加入し、現在も家庭教育支援チームの事業の中で取り組んでいただいています。


吉田

 市政の成果168ページ、図書館費の全体でお伺いします。令和4年度では、貸出数のうちの何点が返却の義務が果たされず返ってこなかったかお伺いいたします。


図書館長

 基本的に、本やDVDを壊した場合はほとんどの利用者が申し出ていただいております。また、ブックポストに返却されたものなどは、中身をチェックし、破損などがあれば利用者に確認を取っています。どうしても修復できない場合は、利用者に現物で弁償していただいていますので、御質疑の返却されない点数はゼロという捉え方でいいのではないかと思います。


吉田

 借りるほうも貸すほうも安心して利用できるということで、大変すばらしいと思います。
 それに関して、ICタグシステムは令和4年度が初年度ではなくもう少し前から導入したのですが、成果について捉えているのかお伺いいたします。


図書館長

 ICタグは盗難防止として貸出処理がされていない場合はゲートでブザーが鳴る仕組みですが、100%ではなく、残念ながら年間で平均16冊ほど不明本となっています。一方で、旧図書館における不明本の状況については、調べたところ、平均で年間90冊ほどと記録を確認できております。


吉田

 市政の成果177ページの学校給食費で、アレルギー対応食については今説明がありましたが、令和4年度に通常の給食の内容で大きく変更した点をお伺いいたします。


学校給食センター所長

 一番の変更点として、これまでは毎週火曜日と金曜日はパンとしていましたが、令和4年4月から第2火曜日については米飯給食としました。副食に関しては、例えば魚の苦手な子供たちに対してシャケキャベツカツなど、工夫をしながら新たな献立を何点か考えました。


吉田

 月に1回、週4回の米飯給食が始まり、それから大変評価したいのは、パンの原料を100%国産小麦に変えたということで、これは宮城県全体だと思うのですが、このように給食の質がどんどん上がってきているのは大変歓迎すべきだと思います。日本人の主食である米、あるいは国産の穀物の使用を増やしていくことについて、食育の推進の中でどのように教えているのか、そうした取組がもしあれば御紹介いただきたいと思います。


学校給食センター所長

 食育の取組については、学校によって学年が異なりますが、市内の小学校3年生から5年生の児童が給食センターに見学に来ています。令和4年度については31学級、延べ約900名の児童が来ており、その際、実際の調理の様子を見学するだけではなく、栄養士から食育に関する授業を行っています。また、給食センターの職員、栄養士が直接学校に出向いて食育の授業も行っています。それから、給食センターでは残食の量を測っており、学校ごとの残食について情報を提供しています。


吉田

 市政の成果20ページ、社会福祉総務費の社会福祉総務事務、2 福祉団体に対する助成の(5)(福)名取市社会福祉協議会助成金についてです。これは毎年発生している費用ですが、社会福祉協議会では市民からも会費というか募金を集めているわけで、令和4年度の募金が集まった状況などについて市ではどのように把握しているのでしょうか。


社会福祉課福祉総務係長

 名取市社会福祉協議会から会費収入については522万6,820円と伺っております。


吉田

 先日、各地区の代表の集まりがあり、金額が思ったより多いとかほかと比較してどうかなど数字が見えたらしくて、なるほどなと私も思いました。募金ではなく会費として自主的に納めていて、今は町内会単位で集められているところが増えています。昔は区長が回っていたと思うのですが、そのように会費の在り方が変わっている中で、今後改善しなければいけない検討課題だと思います。
 1つ疑問なのは、助成金の額が年度によって変動していることです。それは、地域間の会費の違いなども影響するというか、そうしたものも含めて次の年度の助成金の額を決定するのか、助成金の金額をどのように決めているのかお伺いいたします。


社会福祉課長

 助成金の額の決定に当たって会費の増減については考慮しておらず、社会福祉協議会と協議し、人件費や事業費の一部を補助する形で金額を決めております。


吉田

 市政の成果20ページの社会福祉総務費、2 福祉団体に対する助成の(8)みやぎ青年婚活サポートセンター負担金は令和4年度の補正予算で措置されて、そのときの質疑応答できちんと理解できていないので改めてお聞きします。宮城県での取組に変更があって改めてこの負担金が発生したのか、経緯について詳しくお伺いいたします。


社会福祉課福祉総務係長

 みやぎ青年婚活サポートセンター負担金については、委員御指摘のとおり令和4年9月補正予算にて措置しておりました。令和4年度当初には予算措置していませんでしたが、宮城県市長会及び宮城県町村会から一律に予算措置を求められたため、9月補正で予算を計上しました。


吉田

 サポートセンターの事業としてはどのような成果があったのでしょうか。


社会福祉課福祉総務係長

 市へ具体的に結婚の相談の問合せなどがあった場合に、みやぎ青年婚活サポートセンターを案内して、つながるように対応しておりました。令和4年度も問合せがあればつないでおりましたが、具体的な件数までは把握しておりません。


吉田

 市政の成果20ページの社会福祉総務費、社会福祉総務事務の5 民生委員・児童委員活動費でお伺いします。成り手不足については総括質疑で御答弁があったとおりだと思います。定数に対し17名の欠員ということで、1人が受け持つエリアに関しては柔軟に運用していると思うのですが、令和4年度の1人当たりの負担についてどのように捉えているのかお伺いいたします。


社会福祉課長

 欠員があるところは隣の区域の民生委員や地区の会長がカバーしている状況で、詳細な意見などは寄せられていませんが、負担はかなり発生したと思います。その後も引き続き町内会長や区長にお願いして、現在は欠員の状況は改善していますので、少しずつ負担を減らしていければと思っております。


吉田

 引き受けていただける方のほとんどは自主的な協力であり、市として何かを講じればすぐに解決するわけではないところに難しさを感じます。やはり欠員が生じて1人当たりの仕事の量が増える状況が続いてしまうと、次の改選時には引き受ける方を見つけるのがもっと難しくなりますので、令和4年度、将来に向けて少し長い目で見て、課題やその対策について検討した内容があればお伺いしたいと思います。


社会福祉課長

 検討は行っているのですが、なかなか解決策は見つからず、従前同様に地域の方にお声がけをして、どなたか推薦していただくケースが実際には一番多かったと思います。今後も考えていかなければならない課題と捉えております。


吉田

 市政の成果27ページの障害者地域生活支援費、障害者地域生活支援事業の1 相談支援事業で伺います。(2)計画相談・障害児相談支援事業について、新規で2事業所増えていますが、これらの委託先の事業所は年度末まで事業を継続しているということでよろしいですか。


社会福祉課障がい者支援係長

 新規に事業を開始した特定非営利活動法人スマイル・ワンが運営する「放課後等デイサービスピノキオハウス」と株式会社Flower of lifeが運営する「相談支援事業所MOU CO LITA」に関しては、年度途中からの参画で、事業の開始月までは捉えておりませんでした。


吉田

 開始ではなく、年度末まで5事業所とも事業を行っていたということです。
 新しく事業所が増えると、やはり利用者にとっては選択肢が増えるわけです。新規の事業所の開設については、市ではいつの段階で把握して、その周知について令和4年度中はどのように取り組んできたのかお伺いいたします。


社会福祉課障がい者支援係長

 市内で新規の相談支援事業所を開設する際は、市で事業の指定を行っていますので、必ず申請がなされます。新規事業所の開設の周知については、名取市障がい者等地域づくり協議会に相談支援部会があり、協議会の中で関係するほかの相談支援事業所にも周知を行っているところです。


吉田

 市政の成果35ページ、在宅老人福祉費の在宅高齢者支援事業、1 ひとりぐらし老人等緊急通報システム事業について、毎年伺っていますが、令和4年度は2件減ったということで、新規と撤去の件数をそれぞれお伺いします。


介護長寿課長寿健康係長

 令和4年度の緊急通報システムの設置については、まず置き型の端末が24件、携帯端末が16件、合わせて40件です。撤去については、置き型が34件、携帯端末が8件、合わせて42件で、差引きマイナス2件となっております。


吉田

 実際にシステムを使ったケースについて、通報内容の項目ごとに内訳をお伺いします。


介護長寿課長寿健康係長

 令和4年度に緊急通報システムの受信があったのは合計500件でした。そのうち、ボタンが押された通報が183件で、内訳は押し間違いが161件、緊急要請が22件です。それから、センサーが24時間以上動きがないことを察知しての通報が合計174件で、委託先の受信センターで確認したところ異常はなかったのが139件、外泊をしていたケースが31件、出向などにも絡みますが、非常事態となったのが4件でした。そして、この2つに分類されないその他が143件あり、停電が60件、機器の故障が4件、その他が79件でした。合計500件のうち、警備員が出向したのが161件、そのうち救急車を要請したのが25件でした。


吉田

 市政の成果35ページ、在宅老人福祉費、高齢者介護家族支援事業の2 在宅ねたきり老人等介護手当の支給について、令和4年度での新規と停止、それぞれの人数をお伺いいたします。


介護長寿課長寿健康係長

 支給の対象者は記載のとおりの297名です。毎年12月に広報なとりでお知らせし、1月から12月までの間の寝たきりの高齢者で該当する方の介護者に申請書を提出していただき、該当する期間について月額2,500円支給する事業ですので、停止の処理をした件数は捉えておりません。


吉田

 人数については年度ごとに枠が決まっていると思うのですが、月額2,500円で12か月、297名が支給を受けたと計算すると890万円ぐらいになります。それに比べて大分金額が低いので、例えば12月から受け始めた方や途中で外れた方などが何人もいるようなイメージなのですが、金額の根拠を伺います。


介護長寿課長寿健康係長

 説明が足りなくてすみませんでした。申請する前の年の1月から12月の間の状況に応じて、例えば3か月入院した場合、12か月から3か月を除いた9か月分を支給しますので、支給月数としては297名に対して2,660月となりました。


吉田

 市政の成果36ページ、介護予防推進費の目標にフレイル予防とあります。フレイルとは健康と要介護の間の介護の必要性が高まった虚弱な状態といった解釈のようで、介護予防ということで使われている用語ですが、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業(ポピュレーションアプローチ)の1 実施団体数の4団体はどの団体かお伺いします。


介護長寿課長寿健康係長

 介護予防推進費において当課実施分の高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業(ポピュレーションアプローチ)の4か所については、名取南、名取東、名取西、名取中央の各地域包括支援センターの担当地区から住民主体の通いの場をそれぞれ1か所ずつ選定して実施しています。


吉田

 そうすると、地域包括支援センターが主体というか受皿になっている形でしょうか。実際にフレイル予防とはどのような取組を行っているのか、そして、延べ参加人数の145人については、もう少し多いほうがいいのではないか、まだまだ知られていないのではないかと思うのですが、そういった課題はどのように捉えているのかお伺いいたします。


介護長寿課長寿健康係長

 実施した内容については、介護予防の考え方はもともとは体の機能の面がウエートを占めるかと思うのですが、それに加えて栄養と口腔機能の視点からアプローチしています。1か所当たり3回シリーズで、体力測定とそのフォローアップ、加えて管理栄養士と歯科衛生士による健康講話を行い、身体的なもの、それから栄養と口腔、体の中と外といいますか、そういった部分から介護予防に取り組む意識づけを目的に実施しました。事業の初年度でしたので、まず各地域包括支援センターで1か所ずつの通いの場で始めて、令和5年度においては、各2か所ずつと新しく4か所追加して事業を進めています。


吉田

 市政の成果39ページ、児童福祉総務費の子ども食堂運営応援金支給事業でお伺いします。市内各所の子ども食堂に職員の方々も赴いて、現場を視察していると思います。この事業は新規だと思うのですが、申請や事業の報告などの義務が課せられるのか、それとも、支給要件の1年間に6回以上の開設さえ認められれば補助されて、使い道等についての報告は必要ないのか、運用方法について確認させてください。


こども支援課家庭児童係長

 子ども食堂運営応援金については助成金として支給していますので、各活動団体より事業計画及び実績報告を求めております。


吉田

 御存じのように、子ども食堂はボランティアで運営し、月に1回の開催でも本当に大変です。1回終わったら、次の日から次回の準備が始まるようなサイクルで行っているので、できるだけ簡素な手続で進めるべきだと思うのですが、令和4年度の報告書等から改善点など何か思い当たるようなことはあるでしょうか。


こども支援課家庭児童係長

 申請の内容については、他の補助金と比較しても大分簡素にしていますし、窓口と電話等でも申請内容の記載方法など個々に相談に応じているところです。


吉田

 市政の成果44ページの児童館・児童遊園費、児童遊園維持管理事務でお伺いします。児童遊園の管理については、令和3年度は3か所で令和4年度は4か所ですが、それぞれ4か所の名称を伺います。


こども支援課子育て支援係長

 町東児童遊園、本郷児童遊園、閖上チビッコ丸児童遊園の3か所、そして、通称ですが、児童公園ということで植松東児童公園を含めての4か所です。令和3年度は3か所と表記していましたが、解釈の違いで令和4年度は4か所と表記し、状況としては令和3年度と変わりません。


吉田

 植松東児童公園がどのように位置づけられるのか。児童遊園については、名取市児童厚生施設条例の第3条に規定があり、3か所記載されています。植松東児童公園は載っていないので、厳格には条例に基づく児童遊園とはならないと思うのですが、そこはどのように整理しているのでしょうか。


こども支援課子育て支援係長

 これまで児童遊園については児童センターの増築などによって数を減らしてきましたが、植松東児童公園については、植松東地区にある公園で近所のお子さんたちが利用するということで、町内会からもろもろ御相談をいただいてこれまで維持管理等を行っており、引き続き今後もこども支援課でしっかりと管理したいと考えているところです。  条例では3つの児童遊園を規定していますが、植松東児童公園については、歴史的な背景もあってこども支援課で管理を行っている現状です。
 植松東児童公園については、先ほどお話ししたとおり、過去から遊具等の管理を町内会の方々と調整しながら行っていました。児童遊園ではなく児童公園と位置づけての管理ということで、今後も同様に管理を行いますが、今後条例で規定する考えは持ち合わせておりません。


吉田

 市政の成果45ページ、児童館・児童遊園費の児童センターの利用状況でお伺いします。開館日が決まっているようですが、全部で11館で、開館日数が300日近い施設と250日程度の施設に分けられるかと思うのですが、それはどのような理由からでしょうか。


こども支援課子育て支援係長

 増田、増田西、那智が丘児童センターに関しては293日と300日近い開館日数となっていますが、この3館については土曜日の受入れを行っているため、ほかの館と開館日数に開きが出ている状況です。
 館腰児童センターについては、新型コロナによる臨時的な休館などがあって開館日数が少なくなっています。


吉田

 今後、ゆりが丘児童センターが指定管理に移行しますが、土曜日利用を受け入れるかどうかは指定管理での運用とは別の話のようなので、令和4年度中に変更の検討などは行わなかったのかお伺いいたします。


こども支援課子育て支援係長

 土曜日利用に関しましては、地域的なバランスを考慮し、先ほど申し上げた3館で実施しています。今後増やすかどうかといった検討は現在は行っておりません。


吉田

 市政の成果51ページ、児童措置費の障害児通所支援事業の5 障害児保育所等訪問支援給付費の内容についてお伺いいたします。


社会福祉課障がい者支援係長

 保育所などに通う障がいのある児童について、通い先の施設などを訪問し、障がいのある児童及び保育所などのスタッフに対して集団生活に適応するための専門的な支援や支援方法の指導を行うものです。


吉田

 そうすると、給付の対象となるのは施設ではなく児童なのですか。児童に対して給付して、それがどのような形で集団生活になじむような保育につながるのかよく分からないのですが、どのように運用したのでしょうか。


社会福祉課障がい者支援係長

 障害福祉サービスの一環として、保育所等訪問支援のサービスを提供する事業所を利用していただく形で実施しました。


吉田

 市政の成果59ページの扶助費(生活保護)、生活保護扶助事務の5 保護を廃止した世帯について、84世帯と令和3年度より多くなっていますが、廃止の理由の内訳をお伺いいたします。


社会福祉課保護係長

 廃止の内訳は、死亡によるものが34世帯、収入増が7世帯、転出、失踪が20世帯、親類の引取りが2世帯、その他が21世帯です。


吉田

 いろいろな理由があると思いますが、その他の割合が少し大きい気がします。この分類以外に例えばどのような理由が考えられるのでしょうか。


社会福祉課保護係長

 その他21世帯の内訳として、指導指示違反が1世帯、葬祭扶助単給が4世帯、相続収入の取得が2世帯、保険金収入の増加が1世帯、資産処分によるものが1世帯、同時期に遺族年金と就労収入の複数の収入があったのが1世帯、それから辞退が11世帯です。


吉田

 私の先ほどの質疑と同じ市政の成果59ページの扶助費(生活保護)、生活保護扶助事務の1 年間被保護世帯数についてです。生活保護を受けている世帯が5,084世帯とかなり多く、全体をきちんと見渡すことは非常に厳しいのではないかと思います。近頃ある報道番組で、生活保護受給者が民間のアパート等に入る際に身分証明書など一切を不動産会社に預けさせて抜けられなくして、そして働くことも難しくし、場所も商業地から遠いところに住まわせるケースがあると放送していました。これは全国的にも少なくないのではないかという気がするのですが、生活保護を受けている方々一人一人の生活状況等の把握に関しては、令和4年度ではどのような状況ですか。


社会福祉課保護係長

 生活保護世帯の方への訪問は定期的に行っております。御質疑については、不動産の話でしょうか、抱え込むという内容だと思うのですが、令和4年度でそのような情報は入ってきていないので、ないものと捉えております。


吉田

 市政の成果66ページ、感染症・結核予防費の感染症・結核予防事業、1 結核検診の(1)レントゲン検査状況(40歳以上)で伺います。補足説明では精密検査受検者数181名のうち結核判定者なしとありましたが、精密検査結果内訳の結核要観察1人の令和4年度末の状況はどのようになっているのでしょうか。


保健センター所長

 要観察の方については検査機関で定期的に経過を見るわけですが、この方が現在どのような状況になっているか、現時点では把握しておりません。


吉田

 何事もないことを祈るばかりですが、表では精密検査受検者181人のうち結核患者と判定された方はいなかったということなので、最終的にこの方は結核ではなかったと判定されたのかどうか知りたかったのですが、この1人はどこに入るのですか。


保健センター所長

 この方については、検診を受けて精密検査に該当になり、検査を受けた結果、結核とは判定されなかったのですが、経過を観察する必要があるとされました。


吉田

 市政の成果69ページの一般予防費、新型コロナウイルス感染症対策事業の3 新型コロナウイルスワクチン年代別接種率です。表の見方がよく分からなくて、例えば80代を見ていくと数字が4回目で増えて5回目で減っている、また20代の5回目接種率が極端に低いなど、この表は何を100としているのですか。


新型コロナウイルスワクチン接種対策室長

 この表は、令和4年4月1日から令和5年3月31日までの1年間、それぞれ1回目から5回目まで接種済みの方の表となります。例えば今委員から質疑があった60代で見ていくと、4回目が7,624人と増えて、次の5回目が5,845人となっているのは、4回目の接種が令和4年5月25日から開始され、それに伴って市から接種券を送付しています。次に、5回目については、令和4年9月20日からの開始で、新しいオミクロン株対応ワクチンの接種ということで対象者が12歳以上となっています。そういったことで令和4年度の接種者を年代別に作成した表となります。


吉田

 そうすると、5回目で50代以下と60代以上で接種率に大きな差が出ているのは、接種の順番というか、50代以下は随分後から接種が始まったためにこのように大きな差が出ていると理解してよろしいですか。


新型コロナウイルスワクチン接種対策室長

 新型コロナウイルスワクチン年代別接種率についてですが、令和4年度は多くの方が4回目接種となっておりました。当初、5回目のオミクロン株対応ワクチンについては、60歳以上と基礎疾患をお持ちの方を対象として接種が始まりました。よって、高齢者の接種率が高く、20代から50代の若い世代では低くなっています。


吉田

 私も見返してみて、まだ疑問が解けないのです。というのは、1回目接種済みの方が数字として少なく、80代や90代以上では1桁しかいません。しかし、1回目の接種は恐らく8割、9割ぐらいが終えているはずだと思うので、なぜ1回目が小さい数字なのか。そして、2回目が90代以上で7人とは、6人から1人増えて7人になっているのか。どこかで数字の表示の仕方が変わっているのではないかと思うのですが、統一した表になっているのかどうかよく分からないのです。


新型コロナウイルスワクチン接種対策室長

 高齢者については1回目から3回目の接種をほとんど令和3年度に終了しており、この表は令和4年度の接種の人数を示していますので、高齢者の1回目、2回目等の接種率が低くなっています。


吉田

 市政の成果72ページ、健康増進費の健康増進事業、8 名取市自死対策計画推進事業の(1)名取市自死対策協議会について1回開催とあります。自死対策について令和4年度で新しい取組などの検討がありましたら、お伺いします。


保健センター成人保健係長

 名取市自死対策協議会で話し合われた内容として、子供、若者への支援については、SOSを出しやすい環境づくりの整備が必要だということで、ゲートキーパー研修の拡充という点で、学校関係者や相談支援事業所等の福祉関係機関などでも研修を行ったほうがいいのではないかという御意見をいただきました。そして、医療機関受診へのつなぎについては専門相談窓口に関する情報の周知に係る工夫など、また、正しい知識の普及啓発についても今まで以上の情報発信を継続していくということで意見が交わされました。


吉田

 いろいろな機関と連携を図るということで、市の組織でも各課に自死対策に関係する項目はたくさんあります。例えば、コロナ禍や物価上昇の中で、税の負担など経済的な理由で自死に追い込まれるケースがあり、そういった場合には税務課も連携をするとされていますが、名取市自死対策協議会の話合いで出てきた内容や名取市自死対策計画に基づく令和4年度の取組について、庁内の全ての関連部署にしっかりと行き渡っていたのでしょうか。


保健センター成人保健係長

 名取市自死対策計画に載っているように、庁内の取組としても既存の事業を自死対策と結びつけて進めております。毎年1回、事業の進捗確認を行い、自死対策と関連づけて行われているか、各課に確認を取っているところです。それから、ゲートキーパー研修について、令和4年度では、子供関係の支援者を対象とした研修と、庁内の職員に向けて新規採用の職員を対象とした研修を行いました。


吉田

 市政の成果88ページの労働諸費、就労支援事業の2 負担金及び補助金です。これも毎年お伺いしていますが、令和4年度のシルバー人材センターの会員数について、男女別と合計の人数をお伺いいたします。


介護長寿課長寿健康係長

 令和4年度のシルバー人材センターの会員数は、男性288名、女性149名、合わせて437名でした。


吉田

 男性は変わらず、女性が7名増で全体が7名増ですが、補助金の額を令和3年度と比較すると減っています。会員数の増と補助金の減については、理由として成り立っているのでしょうか。


介護長寿課長寿健康係長

 シルバー人材センターの補助金については、国が示す基準に基づいて算出しています。まず1つは、会員数と派遣就業延べ人数等の実績により算出する部分について、人数をポイント化するのですが、このポイントが1つ下がって100万円減となりました。それから、令和4年度の予算要求に当たって令和2年度から令和3年度の変化の割合等を用いて算出しており、令和2年度から令和3年度においては会員が減少しましたので、令和2年度に会員増による加算が90万円ほどありましたが、非該当となり、令和3年度比で90万円マイナス、合計190万円のマイナスとなりました。


吉田

 市政の成果200ページ、介護保険事業の7 介護認定審査の状況の(1)介護認定審査会の開催について、審査会の開催数は90回ということですが、これは対面とオンラインを使い分けて行ったのでしょうか。


介護長寿課介護調整係長

 令和4年度においては審査会はまだ文書での取扱いとなっており、対面では行っておりません。


吉田

 オンラインでの開催ということで、大分慣れてきたかと思います。当然90回の中で全て処理できたと思うのですが、オンラインでの開催の中で次の課題となるような提言や指摘、気づいた点などかあればお伺いいたします。


介護長寿課介護調整係長

 令和4年度においては、対面での開催は行っていないのですが、令和5年度に向けてテストとして一度だけ対面とオンラインの併用で審査会を実施しました。その際、審査員などの対応もスムーズにできましたので、令和5年度については、今からになるのですが、そのような形での対応を考えております。


本会議

(議案第65号 令和4年度名取市歳入歳出決算の認定について)

吉田

 ただいま議長から発言のお許しがありましたので、名和会を代表し、議案第65号 令和4年度名取市歳入歳出決算の認定についてに対し、賛成の立場から討論を行います。
 令和4年度一般会計の決算額は、歳入が約365億1,744万円で前年度に比べ約16.43%の減、歳出が約348億3,770万円で令和3年度に比べ約16.89%の減となりました。当年度実質収支は約13億7,931万円の黒字となり、単年度収支及び実質単年度収支が黒字へと転換しました。その背景には、復旧・復興事業分や繰越事業分の減少という状況の変化に加え、的確な行財政運営に向けた全庁的努力があったからと推測します。新型コロナウイルスの感染拡大の波が繰り返し押し寄せる中、市民福祉向上のために身を粉にして働いてこられた職員の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。
 それでは、ここで指摘に移らせていただきます。
 一般会計歳入では、税の公平性を高めるために3点の改善を求めます。
 まず、固定資産税の課税免除についてです。本市は7学校法人54筆の固定資産を地方税法第348条第2項第9号に基づき課税免除としている旨の答弁がありました。具体的な場所を指摘するのは差し控えたいと思いますが、その中には、直接教育の用に供すると判断できるのか、土地利用の実態が不明確な事例が含まれているようです。同法同条第1項が人的非課税の規定であるのに対し、第2項は用途による非課税の規定であり、学校法人だからといって必ず非課税となるわけではありません。専門家によると、自治体によって非課税の認定に違いが出る場合もあるとのことです。各固定資産税について、教育活動への利用の状況を把握し、個別に課税対象とするか否かを判断されることを求めます。
 2点目は入湯税です。本市サイクルスポーツセンターと4つの民間宿泊施設に課税対象となる温泉が設置されていますが、民間施設それぞれの納税額はまたも示されませんでした。大浴場を有するビジネスホテルという性質上、温泉の利用の有無を正確に把握するのが困難であることは理解します。しかし、施設によって人数を決める基準が異なるのは好ましくありません。税は同一の基準で課されるべきものであり、当該施設宿泊者全員に課すなど課税対象者数の決め方を統一されることを求めます。
 3点目は、厳密には税ではありませんが、市営住宅使用料について。102か月分の滞納を不納欠損とする処分は、納税者にとって納税するのは難しいものです。連帯保証人をつける意味がなくなり、不公平感が生じてしまいます。連帯保証人に対する相応の措置を講じないで行った保証債務の履行請求は権利の濫用と否認する判例があり、過去への請求が難しいケースもあるのかと思われます。今後は、保証人に対する請求を実効性のあるものにするために、賃料延滞状況の報告等を適時的確に行うよう求めます。
 次に、一般会計歳出に移ります。
 まず、総務費中、空き家対策について。空家等対策協議会が年度内に2回開催されたとの答弁がありました。年度内に特定空家等に認定された物件はなかったとのことですが、令和4年3月策定の名取市空家等対策計画によると、特定空家等候補は市内に8件あります。周辺住民の危険や不安の解消、また良好な景観の形成のためにも、管理不全の空き家については適切に対応されることを求めます。
 同じく総務費中、交通指導隊による交通安全教室について。出動延べ回数3,402回に事前打合せのための出動が含まれているとの答弁がありました。打合せを交通安全指導と同様に出動回数に数えることの妥当性とともに、交通安全教室をマナビィの講座として整理するなど検討されるよう求めます。
 次に、民生費中、介護予防推進費について。新規に高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業として、運動、食生活、口腔ケアをテーマに4か所の通いの場での実施を実現したことを評価します。参加延べ人数は145人でしたが、要介護状態になる危険性が高い方により多く参加していただけるよう、今後取組の拡大を期待しています。
 次に、衛生費中、再生可能エネルギー導入計画等策定事業について。再生可能エネルギー導入戦略の策定作業において、本市が導入するに最も適している再生可能エネルギーは住宅向け太陽光発電であると示されたとのことでした。ゼロカーボンシティ実現に向けて着実に歩みを進めることを期待しています。
 次に、消防費中、救急救助事務について。救急講習会のeラーニング受講者数の増加を評価します。一般市民だけではなく学校関係者や生徒にも受講の拡大を図ったことで、救急への意識と救命技術の向上につながったと思われます。
 同じく消防費中、国民保護協議会について。国民保護計画の改定に向けて協議会を開催し、協議書を提出したとの答弁がありました。初回の策定から一度も改定されず、国・県による計画や、現状とのそごが生じている状態が長く続いていました。その解消を図るとともに、宮城県が実施する国民保護訓練等について、情報の収集と市民への情報提供を丁寧に行うよう求めます。
 次に、教育費について。教育費の構成比が約12.35%と東日本大震災前の水準にまで回復しました。施設の改築等にかかる費用が大きいとはいえ、教育分野への予算配分が厚くなったことは高く評価したいと思います。今後も10%以上の水準を維持し、本市の教育環境の一層の充実に努められるよう願います。
 また、教育費中、防犯カメラ設置について。各校の昇降口に職員室から見守りができるカメラを2台ずつ設置したとの答弁がありました。録画データは約30日間保存が可能とのことで、犯罪を防止し、あるいは解決へ導くための効果が期待されます。一方、監視社会へつながることを防ぐ観点から、児童生徒の問題行動等の把握を目的とする利用については慎重に慎重を重ねて判断されることを求めます。
 以上で討論を終わります。


(議案第83号 令和5年度名取市一般会計補正予算)

吉田

 8、9ページ、歳出2款1項1目一般管理費の12節委託料、顧問弁護士委託料についてです。控訴の手続が進んで、これから実際に顧問弁護士が東京高等裁判所に赴くことになると思いますが、裁判が終結するまで何回ぐらい往復すると見込まれるのでしょうか。


総務課長

 令和5年度は2回程度を予定しています。


吉田

 令和6年度以降については不確かと受け止めました。
 この顧問弁護士委託料に旅費も含まれていると思いますが、今後、職員も同行しなければいけない局面が出てくると思います。同行する職員の旅費について今回措置しないと判断した理由を伺います。


総務課長

 職員が同行する際の旅費ですが、今後、同行することになれば、既定の予算で対応したいと思います。